連載:【野球小説】栄冠は監督にも輝いてほしい

【野球小説】栄冠は監督にも輝いてほしい 第5回 突然の進路変更

谷上史朗
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 高校野球のリアルな現場を描く連載小説。栄冠は監督にも輝くのか!?

写真はイメージです。本文とは関係ありません 【写真:アフロ】

 高校野球の世界では夏を区切りにチームが新しくなる。3年生は“現役引退”となり、2年生、1年生による新チームは翌春の選抜につながる秋の大会へと向かう。指導者にとってはここからまた選手を鍛え、チームを育てていく1年が始まるわけだ。同時に、この時期の監督、部長にはチーム作りとは別の仕事を抱えることがある。

 3年生の進路にまつわるものだ。

 高校で本格的な野球を終える生徒については、生徒のクラス担任らが進路指導を行うが、大学や社会人などで野球を続ける者については、監督、部長らが窓口となり、野球を基準に行き先を考えることになる。

 大阪天栄でも甲子園に間を空けず出場していた時代は、レギュラーはほぼ全員、レギュラー以外でも、上の世界で野球を続ける者が一定数いた。しかし、近年はチームが低迷し、選手のレベルも落ちてきたため、高校以降に硬式野球を続けるのは3年生のレギュラーの中でも半数程度で今年も3人のみ。ただ、彼らについてはいずれも関西の大学への進学が夏前の時点で“内定”。監督の佐伯大輔はその面での仕事を終え、ここからは新チームの指導に集中できる予定だった。ところが、そこへ思わぬ難題が降りかかってきた。
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著者プロフィール

1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)「web Sportiva」(集英社)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『崖っぷちからの甲子園—大阪偕成高の熱血ボスと個性派球児の格闘の日々』(ベースボールマガジン社)『一徹 智辯和歌山 高嶋仁 甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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