【野球小説】栄冠は監督にも輝いてほしい 第4回 「球数問題」に悩む夏
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今年の大阪は、近年2強と並び称されてきた大阪共新と志誠社にいつもほどの強さが感じられないとの声もあり、混戦模様だ。ただ、だからといって……。
大阪天栄に関しては、昨年の秋季大会が2回戦、今年の春季大会は1回戦で敗れ、夏の大会で見ても直近10年では2度ある3回戦が最高成績。大会前の段階で“かつての強豪”へ目を向ける野球関係者や報道関係者はいなかった。しかし、そんな周囲の評価とは別にチームの思い、手応えは違っていた。
大会前に一丸のムードを感じた指導者、選手たちは、大阪天栄野球部として久しぶりに、燃えて夏の開幕を迎えていたのだ。もちろん、ここは大阪。ムードだけで勝ち上がれるほど甘くはない。しかし、夏のトーナメントを勝ち上がるためにチーム一丸のムードが必要なこともまた、たしかなことだった。
子どもの頃、野球少年の一方で雑誌やネットで高校野球の記事を読み漁るマニアでもあった大阪天栄の監督、佐伯大輔の頭には、ここ最近、かつて読んだある1冊の本のことが度々浮かんでいた。大阪の公立として夏の甲子園で最後に勝利した光ヶ丘の監督、神中真彦の著書『やればできたぞ 高校野球』だ。古本屋で購入し、一気に読んだのは中学1年の時だった。
進学校で平日の練習時間は1時間半。グラウンド使用の制約も多い光ヶ丘が今から40年近く前となる夏、当時の高校球界で絶対的王者として君臨していたGF学園も撃破しての大阪制覇。今でも大阪で語り継がれる、光ヶ丘野球部の挑戦の記録をまとめた一冊のことが繰り返し浮かんでくる。当初、自分でも不思議に思いながら、ある時からうっすら理由がわかるようになっていた。
<いくら強いと言われるチームでも相手も同じ高校生、やればできる!>
そう、何よりルーキー監督の心が燃え、その気になってきていたのだ。
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