錦織圭、グランドスラム制覇の鍵は? 立ちはだかる2つの壁を乗り越えられるか
悲願のグランドスラム制覇なるか。錦織の前に2つの大きな壁が立ちはだかる 【Getty Images】
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日本のトップとして走り続けた11年半
さらに2カ月後には、世界ランキング99位(グランドスラムに予選なしで参加できる目安の100位以内に)に入った。08年のウィンブルドンでは1回戦負けとなるものの、グランドスラム初出場を果たすと、全米オープンでは4回戦進出。08年のATPワールドツアー最優秀新人賞を受賞するなど、将来を嘱望された。
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また、錦織の活躍は先人の名前に光を当てた。ちょうど、イチローが記録を更新したとき、1920年に達成された年間最多安打記録の保持者、ジョージ・シスラーが思い出されたように。
錦織が14年全米オープンでベスト4に進出(結果は準優勝)したときは、1933年ウィンブルドンの佐藤次郎以来、81年ぶりの日本人男子のベスト4進出だった。16年リオ五輪の銅メダルは、1920年アントワープ五輪で熊谷一弥が銀メダルを獲得して以来、実に96年ぶりの快挙となった。
15年にランキングを4位に上げた錦織は、グランドスラム優勝も間近と期待された。しかし、頂点にはいまだ届いていない。だが、準優勝となった14年全米オープン以降、出場したグランドスラム15大会で決勝進出が1回、ベスト4が2回、ベスト8が6回、4回戦進出が4回。逆に3回戦までで敗退したのは3度と安定した成績を残している。
選手生命の危機も噂された大ケガから復帰した18年も、しっかりと上位に進出した。全仏オープンは4回戦で敗退したものの、ウィンブルドンでベスト8、全米オープンでベスト4、そして2019年の全豪オープンでベスト8に進出。これで錦織はランキングを7位(2019年5月20日時点)として、現在9度目の全仏オープンに挑んでいる。
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壁は「BIG3」と5セットマッチ
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フェデラーは球速に加え、ボールを捉えるタイミングの早さや、動きの速さも含めたプレースピード全体の速さがツアー屈指だが、年齢からくる衰えが見えるようになった。体格で劣る錦織は単純なスピード勝負を避け、ショットの組み立ての工夫で勝機を見つけたい。
全仏オープンで最大の敵となるのは“赤土の王者”ナダルだ。錦織の対戦成績は2勝10敗。ナダルの全仏での成績はすさまじい。05年からの14大会で11回の優勝。その間の成績は86勝2敗1不戦敗。コートに立てば、その勝率は97.7%と、突けいるスキがないように思える。
だが、錦織は以前、全仏オープンと同じ赤土のクレーで行われた14年のマドリード・オープン決勝で、ナダルを追い詰めたことがある。この試合では思い切りよくポジションを上げ、速い攻めを仕掛け主導権を握った。それに加えて、守備の堅いナダルをいかにしつこく攻めるか、このあたりが勝利への鍵となる。
そして錦織の天敵、ジョコビッチ。18年のウィンブルドン、全米オープン、そして19年の全豪オープンと、ここ最近のグランドスラムでは、いずれもジョコビッチに行く手を阻まれた。対戦成績は2勝16敗で、準優勝した14年全米オープン準決勝で勝ったのを最後に、15連敗中となっている。
難しい相手だが「攻めさせておいて、いつか落ちてくるのを待つ」というジョコビッチの策にハマらないこと。攻撃一辺倒ではなく、時にはディフェンスからリズムを作り、ミスを誘うようなプレーも必要だろう。ジョコビッチを翻弄し、慌てさせることができればチャンスはある。
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グランドスラム制覇のためには、上位シードと対戦する2週目に向けて、いかに体力の消耗を防ぐか。最低でも185センチ、2メートル前後の大型選手がランキング上位を占める中、178センチの錦織の体格面での不利はあらためて言うまでもない。
一発で決めるビッグサーブを持つ相手に、世界屈指のリターン、ショットのバリエーション、速攻、フットワークと総合力で戦う錦織。これらの能力に加えて、栄冠をつかむ鍵は、男子ツアー歴代1位となる最終セットでの勝率75%が示すように、気持ちの強さと集中力だ。
「勝てない相手も、もういないと思う」と語った14年の全米オープンから5年、「心技体」の充実を迎えるであろう、30歳前後のこの時期、錦織圭にグランドスラムタイトルの獲得を期待したい。
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