連載:錦織圭、グランドスラム制覇への道

錦織に教えたい「BIG3」に勝つ方法 過去の対戦から攻略のヒントを探る

秋山英宏
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全仏オープンはナダルの得意なクレー。錦織は“赤土の王者”にどう挑めばいいのか 【Getty Images】

 ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、そしてノバク・ジョコビッチ。錦織圭がずっとその背中を追いかけ、今も目標とする「BIG3」と呼ばれる選手たちだ(BIG4の1人、アンディ・マレーは今シーズン限りの現役引退を表明)。

 2017年の全豪オープンから今年の全豪まで、9回のグランドスラムはすべてこの3人の中からチャンピオンが生まれた。錦織が、目標である4大大会優勝を成し遂げるには、この巨人たちを超えなくてはならない。彼らを破るヒントはどこにあるのか。過去の対戦から探ってみたい。

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ナダルには速い攻め、しつこい攻めが必要

vs.ラファエル・ナダル(対戦成績:2勝10敗)

 ナダルは「キング・オブ・クレー」(クレー=赤土コート)と呼ばれる世界一のストローカーだ。対戦成績は錦織から見て2勝10敗。初対戦から7連敗した後、2015年にモントリオール大会(ロジャーズ・カップ)で初勝利を挙げた。2勝目は16年リオ五輪の3位決定戦、6−2、6−7、6−3で振り切った。だが、今後の戦い方のヒントを探るソースはこの2戦とは別にある。

 勝った2戦とも、ナダルにとってベストとは言えないハードコートでの対戦だった。ナダル自身、持病となっている左ひざの痛みや右手首の故障などコンディショニングに苦しむ時期で、持ち前のベースラインでのしぶとさが影をひそめていた。また、鉄壁の守備を中心とするプレースタイルを見直し、変化を求めた時期でもあった。

 攻略のヒントは、善戦しながら敗れた14年のマドリード大会での対戦にある。6−2、4−6、0−3で錦織が途中棄権した試合だ。錦織は当時世界ランキング1位のナダルから第1セットを奪い、第2セットも相手のサービスゲームをブレーク、4-2と先行した。
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著者プロフィール

テニスライターとして雑誌、新聞、通信社で執筆。国内外の大会を現地で取材する。四大大会初取材は1989年ウィンブルドン。『頂点への道』(文藝春秋)は錦織圭との共著。日本テニス協会の委嘱で広報部副部長を務める。

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