箱根駅伝の5つの「なぜ」に答える 素朴な疑問から気になるトピックまで

高島三幸

ボーッと見ている人も楽しめる「箱根のなぜ」

来年1月2日に号砲が鳴る箱根駅伝。正月の風物詩に関する疑問、トピックに答える 【写真:アフロ】

「平成最後の箱根駅伝」――。この時期、書店に並ぶどの箱根駅伝ガイドブックを開いても、名コピーのように目に飛び込んでくる。

 箱根駅伝の開催は1920年(大正9年)。時代が変わりゆく中で、学生たちが必死に襷をつなげる姿だけは変わらず、95回も続いてきた大会だと思うと、あらためて歴史の重みを感じ、“平成最後”という枕詞をつけたくなる気持ちにもなる。いまや平均視聴率は25%を超え、地区大会であることを忘れてしまうほど、ある意味“モンスター”的な存在の大会に。そんな正月早々のハレ舞台で戦う学生たちの“ドラマ”に魅了され、毎年沿道に足を運び、熱い声援を送ってきた熱狂的なファンは少なくない。一方で、毎年お雑煮を食べながら、何となくテレビに映る学生の力走をボーッと眺めていたという人もいるだろう。箱根に対する想いや熱量は人それぞれだが、いずれにしろ、今この記事を読んでいるあなたは、多かれ少なかれ箱根駅伝に関心があるはずだ。

 そこで、箱根初心者から上級者まで楽しめる企画として、「箱根のなぜ」をテーマに迫ってみることに。5歳の女の子が登場する某人気テレビ番組のようだが、「そういえばなんで?」という素朴な疑問から、最新の気になるトピックを紐解く疑問まで、「5つのなぜ」を用意し、5日間に渡って紹介する。間違っても叱らないので、一緒に考えてほしい。

常勝の理由は「選手が成長する仕組み」

 連載1回目は、「青学が箱根で勝ち続ける本当の理由」に迫る。
「今年は最強ではないか」と言われるほどの選手層の厚さで、歴代3校目となる箱根駅伝5連覇、そして2度目となる大学駅伝3冠に王手を懸ける青山学院大。凄まじいプレッシャーの中で1勝するだけでも大変なことだが、そのプレッシャーをはねのける常勝集団には、学年が上がるにつれて選手が成長する仕組みがある。それを作り上げた元カリスマ営業マンの原晋監督による“自走する選手”へと育てる手法を、学年が異なる青学OBたちの証言をもとに、数々の経営者やビジネスパーソンを取材してきたライターが紐解く。年々バージョンアップさせる“青学教育方針”の最新版だと思っていただいていいだろう。特に、自己成長を望む人、チームをまとめるマネージャー職の人、子供の教育に悩んでいる人には、ためになるヒントが満載。ぜひご一読を。

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 連載2回目は、「5区のランナーはどのようにして選ぶのか」
 箱根駅伝の醍醐味と言えば、標高差864mを上る「5区」と言っても過言ではない。毎年さまざまなドラマが繰り広げられるこの区間で差が開く可能性は大きく、どの大学の監督も誰を起用するかで最も頭を悩ませるところ。そんな平地の走りとは異なる5区に最も適した逸材を、監督はどのように見つけ、どのように育て、どのように起用選手を決めるのか。2代目“山の神”柏原竜二さんの“山”の適正をいち早く見抜いた、元東洋大学監督・川嶋伸次さん(旭化成コーチ)に、数々のスポーツ媒体で活躍するベテランライターが聞いた。

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箱根駅伝ファンになる“アニオタ”が急増中!?

 連載3回目は、「なぜ福島出身者は箱根駅伝で活躍するのか」
 福島県が「駅伝王国」であることを、どれぐらいの人がご存知だろうか。2000年に日本記録(当時)の2時間6分51秒を出した藤田敦史さん(駒澤大コーチ)、08年北京五輪代表だった佐藤敦之さん(京セラ監督)、そして箱根駅伝の初代“山の神”から15年世界陸上マラソン代表に成長した今井正人選手(トヨタ自動車九州)、同じく2代目“山の神”として名を馳せた元東洋大の柏原さんなど、箱根駅伝で記憶に残る選手は、福島から出てきたランナーが多い。さらに、この95回大会に出場する23校のうち、5校の監督が福島出身者だ。
「陸上選手が育ち、指導者が生まれる土壌が福島にはある」ということを、自身も福島県出身の東洋大・酒井俊幸監督のインタビューをもとに、長年現場での取材を重ねてきた陸上専門ライターが導き出す。

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 連載4回目は、「なぜ厚底シューズを履く箱根ランナーが急増したのか」
 以前、ドラマ『陸王』(TBS系)でも一躍脚光を浴びた「ランニングシューズ」だが、この数年で箱根駅伝を走る選手たちのシューズ事情は激変している。箱根ファンなら、激変するきっかけとなった某外資系メーカーのあのシューズをすぐに思いつくはず。そうあの厚底シューズだ。激変した背景と2019年の予想を含め、自身も箱根駅伝経験者で、ランニングシューズ事情にも詳しいスポーツライターが詳しく分析。箱根駅伝は学生ランナーたちの戦いであるが、視線を足元に落とせば、スポーツメーカーの戦いでもあることがよく分かる内容になっている。

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 連載最終回のテーマは少し毛色を変えて、「なぜ箱根駅伝選手にはアニオタが多いのか」
 箱根駅伝が始まったら、ツイッターで「箱根駅伝」「アニメ」などと検索してほしい。きっと盛り上がっているはずだ。
 実はこの数年で、沿道で自作の旗を振って応援するほど、アニオタの箱根ファンが急増している。その理由は、箱根ランナーたちが、次々にアニオタであることを公言しているから。なぜ箱根ランナーたちは、「アニメ好き」を公言し始めたのか。そもそも学生長距離選手にアニオタが多い(多く見える?)のはなぜか。アニメ好きの箱根OBたちに熱く語ってもらった。スポーツはもちろん、さまざまな情報誌で腕を磨いた敏腕ライターの視点から、アニオタが多い理由を軽快な文章で紹介する。他のスポーツとは異なる長距離種目の競技性を、あらためて認識できるはずだ。
 ちなみに、2016年リオデジャネイロ五輪男子3000mに出場し、今年8月のアジア大会では同種目で銅メダルを獲得した塩尻和也選手(順天堂大)は、ラブライバー(アニメ「ラブライブ!」及び「ラブライブ!サンシャイン!!」のファンを表す)だそう。彼が疾走するであろう2区で、旗を振って応援するアニオタたちの姿が見られるかもしれない。

「箱根」というキーワードでつながっただけの何の脈絡のないテーマだが、この連載を読めば、今までとは少し違う視点から箱根駅伝を観戦できるはず。“平成最後の箱根駅伝”を、いつもとは違う見方で楽しんでみてはいかがだろうか。

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配信スケジュール(スポーツナビ公式アプリ)

第1回 「青学が箱根で勝ち続ける本当の理由」 配信中

第2回 「5区のランナーはどうやって選考するのか」 配信中

第3回 「なぜ福島出身者は箱根駅伝で活躍するのか」 配信中

第4回 「なぜ厚底シューズを履く箱根ランナーが急増したのか」 配信中

第5回 「なぜ箱根ランナーに“アニオタ”が多い?」 配信中
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著者プロフィール

ビジネスの視点からスポーツを分析する記事を得意とする。アスリートの思考やメンタル面に興味があり、取材活動を行う。日経Gooday「有森裕子の『Coolランニング』」、日経ビジネスオンラインの連載「『世界で勝てる人』を育てる〜平井伯昌の流儀」などの執筆を担当。元陸上競技短距離選手。主な実績は、日本陸上競技選手権大会200m5位、日本陸上競技選手権リレー競技大会4×100mリレー優勝。

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