連載:箱根駅伝の5つの「なぜ」に答える
5区のランナーはどうやって選考するのか
箱根駅伝が他と一線を画するのは“特殊区間”山区間があるからだ。では、各大学の監督は山上りの特性をどのように見極めているのだろうか 【写真は共同】
常に山上りが得意なランナーを探している
「上りのフォームや体の特徴、試走させて上りのタイムなどをきちんとデータ化しながら、5区の候補を選ぶ大学もあると思います」と川嶋氏 【撮影:小野さやか】
川嶋 平地を走る力がある選手なら、山も上れるという見方があり、過去にもエース級の選手を5区に選ぶことはありました。でも、チームの順位を上げるためには、実はエースではない選手を5区に使いたいというのが、監督の本音なんです。各大学の監督は、エースは2区などを走らせたいので、山上りが得意そうな選手を常に探しています。
今は高校の先生などから、上りやアップダウンに強い選手がいるという情報をもらう監督が多く、上りっぱなしの10キロトレーニングなどを実施する高校の合同合宿を見学するために、山形の蔵王まで足を運ぶ監督も多いですね。
――川嶋さんが東洋大の監督だったとき、高校の頃から上りが強い選手だと分かって柏原選手をスカウトしたのでしょうか。
川嶋 いえ、柏原自身は最初から5区を走りたいと話していましたが、山上りに適性があると分かったのは入学してからです。
アップダウンがあるだけのコースではなく、実際に長時間、上りっぱなしのコースを走らせないと、山上りの本当の適性は分かりません。ですから、どの大学も上りっぱなしのコースを走らせる山合宿を実施します。東洋大で僕が監督だった頃は、山古志村(現・新潟県長岡市)で上りっぱなしの10キロくらいのコースを1人ずつ走らせて、誰が一番上りの適正があるかを見ていました。
柏原の場合、高校3年の都道府県駅伝の快走でブレイクし、大学でも1年の時からトラックレースで関東インカレで入賞し、アジアジュニア選手権(5000メートル2位)や、世界ジュニア選手権(10000メートル7位)にも参戦していたので、当初はエース区間の候補でした。でもその年の8月の山合宿での彼の走りを見て、「これは、山もいけるな」と、5区を走らせたいと思いました。
柏原のような選手はたまにしか出てこないので、各大学ともに、複数の候補を育てるために、上りのトレーニングをさせるケースが多いと思います。極端な例をいえば、トラックの大会には出場させないで、上り専門のランナーとしてトレーニングさせている場合もあるようです。
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