“敵将”エディー、日本への思い 「真のラグビー国になりました」
会見場でいきなり「フジタは?」
イングランド代表を率いるエディー・ジョーンズHC 【斉藤健仁】
FLリーチ マイケル主将を筆頭に、サントリーやエディー体制下でジョーンズHC(ヘッドコーチ)の指導を受けたことがある選手が半数という布陣だった日本代表は、かつての恩師の目の前で素晴らしいラグビーを披露し、前半は15対10でリード。だが後半はジョーンズHCが「フィニッシャーズ」と呼ぶ控え選手たちが躍動し、15対35で敗戦した。
「コンニチワ」と日本語で会見場に入ってきて、私を見るなり「フジタ(藤田慶和、今秋の欧州遠征には不参加)は?」と日本語で聞いてきたエディーさんは、イングランドに行ってもエディーさんのままだった。
アタックと戦術コーチを自ら担当し、ディフェンス、FW、スクラムといった各パートは専門コーチを呼ぶスタイルは踏襲。2016年の就任当初からFWは日本代表時代同様にスティーブ・ボーズウィックに任せ、キッキングコーチにはかつての名SOジョニー・ウィルキンソンに頼み、6月からは日本代表のHC代行も務めた盟友スコット・ワイズマンテルもサポートし、スポットコーチとしてマルク・ダルマゾ、ジョージ・スミスが参加するなど、日本代表時代と変わらない「チームエディー」で指導にあたっていた。
苦しんでいたエディーイングランド
代表選手は過密日程に苦しみ、チームとしても結果が出なくなっていた 【斉藤健仁】
しかし、3連覇がかかった今年のシックス・ネーションズはまさかの2勝3敗で5位に沈んだ。実は2017年の夏、イングランド代表選手はブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(英国とアイルランドの合同チーム)のニュージーランド遠征で、6週間で10試合というスケジュールをこなしていた。どうしてもイングランド選手の出場が増えて、それが心身ともに負担に……。イングランド協会はテストマッチシリーズの後に休暇を義務づけているが、ライオンズは管轄外だった。そういった過密日程の影響で、不動の1番だったPRジョー・マーラーは今秋、代表引退を表明したほどだった。
「私はワールドカップを知っている」
イングランド代表の共同主将を務めるHOディラン・ハートリー 【斉藤健仁】
もし11月にホームで南アフリカ代表、ニュージーランド代表に大敗すると、日本代表戦にエディーはいないかもしれない……とまで思った。ただジョーンズHCは「私はワールドカップを知っている。2019年は4度目の大会だ。ピークをそこにもっていけばいい。この秋はスパーリングみたいなもの。必ずしもすべてのテストマッチに勝つ必要はない」と予防線を張りつつ、来年、日本で勝つことが一番だということを強調した。