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健闘のラグビー日本代表、逆転負けの理由
イングランド戦「勝てた試合を…」

8万人超、完全アウェイの一戦

試合前に国歌を斉唱するラグビー日本代表
試合前に国歌を斉唱するラグビー日本代表【斉藤健仁】

「聖地」で確かな成長の跡を示した。勝つ流れにも持っていけた。だが、2015年の南アフリカ代表戦の再現はならなかった。

 英国遠征中のラグビー日本代表(世界ランキング11位)は11月18日、ラグビーの「聖地」であるトゥイッケナム・スタジアムで、ラグビーの母国であり、日本代表前指揮官エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が率いるイングランド代表(同4位)と激突した。


 過去の対戦成績は日本代表の0勝8敗。8万1151人もの大観衆が詰めかけた完全アウェイの試合の前半は、ジェイミー・ジョセフHCが2年前に就任して以降、一番とも言える内容だった。


 試合前、FLリーチ マイケル主将は勝つためのポイントを「タックル、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)、走る」と挙げて、「(2週間前に対戦したニュージーランド代表)オールブラックスと比べたらハンドリングスキルはそこまで高くないので、自分たちのディフェンスにはまる」と自信をのぞかせていた。


 ジョセフHCも「スクラム、ラインアウトで自分たちのボールを取る。ほとんどのチームがイングランド代表と対戦するときセットプレーで苦戦するので、そこがチャレンジだ。セットプレーでボールが取れればモメンタム(勢い)を作れる。そこを目標に1週間やってきた」とセットプレーを勝敗の鍵に挙げた。

前半は攻守ともに狙い通りの展開

WTB福岡はスピードを生かして何度もチャンスを作り出した
WTB福岡はスピードを生かして何度もチャンスを作り出した【斉藤健仁】

 前半はプラン通りだった。まずは試合直前まで帯同していたジョン・プラムツリーが指導していたディフェンスが機能する。ただ前に出るだけでなく、FLリーチ、WTB福岡堅樹、山田章仁ら接点から3人目、4人目にいる選手が極端に前にでる「アンブレラディフェンス」で相手の外への展開を遮断し、内側でプレッシャーをかけてペナルティーやミスを誘う。またセットプレーもスクラムはマイボール成功率100%(7/7)、ラインアウトもマイボール成功率は(10/11)の91%と高かった。


 オールブラックス戦で課題だったブレイクダウンでも、ボールキャリアがしっかりと前に出て、2人目もしっかりと相手を排除する意識が高かった。するとアタックにテンポが出るのは必然だった。また相手のバックスリー(WTB、FBの3人)が日本代表のキックを警戒して下がっていたこともあり、バックドア(ダブルラインの裏へのパス)を使って両サイドに展開し、WTBからキックを蹴ることで、エリアを得ることにも成功。

中村、リーチのトライなどでリード

前半22分にトライを奪ったCTB中村
前半22分にトライを奪ったCTB中村【斉藤健仁】

 開始3分に相手にトライを許したが、その後は日本代表の時間帯となる。16分にSO田村優がPGを決めて、20分に相手がシンビン(10分間の一時的退場)に。22分にはスクラムからワンパスで、この試合がティア1(伝統的な強豪国グループ)に対して初先発となったCTB中村亮土が中央にトライを挙げて10対7と逆転。


 相手にPGを決められて同点に追いつかれた後の31分、左サイドでCTBティモシー ラファエレのグラバー(転がす)キックをキャッチしたWTB福岡が前に出て、その後、右に展開。あらかじめ「ポッドアタック(複数のユニットを配置して攻撃する)」で右に張っていたWTB山田とFLリーチがパス交換し、最後はリーチが相手を4人かわして、インゴール右中間に飛び込んで15対10と再びリードする。


 前半は、ほぼ日本代表が主導権を握っていた。だが5点しかリードできなかった。3分の失トライもキックカウンターから、簡単なタックルミスで与えた「ソフトトライ」だった。前半の序盤と最後にもゴール前で大きなチャンスがあったが、遂行力に欠けていた。あと10点くらい取って、得点でも相手にプレッシャーをかけたいところだったが……。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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