“敵将”エディー、日本への思い 「真のラグビー国になりました」
強烈な“口撃”も、リーチは「憎めないエディーさん」
エディージャパンで成長したリーチ マイケルは圧巻のトライを奪うなど活躍した 【斉藤健仁】
南半球の強豪相手に互角に戦い、エディー節はますます冴える。地元のメディアに日本代表戦の対策を聞かれて「酒と寿司」と答えたり(LOマロ・イトジェによると本当にお寿司を食べたという)、「フィジカルにスマッシュにいく。(日本代表選手たちは)寺に行って祈れ!」と“口撃”した。ただ、日本代表選手たちもジョーンズHCには十二分に慣れているため、意に介している様子はまったくなかった。
「本当に憎めないエディーさんの言っていることだと思いますが、そこに対して何も言うこともないですし、気にしていないですし、深く考えてもいないです」(リーチ)
「もしイングランド代表の選手の中に悩んでいる人がいれば、相談に乗ります(苦笑)。エディー対策は山田に聞け、寺に行っても解決しないぞ、と」(WTB山田章仁)
「本当に良くなった。ケンキはいい選手ね!」
イングランド代表として来年のワールドカップ制覇を狙う 【斉藤健仁】
「(日本代表とトゥイッケナム・スタジアムで対戦することの意味を)今朝、考えていました。私が日本代表をジョージアやルーマニアに連れて行きました。フレンチバーバリアンズとの対戦をル・アーブルで組みました。今や日本代表はオールブラックスと対戦し、8万1000人のトゥイッケナムでイングランド代表と対戦した。日本は真のラグビー国になりました。
今日の日本代表のパフォーマンスにも満足していますし、日本代表のラグビー国としての地位が上がったと思います。さらにここに日本のメディアがたくさん来ています。ラグビーコミュニティができています。ジェイミー(・ジョセフ)とトニー(・ブラウン)は素晴らしい仕事をしていますし、リーチの卓越したキャプテンシーで次々と若くて才能のある選手がブレイクしています」(ジョーンズHC)
イングランドメディアから、日本代表に前半リードされたことを批判されて「今日はレッスンだ」、「ファイナルスコアがすべて。後半は25対0でした。日本代表にアップセットされるとは思っていませんでした」と早口で話していたジョーンズHCは日本代表選手やメディア、知人との束の間の再会を楽しんでいるかのようだった。
日本開催のワールドカップへ
イングランド代表の共同主将を務めるSOオーウェン・ファレル 【斉藤健仁】
日本代表時代と違い、エディーは怒鳴ったり叱ったりすることはないという。FL/LOコートニー・ローズは「エディーはその時期によって何をすべきか考えて行っている。今秋はワールドカップの準備として捉えている。その意味で言うとフィジカルに重点を置いたのでは」と言えば、SOファレルは共同主将という立場もあり「日本人はエディーに関心があるようだけど、チームというのは、コーチや選手のそれぞれが役割をまっとうすることで成立するもので、ひとりの変化によって変わっていくものでもない」と、質問をかわし、あくまでもチームとして戦っていることを強調した。
いずれにせよ、今秋のテストマッチシリーズを、ジョーンズHCは3勝1敗で終えてピンチを脱出したことは間違いない。イングランド代表を復調させ、選手たちに自信を取り戻すことにも成功した。エディーのワールドカップでの通算成績は16勝2敗である。よく知る日本で、外国人として初めてラグビーの母国を率いるジョーンズHCがワールドカップで再び旋風を起こす可能性は十二分にあろう。