健闘のラグビー日本代表、逆転負けの理由 イングランド戦「勝てた試合を…」
両チームの選手交代が勝負のポイントに
世界トップクラスの実力を示したFLリーチ主将 【斉藤健仁】
イングランド代表も負けるわけにはいかないと、ジョーンズHCは控えに入っていた1本目の選手を次々にピッチに送り出す。特に、共同キャプテンのオーウェン・ファレルが後半最初からインサイドCTBの位置に入り、冷静にキックでゲームをコントロール。またディフェンスでも、接点に執拗にプレッシャーをかけることなく、素早くセットし、規律を守ることに主眼を置いてきた。
すると日本代表はノックオンなどの簡単なミスだけでなく、ラックに関係ない選手までも排除してしまい2度、ペナルティーを取られる。またモールやディフェンスのラインオフサイドなどでもペナルティーを犯し、自陣に釘付けにされる。自然とイングランド代表のチャンスが増え、PGやトライで得点を重ねられ、15対35で逆転負けを喫した。
「ずっと集中し続けなければ勝てない」
イングランドとは体格の差があったが、ラインアウトも健闘した 【斉藤健仁】
他の選手に聞いてもHO坂手淳史は「みんなで走って、走ってのディフェンスはできていたし、フィットネスは上がっている手応えはありました。後半にもう一度集中力を持ち続けないとだめですし、ずっと集中し続けなければ勝てない」。PR稲垣啓太は「前半と後半はペナルティーが起きたか、起きていないかの差。攻め込んだときのペナルティーはメンタル的なダメージが大きい。本当は7点スコアできたはずなのに、相手に取られると14点取られる感覚。やっぱりペナルティーを減らすことが非常な大事な要素」と冷静に振り返った。
個人的には後半、2度、SO田村がキックを蹴ったが、しっかりチェイスできていなかった場面も気になった。やはりティア1に対して80分、一貫したパフォーマンスを続けることは難しかったと言えよう。また高い強度の中でしっかりとトライを取り切ること、勝負どころでペナルティーを極力減らすことは来年に向けて大きな宿題となった。
「若くて才能のある選手がブレイクしている」
来年のワールドカップに向けて、さらなるレベルアップが求められている 【斉藤健仁】
またHO堀江翔太、FB松島幸太朗、WTBレメキ ロマノ ラヴァら主力6人がケガなどの理由で不在の中で、CTB中村、FBウィリアム・トゥポウが及第点のプレーを披露。選手層を厚くするという点では意味を持つ試合となった。またイングランド代表ジョーンズHCが「(日本代表の)ジェイミー(・ジョセフ)とトニー(・ブラウン)はすばらしい仕事をしていますし、リーチの卓越したキャプテンシーで次々と若くて才能のある選手がブレイクしている」と言うように、PR具智元、HO坂手、No.8姫野和樹ら若手が大舞台で堂々とプレーした姿も頼もしかった。
「どのくらいチームが成長したか確認したい」。試合前に、リーチ主将が言っていたように、日本代表は「聖地」で、2019年ラグビーW杯でベスト8に入るために明るい材料を得ただけでなく、課題も明白になった。W杯のホスト国として、世界に向けて、来年への期待を抱かせるには十分な試合だった。開幕まであと10カ月、ティア1との差を埋めるための戦いは続いていく。