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世代交代ではなく「融合」を目指す日本
五輪世代が得た、成長するための財産

「W杯後」としてはオーソドックスな選択

堂安律(中央)らをメンバーに選んだ森保監督。平均年齢も下がったが、「W杯後」としては珍しい選択ではない
堂安律(中央)らをメンバーに選んだ森保監督。平均年齢も下がったが、「W杯後」としては珍しい選択ではない【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 平均年齢は「26.5歳」。森保一監督が初陣のピッチにまず送り出したメンバーのアベレージで、これはワールドカップ(W杯)ロシア大会の平均年齢「28.6歳」を大幅に下回るもの。W杯の主力メンバーを1人も選ばず、あえて幅広くチャンスを与えることを優先したセレクションの結果であり、「大幅な若返り」「フレッシュな選考」といった言葉も並んだ。


 とはいえ、これはそもそもW杯ロシア大会での平均年齢が高かったことの反動にすぎない面もある。現時点で26.5歳ということは、4年後には30.5歳になるラインナップなのだ。実際のところ、言うほど若くはないメンバーでもある。


 対戦相手のコスタリカもW杯での主軸選手を外して臨んできており、先発11人の平均年齢は「24.9歳」。この国はロシアW杯に臨んだ32カ国の中で最も平均年齢の高いチーム(29.4歳)だったので、よりダイナミックに若返りを図った形だった。逆に言えば、森保監督の施策は特に奇抜なことでもなく、「W杯後」のチームとしてはオーソドックスな選択だったとも言える。


 また日本が「若返った」と言っても、あくまでW杯の主力メンバーをあえて外した選考だったからで、今後彼らが復帰してくれば、自ずと平均年齢も上がっていくはず。今回の9月シリーズをもって、「日本代表は若返った」とか、「世代交代が進んだ」と短絡的に考えないほうがいいだろう。


 とはいえ、W杯の主軸メンバーたちの慢心を戒め、実績のなかった選手たちに自信を与え、まだ選ばれていない選手たちにも「俺だって!」という気持ちを抱かせる内容だったのも間違いない。恐らく森保監督が招集に際して狙っていた効果のひとつは、1試合に減ってなお、達成されたと言えるのではないだろうか。

A代表の水準を体感した堂安、らしさも見せたが……

試合中には“らしさ”も見せた堂安だが「結果を出せなかった」と反省の弁
試合中には“らしさ”も見せた堂安だが「結果を出せなかった」と反省の弁【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 もう1つ、指揮官には「五輪との兼任監督であるメリットを生かして東京五輪世代(U−21世代)の水準を引き上げる」という狙いもあった。堂安律、冨安健洋、伊藤達哉という欧州でプレーする20歳前後の3選手がメンバー入りを果たした。


 予定どおりに2試合あれば恐らく全員に出番があったのではないかと思うのだが、チリ戦が中止になってしまった影響で、コスタリカ戦で堂安が先発出場したのみ。冨安と伊藤に出番は回ってこなかった。とはいえ、A代表の水準を体感できたこと自体が、彼らにとってポジティブな刺激となったことは間違いない。また五輪世代全体にとっても、「堂安に負けてられるか!」という機運を生み出す契機になってくれるはずだ。


 堂安自身のプレーぶりは本人によれば、「結果を出せなかった。100か0なので、0」ということになるのだが、実際は「60」くらいだろうか。「外に張るか、中に入るかが難しい」と本人が語ったように、右サイドMFの戦術的な役割をまだまだ消化できていなかった印象があり、流れの中で浮いてしまった時間帯もあった。


 ただ、その中でもゴールへのトライを見せて、フィニッシュまで持って行く力は見せていた。後半15分に相手の裏を取ってシュートを放った場面、同19分に南野に当ててから少々強引にフィニッシュまで持ち込んだ場面などは“らしさ”が出ていた。もちろんその好機を決めていないので、「0点」という本人の評価は尊重したいが、20歳のデビュー戦という意味では決してネガティブな内容ではないだろう。

川端暁彦
川端暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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