「何で俺を選ばへんのや」と嘆いたあの日 南野、3年越しの代表初ゴールで反撃開始
森保ジャパン初陣で貪欲にゴールを目指した男
親善試合コスタリカ戦(3−0)で代表初ゴールを決めた南野(8) 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
その陣容はロシア組の東口順昭や槙野智章、サンフレッチェ広島時代からの森保監督の秘蔵っ子である青山敏弘ら30代の経験豊富な選手をセンターラインに据え、それ以外のところに20代前半の若くフレッシュなメンバーを配する形。基本布陣もU−21日本代表と同じ3−4−2−1ではなく、過去の日本代表が長く採用して慣れている4バックを選択した。
この中で、特に注目を集めたのは、20歳の堂安律、23歳の南野拓実、24歳の中島翔哉というアタッカー陣だった。中盤右に堂安、左に中島、南野は小林悠とタテ関係のFWという位置取り。「選手たちにはスペシャルな部分を出してほしい」と口癖のように言う新指揮官は、それぞれが最もプレーしやすいポジションで起用。彼らの躍動感に期待した。
中島が得意のドリブルで積極的な仕掛けを見せ、堂安も時間を追うごとに高度なスキルや創造性を発揮し始める中、南野も彼らに負けじとゴールへの貪欲さを前面に押し出した。前半39分には遠藤航から出た浮き球のタテパスを小林が胸トラップした瞬間、飛び込んできた南野がフリーに。思い切りよく右足を振り抜いたが、GKの好セーブに阻まれてしまう。後半12分にも中島の左クロスにドンピシャのタイミングで頭を合わせるも、ボールが肩に当たってコントロールミス。2つのビッグチャンスを外してしまった。
デビューから3年越しの代表初先発&初ゴール
得点後、同じリオ五輪世代の遠藤と喜びを分かち合う 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】
「ホンマ、いいボールが来たんで、ワンタッチで打つか、トラップするか迷ったんですけど、相手の股さえ通ればGKから見えない。けっこう難しいボールだなというのは考えてトラップしました」と、彼は冷静に自身の代表初ゴールを振り返った。
初キャップを飾った2015年10月のイラン戦(テヘラン)から2年11カ月。長い長い時を経て、南野はとうとうA代表の先発の座を射止め、代表初ゴールを奪った。かつて同じ8番をつけていたセレッソ大阪の大先輩・森島寛晃が02年W杯日韓大会のチュニジア戦で挙げた得点を家族みんなで見て、「いつか自分も日の丸をつけてこういう舞台に立つんだ」と決意してから16年。彼はその一歩を、ついに力強く踏み出したのだ。