朝原宣治さん、“現役復帰”の野望「トラック競技をする人を増やしたい」
朝原宣治さんが競技に“復帰”する。その理由と今後の野望を聞いた 【写真提供:毎日放送】
「程よい緊張感があって、毎日が充実していますよ」。超一流オリンピアンが「マスターズ」に参戦するのは世界的にみても極めて異例。なぜ、いま“現役復帰”したのか。当然のことながら関西人特有の軽いノリだけではなかった。
その朝原さんは、今回出場オファーを出したタレントの武井壮さんが番組MCを務める毎日放送のスポーツトークバラエティー「戦え!スポーツ内閣」(7月18日放送)に出演。収録後に取材に応じ、復帰の経緯、今後のスケジュールとともに大いなる“野望”も打ち明けた。
武井の「一緒に世界記録を」に心動かされる
08年北京五輪の400メートルリレーでのメダル獲得に貢献した朝原さん(右から2人目)。これ以上の結果を狙って、世界マスターズに参戦する 【写真:アフロスポーツ】
このとき、36歳だったことも日本中に勇気と感動を与えた。引退セレモニーでは、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が息の長い競技生活に「僕にできるかどうか」と敬意を示したほど。4度の五輪と6度の世界選手権出場。引退後は自身が主宰する陸上クラブ「NOBY T&F CLUB」を立ち上げ、子どもたちの健全な育成から高齢者の健康づくりに尽力している。
まさに陸上界のレジェンドといっていい実績の持ち主の朝原さんが10年ぶりに競技に復帰することを発表したのは6月だった。オファーを出していたのは、陸上十種競技の元日本王者で親交のあるタレントの武井さんだった。
「声を掛けられたのは今年の2月。最初は筋肉も落ちているし、徐々に動き始めて、自分の体を確かめてから返事をしようと。メドが立ったのは5月ぐらい。『やりましょう』となった」
誘った側の武井さんは15年にフランス・リヨンで開かれた「マスターズ」の4×100メートルリレーのM40クラス(40〜44歳)にアンカーとして出場。42秒70のタイムで優勝しており、その経験なども伝えたが、記録には納得しておらず、殺し文句は「一緒に世界記録を出しましょう」だった。
2人には浅からぬ縁もある。朝原さんが同志社大3年、武井さんが神戸学院大2年だった1993年、東四国国体の兵庫代表として4×100メートルリレーにも出場。予選敗退したが、同部屋だったという。それ以来実に25年ぶりにタッグを組むことになる。
今回、朝原さんらがエントリーするのはM45クラス(45〜49歳)の4×100メートルリレー。「いまさらマスターズに出てもと思ったこともなくはなかった。しかし、世界記録と金メダルは魅力的。価値がある」とアスリートとしての血が騒いだようだ。