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朝原宣治さん、“現役復帰”の野望
「トラック競技をする人を増やしたい」
朝原宣治さんが競技に“復帰”する。その理由と今後の野望を聞いた
朝原宣治さんが競技に“復帰”する。その理由と今後の野望を聞いた【写真提供:毎日放送】

 完全に“本気モード”に入っていた。感動の北京五輪から10年。日本陸上短距離界の“レジェンド”朝原宣治さん(大阪ガス)が“現役復帰”を発表してから1カ月がたった。現在は今年9月にスペイン・マラガで行われる「世界マスターズ選手権」での金メダル獲得と世界記録樹立へ向け、真剣に取り組んでいる。


「程よい緊張感があって、毎日が充実していますよ」。超一流オリンピアンが「マスターズ」に参戦するのは世界的にみても極めて異例。なぜ、いま“現役復帰”したのか。当然のことながら関西人特有の軽いノリだけではなかった。


 その朝原さんは、今回出場オファーを出したタレントの武井壮さんが番組MCを務める毎日放送のスポーツトークバラエティー「戦え!スポーツ内閣」(7月18日放送)に出演。収録後に取材に応じ、復帰の経緯、今後のスケジュールとともに大いなる“野望”も打ち明けた。

武井の「一緒に世界記録を」に心動かされる

08年北京五輪の400メートルリレーでのメダル獲得に貢献した朝原さん(右から2人目)。これ以上の結果を狙って、世界マスターズに参戦する
08年北京五輪の400メートルリレーでのメダル獲得に貢献した朝原さん(右から2人目)。これ以上の結果を狙って、世界マスターズに参戦する【写真:アフロスポーツ】

 いま思い出しても胸が熱くなる。2008年の北京の夜。男子陸上4×100メートルリレーで日本チームは男子トラック種目史上初となる銅メダル(後にジャマイカ選手のドーピング使用発覚で銀メダルに繰り上げ)を獲得した。その中心にいたのが朝原さんだった。アンカーとして走り、耐えに耐えた。メダルが確定すると目を見開き、バトンを放り上げ、仲間と抱き合ったシーンは目に焼きついている。


 このとき、36歳だったことも日本中に勇気と感動を与えた。引退セレモニーでは、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が息の長い競技生活に「僕にできるかどうか」と敬意を示したほど。4度の五輪と6度の世界選手権出場。引退後は自身が主宰する陸上クラブ「NOBY T&F CLUB」を立ち上げ、子どもたちの健全な育成から高齢者の健康づくりに尽力している。


 まさに陸上界のレジェンドといっていい実績の持ち主の朝原さんが10年ぶりに競技に復帰することを発表したのは6月だった。オファーを出していたのは、陸上十種競技の元日本王者で親交のあるタレントの武井さんだった。


「声を掛けられたのは今年の2月。最初は筋肉も落ちているし、徐々に動き始めて、自分の体を確かめてから返事をしようと。メドが立ったのは5月ぐらい。『やりましょう』となった」


 誘った側の武井さんは15年にフランス・リヨンで開かれた「マスターズ」の4×100メートルリレーのM40クラス(40〜44歳)にアンカーとして出場。42秒70のタイムで優勝しており、その経験なども伝えたが、記録には納得しておらず、殺し文句は「一緒に世界記録を出しましょう」だった。


 2人には浅からぬ縁もある。朝原さんが同志社大3年、武井さんが神戸学院大2年だった1993年、東四国国体の兵庫代表として4×100メートルリレーにも出場。予選敗退したが、同部屋だったという。それ以来実に25年ぶりにタッグを組むことになる。


 今回、朝原さんらがエントリーするのはM45クラス(45〜49歳)の4×100メートルリレー。「いまさらマスターズに出てもと思ったこともなくはなかった。しかし、世界記録と金メダルは魅力的。価値がある」とアスリートとしての血が騒いだようだ。

山本智行
やまもと・ちこう。1964年岡山生まれ。スポーツ紙記者として競馬、プロ野球阪神・ソフトバンク、ゴルフ、ボクシング、アマ野球などを担当。各界に幅広い人脈を持つ。東京、大阪、福岡でレース部長。趣味は旅打ち、映画鑑賞、観劇。B'zの稲葉とは中高の同級生。

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