カーリング、フロントエンドにも注目を 職人技が光るLS北見、軽井沢クの選手たち

竹田聡一郎

パシフィックアジアカーリング選手権の日本代表に男子はSC軽井沢クラブ、女子はLS北見(写真)が決定した 【写真は共同】

 今季のカーリング最終戦に当たる「パシフィックアジアカーリング選手権(以下PACC)大会日本代表決定戦」が北海道北見市のアドヴィックス常呂カーリングホールで行われた。

 男子は平昌五輪代表のSC軽井沢クラブが日本選手権優勝のチームIWAIを3勝1敗で、女子はロコ・ソラーレ北見(LS北見)が同じく全日本女王の富士急を3戦全勝でそれぞれ退けた。両チームは来季のA代表チームに認定され、11月のPACCの出場権を獲得した。

勝利の基盤を作ったフロントエンド

 男女共に順当な結果だったと言っていいだろう。SC軽井沢クラブは先攻時のフォース(相手に1点を取らせること)に成功したエンドが10/12、LS北見は後攻時の複数得点エンドが7/10と、それぞれ横綱相撲とも呼べる安定した試合だった。
 そして、これらのエンドのほとんどにはガードストーンがしっかりと配置されていた。そのベースを築いたのは、フロントエンドだ。

 フロントエンドとはリードとセカンドの二人のことだ。対してサードとスキップ(フォース)はバックエンドと呼ばれるが、フロントエンドは得点に直結するバックエンドのショットの補佐やお膳立てが主な仕事になってくる。

 ガードストーンを置き、それに隠すカムアラウンドを決め、複数点への足場を作るべくセットアップに努める。逆に相手のチャンスになりそうな時はシートに置かれた相手のガードを払い、陣形を変える。いずれもアイスの情報が少ない状況下で、だ。

 スイープとウエイト(ストーンのスピード)ジャッジも彼らの大切な仕事だ。バックエンドの投げた石の最終到達ポイントを先読みし、ストーンが動いている10数秒間でより良いポイントに誘導すべく適切なスイープを行う。フルスイープ1本は200メートルを全力疾走するエネルギーと同じと言われ、それを1試合で多い場合は40〜50本繰り返すとバスケットボールのフル出場に相当するとも言われている。

 LS北見のリード吉田夕梨花は今季、右脚を痛めた。コンパートメント症候群という、マラソン選手などに発症しやすい疾患だ。つまりそれだけの激務をこなしている証明でもある。

ライバルもたたえた両角公のリード

SC軽井沢クラブのリード・両角公佑(左)。正確なプレーで相手に「100点を投げてくる」と言わしめた 【写真は共同】

 代表決定戦に話を戻すが、男女共にフロントエンドのプレーの精度が今回の結果を導いた。

 チームIWAIのリードとして2試合に出場した青山豊のプレーは決して悪いものではなかった。真摯(しんし)にリードのセットアップを貫いたが、「僕が98点のショットを投げても相手は100点を投げてくる。少し(石を)中に残すとか、アングルの作り方の小さな部分なんですけど、リードから小さなビハインドを作ると結局、それが失点につながってしまう」と本人は、SC軽井沢クラブのリード・両角公佑のパフォーマンスをたたえた。

 逆に言えば両角公が大きく調子を落とした2試合目は、チームIWAIがクロスゲームを制している。それについて両角公は以下のように語った。

「やはりリードからあれだけミスが出ればカーリングにならない。どんな条件下でも結果を出すのがリード。リードのポジションの面白さや難しさを伝えるために、常に高いパフォーマンスを維持したい」

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