“攻め過ぎ”のリスクを考えた戦いを 敦賀信人氏がカーリング男子を解説
20年ぶりの五輪出場となった日本チームは4勝5敗で8位に終わった 【写真は共同】
4勝4敗で迎えた最終戦、勝利すれば準決勝をかけたタイブレーク進出を決められる大事な一戦で、地元・韓国と激突した。韓国は準決勝進出の望みは絶たれていたが、大声援に後押しされて、良いショットを決めてくる。すると3−3の同点で迎えた第6エンド、日本は痛恨のミスもあり4失点を喫すると、その後挽回できず、第8エンドで3失点した時点で負けを認めた。この結果、同じ4勝ながら直接対決で勝利した韓国が7位で、日本は8位となった。
今大会の日本男子代表の戦いについて、1998年長野五輪でスキップを務め、今回はカーリング男子の放送解説を務めた敦賀信人さんに話を聞いた。
実力が拮抗した予選ラウンドだった
今大会は「全敗してもおかしくなく、全勝してもおかしくない」力の差だった 【写真は共同】
もう少し上に行ってもおかしくなかったというのが正直な感想です。(第2戦の)英国戦や(第3戦の)スイス戦は1点差で負けたゲームでしたが、どこか1エンドで日本が取れていれば、結果は逆になっていた試合だったと思います。
最後の韓国戦もコンシード(※負けを認めて途中で試合を終える)で終わりましたが、やはり勝てる相手ではあったので。本当に「負けた」と思える試合は、カナダ戦とスウェーデン戦だけでした。それだけきん差の中に実力が拮抗(きっこう)していました。
――世界ランク1位のカナダ、世界ランク2位のスウェーデンは頭1つ抜け出ていましたが、ほかのチームはそれほど差がなかったと?
もちろんカナダとスウェーデンは強いのですが、その2チームもそれぞれ2敗(スウェーデン)、3敗(カナダ)しています。ですから、決して勝てない相手ではなかったと思います。今回の戦いは全敗してもおかしくないですし、全勝してもおかしくない力の差だったように見えます。
置きに行くショットの精度が課題
大会を通じて“攻め過ぎる”場面も見られた。大事な場面ではリスクも計算に入れたショットが重要になる 【写真は共同】
やはり前半の入りや後半の入りといったところで、同点でどちらのチームに流れがいくか分からない状況がありますが、そこで先行か後攻かで背負うリスクというものは違います。日本チームの「常に攻めを貫く」作戦も良いとは思いますが、第6エンドという一番得点が動くところで、攻めるのは良かったと思いますが、“攻め過ぎた”結果、リスクが大きかったのかと思います。
――韓国戦の4失点のエンドもそうですが、“攻め過ぎた”戦い方というのは、ほかの試合でも見られたのでしょうか?
そうですね。攻めるということはハウスに置きにいく精度が高くないといけませんので、今大会、置きにいくショットというのが、良い時と悪い時がありました。また、先攻後攻を決めるドローショットディスタンスがあるのですが、それに勝ったのが2戦だけでした。そのため後攻から試合を始められたのは2戦だけで、要はその精度を今後磨いていかないと、“攻めるカーリング”をしても勝ち切れないことはあるかもしれません。
――大舞台で勝利するためにはショットの精度を磨いていくことが、今後の課題ということですね。
あとは、自分たちが先攻の時に、両角友佑選手がどれぐらいのリスクがあるのか、相手にプレッシャーをかけることができるのか。その点をもっと考えていければ良いと思います。