カーリングをブームで終わらせない! 今こそ問われる魅力の伝え方

竹田聡一郎
 平昌五輪が終わった。
 カーリング競技は男子のSC軽井沢クラブが4勝5敗の8位、女子のLS北見は5勝4敗でクオリファイ(決勝トーナメント進出)を果たし、日本史上初となる五輪でのメダル獲得を果たした。

平昌五輪で出てきた大きな課題

LS北見は日本カーリング史上初のメダルを獲得した 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 出発前、搭乗口で両角友佑が「もちろん勝つつもりで行くけれど、どっちに転がるかは分からない。全部、負けるかもしれないし逆の可能性だってある。そういう場所だと思っている」と初の五輪についての抱負を残していたが、世界最高の舞台でカナダなどの強豪と星の奪い合いができたのは大きな経験と財産だと断言できる。
 男女共にチームとして初五輪で、両スキップもしかり。10人いる選手の中で経験者は本橋麻里と吉田知那美のみということを考えれば好成績と言っていい。多くのゲームで主導権が握れたかと言えばそうではないが、劣勢でも粘り強く戦った20試合だった。

 それでも、男女共にショット率は振るわなかったことを無視するわけにはいかない。WCF(世界カーリング連盟)はラウンドロビン(総当たり戦)の国別、選手別のショット率を算出しているが、男子はチームで81%の8位タイ、女子は75%で9位だ。変化しやすいアイス、途中でコンディションが変わったストーンなど、どの国もショット率が上がらない大会ではあったが、それでもカナダやスウェーデンは男女共に90%近い数字を出し上位にランクしている。チームごとに試合展開や戦術に差があるので、ショット率がすべてではないが、吉田知那美が「国技になるくらい」と26日の帰国会見で言ったように強豪国へ変貌するには大きな課題である。

勝つためにショット率の向上を

SC軽井沢クラブのショット率は81%。10カ国中8位タイだった 【写真:エンリコ/アフロスポーツ】

 そして来年からいよいよ“5ロックス”時代が本格的に幕を開ける。
 カーリングには各エンドで両チームのリードの2投、つまりエンド始めの4投がハウスの外にある場合、テイクアウトしてはいけない「フリーガードゾーンルール」がある。カーラー(カーリング選手)の間では通称“4ロックス”と呼ばれることもある。

 しかし、来季からはこのルールが“5ロックス”に正式に改善される。先攻のセカンドの1投目までのガードストーンをテイクアウトしてはいけないルールだ。簡単にいうと石を貯めやすくして得点のチャンスを増やしていこうという意図で、カナダなどではもう既に採用されている大会もあるが、より精緻なドローショット(狙ったところに置くショット)が求められるシビアなゲームが多かったようだ。

 それによって世界の勢力図がどう変わるかはまだ分からないが、今回の男女代表2チームに関して言えば、ポジティブな変更と言える。両チームとも攻撃が大好きでフロントエンドからドロー戦になっても十分に戦えていた。ただ、そこで勝ち切るとなるとやはりショット率の向上が必須だろう。両角友佑はかねてから「やはり投げが一番、重要」と言い続けてきたが、ポジション・バイ・ポジションで投げ勝つということに意識を置いて、引き続き世界相手と打ち合ってほしい。

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