LS北見ラスト1投までステイポジティブ 銅メダル決戦は笑顔で悔いない戦いを

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「ニッポン」コールかき消される超アウェーのなか

決勝進出を逃したLS北見だが、3位決定戦では最後まで『ステイポジティブ』のカーリングを見せてほしい 【写真:ロイター/アフロ】

「正直、今の実力だとまだまだ出場チームの中では下位なんです」。スキップ藤沢五月がそう語っていたのは開幕まで2週間を切った時。それでも準決勝まで勝ち上がってきたLS北見は、怒号のような歓声が渦まく会場でついに力尽きた。

 平昌五輪のカーリング女子は23日に準決勝が行われ、日本のLS北見は銀メダル以上を懸けて予選ラウンドで勝利した韓国と対戦。予選リーグ8勝1敗と好調の韓国相手に第1エンドでいきなり3点を先行される厳しい展開から終盤盛り返し、延長戦にまで持ち込むが、不利な先行だった11エンドで1点を奪われて勝負あり。3位決定戦に回った。

 3000人収容の江陵カーリングセンターは立ち見で観戦する人の姿も見られる超満員で、そのほとんどは地元・韓国ファン。2つ隣のシートでは並行して準決勝のもう1試合、スウェーデンvs.英国の試合も行われていたが、観客の目当てはもちろん日韓戦だ。度々「テーハミング」の大合唱が沸き上がり、韓国がさほど難しくないショットを決めても大きな歓声と拍手に包まれる超アウェー。日本も応援にかけつけた男子代表SC軽井沢を起点に「ニッポン」コールで対抗するのだが、すぐに「テーハミング」の大コールでかき消された。

 最終11エンドは、日本がセットアップに苦労しながらも何とか作り上げた盤面を韓国のサード、キム・キョンエがダブルテイクアウトで一掃する、この日何度も見られた展開となる。スキップの藤沢がナンバーワンを作るドローショットを決めて相手にプレッシャーをかけるが、韓国のスキップ、キム・ウンジョンが最終投をより内側にドローし、約3時間にわたる熱戦に終止符が打たれた。

崖っぷちの10エンドで1度は追いついたが……

後がない最終10エンドで一度は同点に追いつく粘りを見せたが…… 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 その前の10エンド目で、一度は終わったかと思われた試合だった。6−7で追う日本は不利な先攻で後がなく、スチールを求められる背水のエンド。双方に大きなミスなく進んでいくと韓国のサード、キム・キョンエの2投目が日本の黄色い石を2つ弾き出すダブルテイクアウトに成功。しかし自身の石がセンターガードの位置に残ったことで、回り込んだ日本にわずかに勝機が生まれる。

 藤沢が狙い通りのショットを決めてプレッシャーを与えると、ここまで好調だったキム・ウンジョンにミス。日本のナンバーワンを押し出したように思われたが、当たりが浅かったため自らもより大きく動いてしまい、日本が1点のスチールに成功する。予選ラウンドの日本戦と同じく、キム・ウンジョンは終盤にミスが出た。

「10エンド目も良い形ができて、良いタイミングでタイムアウトを取れました。最後のショットでも良い形が作れましたし、相手に決められたら拍手だと思っていました。もう負けたと思っていたんですけど、思った以上に相手の石が動いてくれたのでラッキーだなって」(藤沢)

 一度は両手を挙げて喜びかけた韓国選手たちだが、韓国の赤い石がスルスルっとボタンから遠ざかっていくと思わず天を仰ぐ。一方で、ハウス内でTラインを超えたストーンをスイープするべく構えていたはずの藤沢と吉田知那美の反応が遅れる。

「どちらもぼーっとしていました。結果的に大丈夫だったんですけど、(吉田)夕梨花に集中してと言われて『すいません』って。リンドコーチはめちゃめちゃ怒っていました」

 敗戦覚悟から一転、残ったチャンスにLS北見の選手たちは思わず笑顔を浮かべる。序盤から押される展開が続いていたこの試合で、もっとも笑い声が響いた瞬間だった。

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