両角友佑が語るカーリング界のリアル
「今の強化方法には限界がきている」
男子日本代表のスキップ・両角友佑に平昌五輪を振り返ってもらいつつ、カーリング界の“リアル”を聞いた
男子日本代表のスキップ・両角友佑に平昌五輪を振り返ってもらいつつ、カーリング界の“リアル”を聞いた【スポーツナビ】

 平昌五輪で日本のカーリング界は大きな躍進を遂げた。6大会連続の出場となった女子は史上初の銅メダルを獲得。20年ぶりに出場した男子も、初戦で強豪ノルウェーを破るなど4勝(5敗)を挙げ、準決勝進出にあと一歩まで迫った。


 歓喜に沸くカーリング界だが、競技を普及させていくための課題は山積みだという。男子代表として出場したSC軽井沢クラブのスキップ・両角友佑に平昌五輪を振り返ってもらいつつ、カーリング界の“リアル”を聞いた。

変化に対応する力が足りなかった

スウェーデン戦では、ストーンの変化に対応する力の差を感じたと振り返る
スウェーデン戦では、ストーンの変化に対応する力の差を感じたと振り返る【写真は共同】

――初の五輪は4勝5敗で予選8位でした。両角選手にとってはどのような五輪でしたか?


 本当にレベルが高い10チームの戦いの中で、まずは4勝できました。自分たちのチームの実力がこれくらいだなというのがよく分かってよかったと思います。「表彰台を狙う」と言って来ているので、目標よりも低い順位になってしまいましたが、実際に自分たちがいる位置は世界の中盤くらいだと思っています。


 僕ら中盤の上にカナダ、スウェーデンというトップ2カ国がいる。3位〜8位くらいのチームはその日や1週間の調子によって入れ替わるのではないかなと思っていたんですけれど、それがたまたま下の方にきてしまった。自分たちのやっていることが全くできずに終わってしまったという感じではなく、やることはできている試合もありましたし、あまり良くない試合もありました。ですので、自分たちの実力通りの結果だったという気持ちが強いです。


――目標としていた表彰台に向けて足りなかったのは、どのような部分だったのでしょうか?


 予選の(第6戦の)スウェーデン戦の直前に、(運営側が)ストーンの曲がる幅を大きくするために、ストーンのエッジ部分を削ったのですが、そこで一気に滑りと曲がり方が変わりました。それに対しての調整力が自分たちはすごく低いというのを感じさせられました。難しいのでみんな決まらないはずなのに、スウェーデンはほぼほぼ狙ったところに決め、逆に自分たちはミスして、第1エンドに3点を取られました。それもあって負けてしまったのですが、そういう変化に対応する力がまだまだ足りない部分だと感じました。


――その変化に対応する力はどのように養うものなのですか?


 経験数だと思います。スウェーデンのチームは今季、出場する大会を減らしていたと思うのですが、その前のシーズンはほとんどカナダにいて、ランキングが上でないと出られない大きな大会に出ていました。多くのアイスで試合に出場し、毎週変わるコンディションの中で調整するというすべを身につけてきたと思います。僕たちは今季、3カ月くらい外国に行って合宿をしていましたが、初めてのアイスでなかなかフィットしないときもありました。カーリングに関しては、そういうことの積み重ねが大事になってきますし、氷のフィーリングをつかむためにも経験が大事になるんだと思います。

「攻め過ぎる」という言葉に対して思うこと

完全アウェーの韓国戦でも「何の心配もなく試合ができていた」と両角友
完全アウェーの韓国戦でも「何の心配もなく試合ができていた」と両角友【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――逆に、今大会の収穫は何ですか?


「五輪は特別な場所だ」と言われてきたんですけれど、思ったよりは特別な場所ではなかったです(笑)。自分たちは毎年、世界選手権に出ているし、同じ顔ぶれでいつものように試合をしている感じでした。それが4勝できた要因でもあると思います。いつもと少し雰囲気が違う舞台でも、いつも通りのプレーをして、自分たちがやりたい作戦をできたというのは収穫だと思います。


――最終戦の韓国戦(4−10で敗北)は完全アウェーの中での戦いでした。


 僕自身は(第7戦の)カナダ戦以降、投げる調子が良くて、何の心配もなく試合ができていました。でも4人の積み重ねなので、たまには調子が悪い人も出てきますし、結果的には勝てなかった。自分たちの作戦についても「攻め過ぎる」と言われていたと思うのですが、僕にとっては「攻め過ぎる」という言葉の意味がよく分からなかったです。ショットの際に難しい選択をするから、バランスを考えた方がいいという指摘ですが、難しいショットも決めればいいだけの話です。そのときに「技術がないから」「もう少し楽な選択をしてリズムを整えた方がいい」、そう言う方がいます。でもそれはこの20年間、日本が五輪に出られなかった最大の理由だと僕は思っています。


――実際に「攻め過ぎる」という言葉が敗退が決まったあとにありました。


 技術がないから簡単なショットにするという逃げが、日本の男子をここまで低迷させたと個人的には考えています。結局は難しいショットを決め続けている人に五輪では勝たないといけない。ということは難しいショットを決める実力をつけなければいけない。そういう考えにならなかったのがこれまでの問題だと思うので、批判も含めて自分たちの力にできるようにしたいなと感じました。それができなかった韓国戦を終えて、いつでも高いレベルの技術を出せるようにすることが大事だなと再認識しました。


 一番ぶれてはいけないのが、そういう話を聞いて「危ないことをやり過ぎないようにしないと」と思ってしまうことです。そうならないためにも自分たちらしさをしっかり出し、それを100パーセントできるようにして勝てるようになるというのが理想です。本当の理想に届いていない分、まだまだできることはいっぱいあると思っています。

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