今シーズンの女子短距離は混戦模様 やり投の呂会会は大阪で世界トップ狙う
女子短距離ではコートジボワールのマリー・ジョゼ・タ・ルー(左)とミュリエル・アウレ(右)らがトップの座を争っている 【Getty Images】
今回は5月20日に開催されるゴールデングランプリ2018大阪(大阪・ヤンマースタジアム長居)直前の陸上界を展望する。
中距離はセメンヤ独壇場だが……
800m、1500mの中距離ではセメンヤが圧倒的な強さを見せているが…… 【Getty Images】
200mではリオ五輪400m金メダリストのショーナ・ミラー・ウイボー(バハマ)が好調だ。今季は200mに集中するというミラー・ウイボーは英連邦大会を大会記録の22秒09で制し、ダイヤモンドリーグ・上海でも22秒06で優勝している。一方、今季最速のタイム22秒04を記録しているのは、100mでも今季2位のタイムをたたき出しているオカグバレだ。2人の対決が待たれる。
中距離はキャスター・セメンヤ(南アフリカ)の独壇場になりつつある。得意の800mでは今季4回走って全レースで2分を切っており、1500mでも英連邦大会とダイヤモンドリーグ・ドーハで圧勝した。
しかし、その彼女の周囲が最近騒がしくなっている。09年のベルリン世界選手権で優勝して以来「セメンヤは本当に女性だろうか?」と疑いの目で見られていたが、4月下旬に国際陸上競技連盟(IAAF)は血中テストステロンが異常に高い中距離女性選手はそのレベルを下げなければレースに参加できないと発表した。血中テストステロンが異常に高い中距離ランナーのセメンヤを狙い撃ちにした決定と非難する人もいる。
10年前のディババの記録更新は? 400mHで米国新星が登場
18歳のシドニー・マクラフリンは世界ジュニア記録を更新。さらなる記録更新に期待がかかる 【Getty Images】
3000m障害も世界記録更新の可能性が高い種目である。世界記録保持者のルース・ジェベト(バーレーン)がさらに世界記録を更新する可能性ももちろんあるが、セルフィン・チェスポル、ベアトリス・チェプコエチらの“8分台ランナー”、そして8分台目前のヒュビン・キエンらのケニア勢にも世界記録更新の可能性がある。この種目でもう一人注目の選手は世界チャンピオンのエマ・コバーン(米国)。彼女も8分台までもう一歩、ロンドンでの走りはまぐれではなかったことを示したいところだ。
100mHはリオ五輪でメダルを独占した米国勢が今年も強い。今季リスト上位の選手はジャズミン・カマチョ・クイン(プエルトリコ)を除いてすべて米国選手だ。五輪金メダリストのブリアナ・マクニール(旧姓ローリンズ)、シェリカ・ネルヴィス、そして世界記録保持者のケンドラ・ハリソンが好調だ。その米国勢の一角を崩すと期待されるのが、前述のクインと昨年世界チャンピオンに返り咲いたサリー・ピアソン(オーストラリア)。今季は故障で英連邦大会欠場を余儀なくされたが、今後の動向が気になるところだ。
400mHは今注目の種目。何故なら18歳のシドニー・マクラフリン(米国)がノックスビルのレースで52秒75の世界ジュニア記録を打ち立てたからである。今季2度目の世界ジュニア記録だ。それだけではない。これは歴代9位の突出した記録で、ジュニアで54秒4より速く走った選手はほかにいない。世界ユースチャンピオンのマクラフリンには将来52秒47の米国記録だけでなく、15年前に樹立された52秒34の世界記録更新の期待がかかる。
棒高跳は2強にロンドン五輪女王が加わる構図に
12年五輪金メダリストのジェニファー・サーが復調。ステファニディとモリスの2強に加わる構図となった 【Getty Images】
円盤投では五輪と世界選手権を2回制したサンドラ・ペルコヴィッチ(クロアチア)の天下が続きそうだ。現在のところ上位3位までペルコヴィッチの記録だ。4位のダニ・スティーヴンス(旧姓サミュエルス)が68m26で英連邦大会を制したが、ダイヤモンドリーグ・ドーハでは5位に沈んだ。ペルコヴィッチの優位は揺るぎそうにない。
やり投ではグローバル選手権だけでなく、地域大会でも一度もメダルを獲得したことがないキャサリン・ミッチェル(オーストラリア)が今季はオセアニア記録を連発し、英連邦大会も68m92のオセアニア記録で制した。彼女に続くのが、世界選手権で銀と銅メダルを獲得している呂会会(中国)だ。今季ベストはダイヤモンドリーグ・上海での優勝記録66m85だが、ミッチェルの今季ベストとは2m以上の差がある。ゴールデンGP大阪でミッチェルと並ぶような距離を投げられるだろうか、期待が高まる。
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