羽生結弦が得た新たなモチベーション 「勝てる」より「見せたい」プログラムを

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自らプロデュースしたアイスショー

ファンに向けてこれまでの感謝を示すために、自らアイスショーをプロデュースした羽生結弦 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

「一人一人のスケーターがとても偉大ですし、そんな方々に自分がプロデュースしたアイスショーに来ていただけてとてもうれしかったです。ショーの一員としても、見る側としても、すごく魅力あるものになったと思います」

 羽生結弦(ANA)は、自身がプロデュースした『Continues〜with Wings〜』の初日(13日)を終えて、安堵(あんど)の表情を浮かべていた。このアイスショーは、平昌五輪で男子フィギュアスケート選手としては66年ぶりとなる2連覇を達成した羽生が、ファンに向けてこれまでの感謝を示すために開催されたもの。羽生がスケーターとして成長していく過程において、「影響を受けた、もしくはいろいろなものを受け継がせていただいた」スケーターも出演した。

 その顔ぶれは豪華の一言で、羽生自身が「スケート界の神様」と崇(あが)めるトリノ五輪金メダリストのエフゲニー・プルシェンコや、羽生のプログラムを振り付けるジェフリー・バトルやシェイ=リーン・ボーン、羽生にとって「頼れるお兄さん」で先日引退を発表した無良崇人らが、華麗な舞を披露した。羽生は右足首の負傷が癒えていないこともあり、主にトークでの出演が中心。自らがインタビュアーとなり、ジョニー・ウィアーに話を聞いたり、平昌五輪での演技を解説したりとファンを楽しませた。

 公演終盤には、当初予定になかった演技もサプライズで披露する。ジャンプこそ跳ばなかったものの、『ロシアより愛を込めて』(2004−05、05−06シーズンのフリースケーティング)、『ツィゴイネルワイゼン』(10−11シーズンのフリー)、『バラード第1番』(14−15、15−16シーズン、17−18シーズンのショートプログラム)の3曲を滑った。

「なるべくたくさんの試合に出たい」

アイスショー後の取材で、羽生は来季のグランプリシリーズ出場を明言した 【坂本清】

 公演初日の終了後、取材に応じた羽生はその場で来季のグランプリシリーズ出場を明言した。

「今のところはそう考えています。ただ、ループ、フリップ、ルッツに関しては全くやっていない状態で、それを跳んだときにどういう感覚なのか、痛みが出るのか出ないのか分からないので、状態によっては再考しなくてはいけないのですが、僕の気持ちとしては、なるべくたくさんの試合に出て、自分の演技をしていきたいと思っています」

 平昌五輪が終わってからは休養を取り、リハビリを始めたのが3月の終わり。現状スピンやステップをやる分には支障がないようで、だからこそ「公演でも滑ろうと思った」という。しかし、右足に負荷がかかるループ、フリップ、ルッツは跳ぶ動作すらしておらず、完治するまでしばらくは練習に組み込む予定はないそうだ。

 この1カ月はもっぱらアイスショーのことを突き詰めて毎日を過ごしてきた。

「実際にこうやってプロデュースする側に立ってみて、どれだけこのショーにいろいろな物語が込められているか、どれだけこのショーに感謝の気持ちや、凱旋(がいせん)報告という気持ちを込められるかというのをすごく考えてきました。その積み重ねだったので、自分が企画したショーとして達成できてよかったです。自分の伝えたかったことが、皆さんに少しでも伝わってくれればいいなと思ってやらせていただきました」

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