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東京2020 THE WAY to 2020

“福沢諭吉チック”なFW安藤瑞季
C大阪期待のルーキーが持つ反骨心

 2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを

紹介する連載企画「未来に輝け!ニッポンのアスリートたち」。第14回は大分出

身、サッカーの安藤瑞季(セレッソ大阪)を紹介する。

挫折と屈辱を味わった郷里

C大阪のFW安藤瑞季にとって、故郷の大分は挫折と屈辱を味わった場所でもある
C大阪のFW安藤瑞季にとって、故郷の大分は挫折と屈辱を味わった場所でもある【(C)J.LEAGUE】

「大分で試合があると燃えるんですよね」


 サッカーU−19日本代表にも名を連ねるFW安藤瑞季は高校時代にそんなことを言っていた。大分県は彼の郷里だが、同時に挫折と屈辱を味わった場所でもある。大分のヒーロー・福沢諭吉が10代で大分を飛び出して長崎で蘭学を学んだように、安藤も強い感情を胸に秘め、15歳で大分を去って長崎の地へと進み、そこで雄飛への足掛かりをつかむこととなった。


 大分県津久見市(大分県の南東沿岸のちょっとギザギザして突き出している辺り……と言ってイメージできる人がどのくらいいるのか分からないが)出身の安藤が小学校時代を過ごしたのは青江小サッカースポーツ少年団。名前から想像されるとおり、津久見市立の小学校をベースにした普通の少年団である。当時の写真を見させてもらったが、同じチーム内でも体格差のバラつきが非常に激しく、あまり運動していないような体型の選手もおり、優秀な選手を集めて強化に励んでいるようなチームでないことは一目で分かった。


 そういうチームにいたことが逆に幸いした部分も大きいのだろう。接触を恐れず、ゴールへと勇往邁進(ゆうおうまいしん)していく安藤の「ガツガツ&ゴリゴリ」プレースタイルの萌芽(ほうが)は、この頃すでにあったそうである。

「選抜やトレセンにいい思い出はない」

高校は兄も通っていた長崎総合科学大付属高を選択。「自分に合う」と思っての決断だった
高校は兄も通っていた長崎総合科学大付属高を選択。「自分に合う」と思っての決断だった【写真:アフロスポーツ】

 もっとも、そうした安藤のプレーが評価されていたかと言うと、そうでもない。中学に入って県内でも強豪のクラブチームである佐伯S-Play・MINAMIに進んでも、状況が決定的に変わることはなかったようである。


 佐伯市は大分県の南東端、津久見市の隣に位置するが、県のサッカー的メインストリームはどうしても大分市(そしてトリニータ)を中心とする中央部、福岡に近い中津市や宇佐市などの北部にあるのも否めない事実で、サッカースタイル、サッカー観にも少々落差がある。このため、安藤本人が「選抜とかトレセン(地域から選手を選抜する仕組み)とかにいい思い出は何もないっす」とぶぜんと振り返るような評価を受けることにもなった。


「絶対に、見返してやる。もう本当にそれだけでした」(安藤)


 福沢諭吉も家柄重視で能力を評価しようとしないことに憤激し、「二度と帰るか!」と(一説には唾を吐いて)中津を飛び出して長崎へ向かうのだが、安藤の心境も似たようなものだったかもしれない。それゆえに、冒頭で触れたように「大分での試合は燃える」のである。こうした反骨心の強さは、(本人はちょっと嫌がるかもしれないが)「大分っぽい」ストーリーには違いない。


 高校は兄・翼も通っていた長崎総合科学大付属高を選択した。ずっと自分にとっての「目標」だったと言う兄貴に近付きたいという思いもあっての選択だし、「自分に合うと思った」からこその決断でもあった。伝説的なキャリアを誇る大ベテラン・小嶺忠敏監督に統率されるチームの「練習が厳しい」といった話もちゃんと耳にしてはいたのだが、「自分は厳しいほうがいいっす」と意に介さなかった。

川端暁彦
川端暁彦
1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行
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