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東京2020 THE WAY to 2020

沖縄出身・ハンドボール東江は今も成長中
東京へ、世界へ、モデルチェンジで新境地

 2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け!ニッポンのアスリートたち」。第13回は沖縄出身、ハンドボールの東江雄斗(大同特殊鋼)を紹介する。

“得点技術”を武器にリーグMVPを獲得

昨シーズンMVP、得点王、ベストセブンなど主要タイトルを独占した東江雄斗。ハンドボールが盛んな沖縄県で持ち味である得点技術が磨かれた
昨シーズンMVP、得点王、ベストセブンなど主要タイトルを独占した東江雄斗。ハンドボールが盛んな沖縄県で持ち味である得点技術が磨かれた【写真:ロイター/アフロ】

 皆さんはハンドボール選手にどんなイメージを持っているだろうか。おそらく一般的には、ジャンプ力がスゴくて、俊敏、筋骨隆々で身体能力に優れたアスリート、という感じではないだろうか。


 しかし東江雄斗は少し違う。本人いわく「垂直跳びは60センチ未満だと思う」、「短距離走も学生時代からずっと遅いほう」だと。そんな東江が武器としているのは“得点技術”だ。


 ハンドボールのシュートは、剛速球を投げて速さで押し切るだけでなく、モーションに変化をつけてゴールキーパーをだましたり、反応を遅らせるような技術も必要になってくる。東江は時には正攻法の速球を投げ、時には同じモーションから異なるコースを投げたり、ボールの出どころを変えたり、ゴールキーパーにシュートを取らせないテクニックに長けている。こうして社会人1年目の2016−2017シーズンに日本ハンドボールリーグシーズンMVP、得点王、ベストセブンなど主要タイトルを独占し、日本代表にも選ばれた。


 東江は1993年沖縄県生まれ。沖縄は日本でも屈指のハンドボールが盛んな地域で、日本リーグの試合に3000人の観客が集まることもある。東江も含め、日本リーグの過去4年のシーズンMVPは沖縄出身の選手で占められているほどだ。


 両親ともにハンドボール選手だった東江は、小学1年生から競技を始める。沖縄はハンドボールを楽しむ風土があり、自由なプレーを許されてきた。小学生がトリックシュートを試みても監督にしかられることがない。こうした沖縄ならではの競争の激しさ、遊び心が融合し、ゴールキーパーのタイミングを外す得点技術が磨かれていった。中学、高校、大学と常に日本のトップ選手として活躍し、そのまま日本リーグMVP、日本代表に選ばれた。絵に描いたようなエリート選手としての道を歩んでいる東江が、次に目標としているのは東京五輪での活躍と、海外リーグでのプレーだ。

常に課題となる海外勢とのフィジカルの差

高いレベルの海外でプレーすることについて「レベルアップのための一番手っ取り早い方法」と東江(左)は言う
高いレベルの海外でプレーすることについて「レベルアップのための一番手っ取り早い方法」と東江(左)は言う【写真:築田 純/アフロスポーツ】

 しかし日本代表の五輪に向けての準備は、決して順調とは言えない。今年1月のアジア選手権(韓国・水原)は6位に終わり、世界選手権への出場権を逃した。国際試合を終えた代表選手がそろって口にするのは、海外勢とのフィジカルの差。東江も「国際試合では相手にはじき飛ばされる」と語るように、日本と海外勢とのパワーの差は大きい。代表合宿期間中はウエイトトレーニングを日常的に行っているが、各選手が所属するチーム(主に日本リーグ所属の実業団)ではチームごとの取り組みに差があり、あまりウエイトを積極的に行っていないチームもある。長く日本代表の課題となっているフィジカル強化は、今も最大の課題のままだ。


 また日本リーグでプレーする選手のほとんどは、実業団で働く会社員。毎日の業務はあるものの、安定した練習環境が用意されている。これに対して海外リーグはレベルが高い割に報酬が決して高くないこと、プロリーグが多い欧州での言葉の問題など、移籍のハードルは決して低くない。それでも、より高いレベルの海外でプレーすることはトレーニングとして効果的であることは間違いなく、東江も「レベルアップのための一番手っ取り早い方法」と話す。東江が次の目標とする東京五輪での活躍と海外移籍の2つは、ちょうど同じ道の上にある。

吉藤宗弘

1973年石川県生まれ。東京外国語大学卒。ライター、翻訳家としてNBA、MLBなど海外スポーツを中心に執筆。自身のトレーニング経験を生かして作成に参加した「基礎から学ぶスポーツトレーニング理論」(日本文芸社)が発売中。スウェーデンのスポーツブランド「サルミング」の日本法人代表も務める。

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