フットボールは精神状態に左右される競技 レアルとアトレティコの浮沈に感じること

フットボールとメンタルの関係とは?

フットボールとメンタルの関係は、マドリーを2分する2クラブの状況にも見て取ることができる 【写真:ロイター/アフロ】

「フットボールは精神状態に大きく左右される競技である」

 これは選手として、監督として、そしてディレクターとしてレアル・マドリーなどで活躍してきたホルヘ・バルダーノが常々口にしている言葉だ。

 あらゆる立場からこの競技に関わってきた彼は、スポーツメディアの世界にまで進出し、書籍も刊行している。そんなバルダーノが繰り返し主張してきたフットボールとメンタルの関係は、マドリーを2分する2クラブの状況にも見て取ることができる。

 2017年前半のレアル・マドリーは充実した精神状態で戦えていた。チャンピオンズリーグ(CL)ではユベントスを決勝で下して連覇を成し遂げ、ラ・リーガとの2冠を獲得。8月にはUEFA(欧州サッカー連盟)と国内のスーパーカップも制している。

 これらの輝かしい成功を手にした後、引き続き毎試合高い集中力を維持するのは難しいことだ。ゆえに今季に入って不安定なパフォーマンスを繰り返す選手が増えたのも不思議なことではなかったのだが、周囲はまるで全てが崩壊しだしたかのように危機感をあおりはじめた。

二転三転したジダンの評価

経験不足を指摘されたり、称賛されたりとジダンの評価は二転三転した 【写真:ロイター/アフロ】

 その間、ジネディーヌ・ジダンに対する評価も二転三転した。ラファエル・ベニテスの後任に就いた際には監督としての経験不足を指摘されたが、その後の成功で称賛の嵐を受けるようになった。それが今季は結果、内容ともに不安定な戦いが続く中で批判が高まり、監督交代の必要性を主張する声まで聞かれるようになった。

 ラ・リーガでは早々に優勝争いから脱落し、CLでもトッテナム・ホットスパーに後塵を拝してグループ2位通過にとどまった。昨年12月のクラブワールドカップではタイトルこそ手にしたものの、低調なプレー内容とジダンに対する厳しい評価は変わらなかった。

 この頃にはもう現行のCLで初の2連覇を成し遂げた功績(カルロ・アンチェロッティのアシスタントコーチ時代を含めれば過去4シーズンで3度優勝している)は忘れ去られ、ジダンの任期も今季終了までとみなされるようになった。

 それからわずか3カ月後。レアル・マドリーは昨夏に多額の資金を投じて大型補強を敢行したパリ・サンジェルマン(PSG)を下し、残る唯一のタイトルとなったCLでベスト8に勝ち進んだ。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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