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優勝争いを再燃させたアトレティコ
週末のバルサ戦は今季最高の対戦カード

先週末のセビージャ戦は今季最高の出来

第21節から連勝を続けるアトレティコ。週末には首位のバルセロナと対戦する
第21節から連勝を続けるアトレティコ。週末には首位のバルセロナと対戦する【Getty Images】

「全力を尽くすという使命に例外はない」


 これはアトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督が度々口にする言葉であり、彼が率いるチームに植え付けてきた最も重要な価値観である。


 シメオネが就任した2011年以降のアトレティコを追ってきた者、そして彼のチームと対戦してきた者は、この価値観をよく理解しているはずだ。シメオネの手により、アトレティコは極めて戦いにくいチームへと変貌した。彼らの前でミスを犯したり、集中力を切らせたりすれば、対戦相手は高い代償を払うことになるからだ。


 先週末のラ・リーガ第25節、本拠地ラモン・サンチェス・ピスファンにアトレティコを迎えたセビージャもそうだった。セビージャはこの日、とりわけ試合開始からの25分間にわたってボールを支配し、ゲームの主導権を握っていたにもかかわらず、終了10分前の時点でスコアは0−5となっていた(最終スコアは5−2でアトレティコの勝利)。


 それだけ点差が開いた原因の1つは、セビージャのビルドアップ時に生じた2つのミスにある。元セビージャ監督で、現在はアルゼンチン代表を率いるホルヘ・サンパオリが見守る中、同代表の主力であるエベル・バネガとガブリエル・メルカドが自陣で犯したボールロストを生かし、アトレティコは2ゴールを手にしている。


 さらにはアントワーヌ・グリーズマンとジエゴ・コスタが狭いスペースを崩したゴール、コスタが倒されて得たPK、そしてセルヒオ・リコには止めようがないグリーズマンのスーパーゴールもあった。この試合で発揮した攻撃陣の破壊力、決定力は今季これまでなかなか見られなかったものだ。


 ラモン・サンチェス・ピスファンの一戦では、他にも個々の集中力、ハイプレス、高い位置でボールを奪った後のショートカウンターのレベルが極めて高かった。試合後にはシメオネ自身も今季最高の出来だと認めていたくらいだ。

今週末は首位バルセロナとの直接対決

質の高い選手を多数擁しながら、常に誰もがチームを優先するのがシメオネのチームの強みだ
質の高い選手を多数擁しながら、常に誰もがチームを優先するのがシメオネのチームの強みだ【Getty Images】

 そんなタイミングでアトレティコは、優勝争いを左右するシーズン最大の山場を迎えることになった。勝ち点差5という状況で今週末にカンプノウで臨むバルセロナとの直接対決は、遥かに高い資金力と世界最高のプレーヤーを擁する相手とどこまでタイトルを争えるのかを占う一戦となる。


 今季のラ・リーガはバルセロナの優勝で決まりだと思っていた人がいるとすれば、それは“チョロ(シメオネの愛称)”の哲学を知らないからだろう。彼は計算上、可能性が残っているうちに諦めることは決してない。ほんの2、3週間前までほぼ不可能な状況にあった今季も、その好例となるかもしれない。


 ラ・リーガでは首位バルセロナに独走を許し、国王杯も既に敗退。さらにチャンピオンズリーグ(CL)も決勝トーナメント進出がかなわず、ヨーロッパリーグ(EL)に回ることになった。近年より高いレベルで戦ってきた選手たちにとって、もはや今季に大きなモチベーションは残っておらず、来季のCL出場権さえ確保すれば良いものだと思われた。


 だがアトレティコはジローナと1−1で引き分けた第20節を最後に、以降のリーグ戦6試合で勝ち点18を積み重ねてきた。その中にはバレンシア、アスレティック・ビルバオ、セビージャら強豪チームも含まれる。さらにはモチベーションの維持が難しいと見られていたELでも、コペンハーゲンを難なく下してロコモティフ・モスクワとのベスト16に進出している。


 質の高い選手を多数擁しながら、常に誰もがチームを優先する。それこそがシメオネ率いるチームの強みである。他のビッグクラブほど相手ゴールを陥れる頻度は少ないかもしれない。それでもベースとなる堅守は健在であり、今季も26節終了時点でリーグ最小の11失点しか与えていない。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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