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異例の危機に苦しむジダンとR・マドリー
辞書には「論理」も「忍耐」も存在しない

首位バルセロナとの勝ち点差は19に

19節終了現在、レアル・マドリーは首位バルセロナと勝ち点19差の4位に甘んじている
19節終了現在、レアル・マドリーは首位バルセロナと勝ち点19差の4位に甘んじている【写真:ロイター/アフロ】

 奇跡でも起きない限り、レアル・マドリーが今季のラ・リーガを制することはあり得ない。それは議論の余地なき現実である。


 これが初めてではないし、今後も同様のシーズンはあるだろう。だが今回に関しては、他とは決定的に異なる要素がある。まだシーズンの半分も消化していない段階で、優勝の可能性を失ってしまったことだ。


 19節終了現在、レアル・マドリーは首位バルセロナと勝ち点19差の4位の位置にいる。2月21日(現地時間)に予定されている未消化のレガネス戦に勝てば16差となるが、現時点では首位より降格圏の18位デポルティーボ(16差)に近い位置にいることになる。チームの総得点は32。これはリオネル・メッシ(17ゴール)、ルイス・スアレス(13ゴール)の2人が決めたゴール数と大差ない数字である。


 しかもバルセロナには12月23日に行われたサンティアゴ・ベルナベウでの直接対決にて0−3で敗れているため、万が一、勝ち点が並んだ際に上位に立つためにはカンプノウの再戦にてそれを上回るスコア差で大勝する必要がある。


 さらには3位バレンシアにも勝ち点8差をつけられており、5位ビジャレアルとは1差、6位セビージャとも3差しか離れていない。つまり現時点では来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権も安泰ではなくなっている。もはや大きな意味を持たなくなったラ・リーガにおいて、レアル・マドリーは来季のCL出場を確定するためだけに後半戦を丸々戦わなければならないわけだ。

昨季までのチームとあまりにもかけ離れたレアル

今季のレアル・マドリーは昨季までのチームとはあまりにもかけ離れている印象だ
今季のレアル・マドリーは昨季までのチームとはあまりにもかけ離れている印象だ【写真:ロイター/アフロ】

 チーム戦術からメンタルの問題まで、不調の原因についてはさまざまな説明が可能だろう。クリスティアーノ・ロナウドやカリム・ベンゼマ、イスコら主力選手の不調もそうだ。ダニエル・カルバハルやガレス・ベイル、セルヒオ・ラモス、ケイロル・ナバスらの負傷もあった。だがそれらの要因を差し引いても、今季のレアル・マドリーは昨季までのチームとはあまりにもかけ離れたチームになった印象がある。


 もう1世紀も前の出来事のように思えてしまうが、昨年5月までのレアル・マドリーは向かうところ敵なしのチームだった。カーディフのCL決勝では難敵ユベントスを4−1で一蹴。4年間で3度目の欧州タイトルを勝ち取ると同時に、現行のCLでは史上初の2連覇を実現している。


 レアル・マドリーが抱える大きな問題は、クラブの周囲も含めて「忍耐」という概念を持たないことだ。昨年はCLとクラブワールドカップ(W杯)をいずれも連覇し、さらにラ・リーガまで勝ち取った。そんなチームが主力選手と監督をほぼそのまま維持しているにもかかわらず、ここまでチームが疑問視されるのは尋常ではない。普通なら誰もがそう考えるところである。しかし、この数カ月のうちに、人々の記憶は奇麗さっぱり洗い流されてしまったようだ。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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