最高の状態とは程遠いレアル・マドリー 調子を落とすBBC、ジダンの評価も変化
現状を憂いているレアル・マドリーのファン
調子の上がらないレアル・マドリー。議論の余地なき存在だったジダンの評価も変化してきた 【写真:アフロ】
しかし、現実は別のところにある。ファンがレアル・マドリーの現状を憂いているのは、ここ数カ月の間に組織力を失い、もはや安定感抜群のプレーやどんな形の攻撃からでもゴールを奪える驚異の破壊力を誇っていたチームではなくなってしまったように見えるからだ。
ジネディーヌ・ジダンに対する評価も少しずつ変わってきた。昨季までサンティアゴ・ベルナベウのファンにとって議論の余地なき存在だった彼は、スペインメディアもその巧妙なグループマネジメント、選手たちに退屈な演説を強要しないシンプルなコンセプト、的確な選手交代などを、親しみを込めてたたえてきた。それが今では現状に満足し、苦境を脱するすべを持たず、戦術的アイデアにも乏しい、一部のスター選手がトップフォームを失うと最大限のパフォーマンスを引き出せなくなる監督と見られるようになっている。
攻撃陣のバランスが大きく変化
けがによる離脱を繰り返すベイル。代役のイスコとはプレーエリアが異なる 【写真:アフロ】
ラ・リーガではベルナベウで想定外の取りこぼしを繰り返し、CLではロンドンでマウリシオ・ポチェッティーノ率いるトッテナム・ホットスパーに誰もが予期せぬ完敗を喫した(1−3)。しかもトッテナムはホームのベルナベウの対戦でも勝利を手にしかけている(1−1)。レアル・マドリーがかろうじて敗戦を逃れられたのは、絶好調ハリー・ケインの決定機を阻んだGKケイラー・ナバスのスーパーセーブがあったからだ。
レアル・マドリーが昨季とは似て非なるチームであることは確かだ。大きな要因の1つはギャレス・ベイルの不在だろう。けがによる離脱を繰り返す彼の穴には成長著しいイスコが徐々に定着してきたが、彼のプレーエリアはベイルのそれとは異なる。
クリエーティブなアタッカーであるイスコは2列目から攻撃に加わり、ゴールを生み出すことができる選手だ。だが彼はベイルのようにサイドをスピーディーに突破できるタイプではないため、チームは彼の起用に伴いシステムの変更を強いられた。さらにはC・ロナウドも“9番”としてのプレーを受け入れ、サイドを主戦場としなくなったことで、攻撃陣のバランスは近年とは全く異なるものになっているのだ。