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最高の状態とは程遠いレアル・マドリー
調子を落とすBBC、ジダンの評価も変化

現状を憂いているレアル・マドリーのファン

調子の上がらないレアル・マドリー。議論の余地なき存在だったジダンの評価も変化してきた
調子の上がらないレアル・マドリー。議論の余地なき存在だったジダンの評価も変化してきた【写真:アフロ】

 数字や統計の羅列からレアル・マドリーの現状を説明するのであれば、彼らは現世界王者であり、チャンピオンズリーグ(CL)2連覇中のディフェンディングチャンピオンである。今季のCLもグループリーグ突破はほぼ確実で、首位バルセロナに勝ち点8差をつけられているラ・リーガもまだ先は長く、エル・クラシコでの直接対決も2試合残っている。


 しかし、現実は別のところにある。ファンがレアル・マドリーの現状を憂いているのは、ここ数カ月の間に組織力を失い、もはや安定感抜群のプレーやどんな形の攻撃からでもゴールを奪える驚異の破壊力を誇っていたチームではなくなってしまったように見えるからだ。


 ジネディーヌ・ジダンに対する評価も少しずつ変わってきた。昨季までサンティアゴ・ベルナベウのファンにとって議論の余地なき存在だった彼は、スペインメディアもその巧妙なグループマネジメント、選手たちに退屈な演説を強要しないシンプルなコンセプト、的確な選手交代などを、親しみを込めてたたえてきた。それが今では現状に満足し、苦境を脱するすべを持たず、戦術的アイデアにも乏しい、一部のスター選手がトップフォームを失うと最大限のパフォーマンスを引き出せなくなる監督と見られるようになっている。

攻撃陣のバランスが大きく変化

けがによる離脱を繰り返すベイル。代役のイスコとはプレーエリアが異なる
けがによる離脱を繰り返すベイル。代役のイスコとはプレーエリアが異なる【写真:アフロ】

 ロンドンで行われた「ザ・ベストFIFAフットボールアワード」の授賞式で主役となったことも、ジダンとクリスティアーノ・ロナウドに対する現在の評価には大した影響を及ぼさなかった。2017年の最優秀監督に選ばれた指揮官は今、早急にリアクションを起こすことを求められている。


 ラ・リーガではベルナベウで想定外の取りこぼしを繰り返し、CLではロンドンでマウリシオ・ポチェッティーノ率いるトッテナム・ホットスパーに誰もが予期せぬ完敗を喫した(1−3)。しかもトッテナムはホームのベルナベウの対戦でも勝利を手にしかけている(1−1)。レアル・マドリーがかろうじて敗戦を逃れられたのは、絶好調ハリー・ケインの決定機を阻んだGKケイラー・ナバスのスーパーセーブがあったからだ。


 レアル・マドリーが昨季とは似て非なるチームであることは確かだ。大きな要因の1つはギャレス・ベイルの不在だろう。けがによる離脱を繰り返す彼の穴には成長著しいイスコが徐々に定着してきたが、彼のプレーエリアはベイルのそれとは異なる。


 クリエーティブなアタッカーであるイスコは2列目から攻撃に加わり、ゴールを生み出すことができる選手だ。だが彼はベイルのようにサイドをスピーディーに突破できるタイプではないため、チームは彼の起用に伴いシステムの変更を強いられた。さらにはC・ロナウドも“9番”としてのプレーを受け入れ、サイドを主戦場としなくなったことで、攻撃陣のバランスは近年とは全く異なるものになっているのだ。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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