名司令塔・バーンズが語るチーム愛 「彼らの成功は自分の成功でもある」

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「北半球と南半球とのプレーの差があまりなくなった」

世界最高峰のゲームメイクを見せるベリック・バーンズ(パナソニック) 【写真提供:WOWOW】

 ラグビーの司令塔と呼ばれるポジションのSO(スタンドオフ)。そこで世界最高峰のゲームメイクを日本で見せてくれるのがパナソニックのベリック・バーンズだ。
 オーストラリア代表51キャップを持ち、パス、キックなど、すべてのスキルを高いレベルで実行する。そして常にフレンドリーな姿勢を崩さない。プレーでも人格でもチームメイトとファンを魅了する司令塔、バーンズ選手の話に耳を傾けよう。

――シックス・ネーションズ(欧州6カ国対抗戦)という大会にどんな印象を抱いていますか。

 長い歴史を刻んで行われている伝統ある素晴らしい大会だと思います。一番の魅力はとにかくファンの情熱がすごいことです。また、ホーム&アウェイでプレーする緊張感もたまらないですね。
 シックス・ネーションズの試合が行われるスタジアムは世界有数の大きなスタジアムで、どの試合でもスタンドは満員になります。すごい熱気の中で試合が行われるのも魅力のひとつなんです。とにかく、シックス・ネーションズで勝つことは容易なことではないですね。

――南半球と北半球のラグビーには何か違いがあるのでしょうか?

 5年、10年前はゲームのスピードなどが全く違いました。シックス・ネーションズの試合はとてもスローでしたから。でも最近は進化を遂げていて、北半球、特にイングランド、アイルランド、スコットランドのプレーを見ていると、北半球と南半球とのプレーの差があまりなくなったように思います。差が縮まった分、良い形で前に進んでいるのではないでしょうか。

欧州では「国歌斉唱の時の雰囲気も特別なもの」

2011年ワールドカップ準々決勝で勝利し、笑顔を見せるバーンズ 【写真:ロイター/アフロ】

――地元はオーストラリアですが、北半球でプレーするのは好きですか?

 北半球でプレーすること自体は大好きです。何より、ファンの情熱がすごい。チームの歌を歌ったり、楽器を鳴らしたり、いろいろな衣装を身につけて応援したりします。オーストラリアのファンもチームをサポートする気持ちはもちろんありますけど、文化的な違い、国民性の違いもあり、あまり大騒ぎして観戦したりはしないです。
 でも、北半球ではまるでお祭りの中でラグビーをするみたいな気分になります。だから北半球でプレーするのは楽しいし、大好きです。プレーの面では、フィジカルな部分で相手に絶対負けないこと。これはバックスもフォワードも。それができないと本当に厳しい試合になります。

――オーストラリアではラグビーを見るときに静かなのが文化なのですか?

 オーストラリアは、試合を見るときの観客の雰囲気、反応がヨーロッパとは違うのです。ラグビーのことはよくわかっているし、自分たちの代表チームを応援しようという気持ちは十分にあります。だけど、オーストラリアの国民性といったらいいのかな……あまり声を出して騒いで応援するタイプではないですよ。

 ヨーロッパでは国歌斉唱の時の雰囲気も特別なものがあります。特にウェールズのカーディフ、イングランドのトゥイッケナムの歌声はすごくて、僕たちにとっては大変なプレッシャーになります。トゥイッケナムでイングランドに負けたのは僕にとって最悪の思い出です。まあ、この話はもう6、7年も前の話だから、今はちょっと違っているかもしれないですけどね。

パナの同僚が日本代表に選ばれるようにサポート

パナソニックではチームメイトの日本代表入りをサポートしたいと語る 【写真:築田純/アフロスポーツ】

――日本代表は来年のワールドカップで、アイルランドとスコットランドと対戦します。

 いい試合をすると思います。日本の持ち味であるスピードが発揮されれば、相手は困るでしょうね。それに加えて、フィジカル面で対抗できれば、勝てる可能性は十分あると思います。それを証明したのは2017年11月のトンガとの試合でしたね。とてもいい試合をしました。
 そして、それ以上に素晴らしかったのはフランスとの試合です。23対23の引き分けでしたけど、勝ってもおかしくない試合でした。引き分け以上の試合をしたと思います。

 もちろん、アイルランドもスコットランドもどんどん良くなっていますし、ワールドカップでは特にタフな戦いをします。だけど、日本には地元の応援も味方しますし、勝つ可能性は十分にあると思います。ワールドカップは見応えのある、エキサイトな大会になると思います。

――日本がワールドカップで勝つには何がカギになると思いますか?

 2019年のワールドカップは、2015年イングランド大会でいい結果を出したチームとはまた違う形になってくると思います。2017年になって若手の選手を起用するなどの変化があったばかりですよね。
 これから2年かけて、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)とトニー・ブラウン(アタックコーチ)が目指すやり方を身につけて、エディー・ジョーンズ(前日本代表HC)が求めたものとは違う、新しいプレーの仕方をものにしていかなくてはなりません。まだ少し時間がかかるでしょう。取り入れ始めて間もない時に戦ったオーストラリア戦では結果を出せなかったけれど、これから時間をかけて、ワールドカップまでにチーム力を高めていけば力を発揮できると思います。

 パナソニックにはいま、どんどんいい選手が育っていて、昨年秋の日本代表に選ばれた選手が10人以上もいます。これは素晴らしいことです。パナソニックのメンバーがワールドカップでも日本代表に選ばれるよう、僕もサポートしていくつもりです。

――特に期待している選手はいますか?

 若手の選手もベテランの選手も、活躍を楽しみにしています。ベテランのHO(フッカー)堀江翔太、SH(スクラムハーフ)田中史朗、長い間プレーしてきた彼らが地元日本で開催されるワールドカップに出場できたらうれしいですね。彼らは素晴らしい経験を持っているし、努力を重ねてきたからこそ、その努力が報われたらいいと思います。怪我がないことを祈っています。

 それから、若手SOの松田力也と山沢拓也。彼らと一緒にプレーできて、僕は幸せです。彼らにはチャンスをものにしてもらいたいですね。
 それから稲垣啓太やヴァル アサエリ愛のPR(プロップ)軍団も。他にもパナソニックにはワールドカップを狙える選手がたくさんいます。彼らの活躍が本当に楽しみです。

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