日本代表・田村優が語る欧州ラグビー 「もし僕が対戦するとしたら…」
「エディーさんがどんなラグビーをしてくるか」
日本代表の司令塔として活躍する田村優 【写真提供:WOWOW】
2015年のワールドカップ(W杯)ではエディー・ジャパンの一員としてスコットランド戦で先発。16年にもスコットランド、そしてウェールズと戦い、17年にはアイルランド、フランスと対戦。記憶に新しいフランス戦では日本代表史上初の引き分けという結果をもたらした。14年に対戦したイタリアを含め、シックス・ネーションズのイングランド以外の5カ国と対戦した経験を持っている。
そんな田村選手に、2月3日に開幕する「欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」の展望を聞いた。
──はじめにシックス・ネーションズの印象をお聞かせください。
見始めたのは大学生のころです。お互いのプライドがぶつかり合う試合が多いですね。(日本代表として)対戦してきた中で、一番印象に残っている試合は16年のウェールズ戦(ウェールズ・カーディフ)です。その前年のW杯で日本代表がいい結果(3勝1敗)を残したことでお客さんが多く入ってくれて(7万3969人)、国を挙げての大きい試合だなと感じました。
──注目しているチームはありますか?
全部なんですけど、今はスコットランドがラグビーのスタイルを変えてきていて、見ていて楽しいラグビーになってきているなと思っているので注目しています。
昨年11月に対戦したフランスはギー・ノヴェスHC(ヘッドコーチ)が解任されて(ジャック・ブリュネルが新HCに就任)、どう巻き返してくるかも興味深いですし、イングランドもエディーさん(ジョーンズHC)がどんなラグビーをしてくるか興味がありますね。
スコットランドは「いろいろな工夫をしている」
15年ワールドカップでは、スコットランドに敗れた 【写真:アフロ】
以前は体のサイズを生かしてくる南アフリカに近いイメージがあったのですが、昨秋の試合を見ているとボールをどんどん動かしていましたので、いろいろな工夫をしているな、アタックをしっかりやり出したな、と思いました。注目はやはり舵取り役のSH(スクラムハーフ)、グレイグ・レイドローですね。いるのといないのとでは全然違います。
──FB(フルバック)のスチュワート・ホッグはシックス・ネーションズで2大会連続MVPに選ばれました。
速い選手ですが、それだけではなく“読み”もすごくいいので、ちょっと気を抜くと触ることができずに抜かれてしまいます。世界で一番いいと言ってもいいぐらいの、何でもできるFBですね。
──スコットランドと同じく、アイルランドも19年のW杯で日本代表と対戦するチームです。前回のシックス・ネーションズではイングランドに唯一、土をつけています。
僕たちが昨年対戦したアイルランドは、ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ(イングランド・ウェールズ・スコットランド・アイルランドの4カ国で4年に1度編成されるチーム)で主力が抜けていました。
でも底上げがしっかりできていて、基本的なスキルも高くミスが全然なかったので、そう簡単に勝てるチームではないと思いました。
──アイルランドには名SO、ジョナサン・セクストンがいます。
ずっと相手ディフェンスに仕掛け続ける選手です。まっすぐ走り、パスの精度も高く、自分が動きながらゲームをコントロールしていくタイプですね。ランニングだけでなくディフェンスも素晴らしいです。
「なんであんなにうまいんだろう」と思ったキッカー
ウェールズ戦でゴールキックを狙う田村 【写真:FAR EAST PRESS/アフロ】
エディーさんは『倒れたらすぐ起きろ』とか『早くセットしろ』といったことに厳しいので、選手が怠けなくなったのではないでしょうか。体が大きいうえによく動いていることと、エディーさんが描いている戦術が融合しています。やろうとしていることも明確で、そのあたりが勝因になっているのではないでしょうか。
──それでは、昨年11月に日本代表がドローに持ち込んだフランスに対してはどんな印象を持ちましたか?
強烈な印象はなかったですね。正直なところ、あのチームでどうやってシックス・ネーションズで接戦を演じてきたのかなと……。おそらく波が激しくて、その波がいい時は勢いを止められない、そんなチームなのではないでしょうか。
──ただ、SHは若い選手が台頭しています。
日本代表戦で前半から出てきた選手(バティスト・サラン)の方が堅実にゲームをコントロールするタイプで、後半の選手(アントワーヌ・デュポン)の方が気も強そうで自分からガツガツいくタイプに見えました。どちらもよく自分から動く選手でしたね。
──16年に対戦したウェールズについてはいかがでしょうか。
スコットランドと似ている印象があります。よくボールを動かして、フォワードにも機動力があり、スクラムもそこそこ強いです。よくまとまっていて、すごくいいチームですね。
──ウェールズの核で欧州最高クラスのFB、リー・ハーフペニーの印象はいかがですか?
彼はゴールキックがうまいので、同じキッカーとして『なんであんなにうまいんだろう』と思いながら見ていました。フォーム、蹴るまでのテンポ、ボールの軌道、どれも安定していたので見入ってしまいましたね。
「実際に試合をする感覚で観戦したい」
強豪・アルゼンチンの防御を突破する田村 【写真:アフロスポーツ】
シックス・ネーションズを初めて見る方は、大きい選手たちがどれだけいっぱい走っているかご注目ください。ボールを持っているところばかりがフォーカスされがちですが、それ以外のところでも選手たちは画面の端っこでいっぱい走っています。そういう選手を見ていただいても面白いと思います。
──熟練した目を持つファンにも助言をお願いします。
どのチームがどういうスタイルで戦っているかを見ると面白いでしょう。どの国もスタイルが似ているのですが、その中でどこも工夫しながら色を出していこうとしているので、そこを見るといいと思います。
──田村選手自身は今回のシックス・ネーションズをどう観戦しますか?
各国がどんなスタイルでやっているか、もし僕が対戦するとしたらどう戦うか、実際に試合する感覚で観戦したいですね。特に19年のW杯で日本代表と対戦するアイルランドとスコットランドについては、彼らがどのように試合を運びたいのかを見極めたいと思っています。
──最後にズバリ、田村選手が予想する優勝国は?
たぶんイングランドが優勝すると思うのですが、スコットランドに優勝してほしいと思っています。最初に言ったように、見ていて楽しいラグビースタイルに注目しています!
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第2節:
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スコットランドvsフランス 2/11(日・祝)夜11:50〜 [WOWOWプライム]
第3節:
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スコットランドvsイングランド 2/24(土)深夜1:30〜 [WOWOWライブ]
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