日本代表・福岡が体感した欧州ラグビー 「ディフェンスにプライドを持っている」

WOWOW

「シェーン・ウィリアムズに注目していました」

驚異的なスピードを誇る日本代表のトライゲッター、福岡堅樹 【写真提供:WOWOW】

 日本ラグビー界最速のトライゲッター。筑波大2年時の2013年に日本代表入りして以来、その称号をつかみ続けているのがWTB(ウイング)福岡堅樹だ。
 輝くのは50メートル5秒7のスピードだけではない。キレのあるステップで相手をかわし、ハイボールに飛びついて捕球し、身体を張ったタックルでトライ寸前の相手を倒し、チームを救う。日本ラグビー界に欠かせない選手の一人となった韋駄天が語る世界のラグビーとは。

――福岡選手はシックス・ネーションズをいつごろから見ていた記憶がありますか?

 中学、高校くらいから見ていたと思います。ただ、バックスの僕としては、南半球のトライネーションズ(現ザ・ラグビーチャンピオンシップ)やスーパーラグビーの方が展開が多いので、主にそちらを楽しんでいました。

――南半球のラグビーと北半球のラグビーの違いについてはどんな印象を持っていましたか?

 北半球の試合には洗練されたプレーが多いという印象がありましたね。ボールを動かす比率は高くなくても、個々の才能は南半球にも劣らない選手がそろっているので、フィジカルも激しい。個人でいうと、ウェールズのシェーン・ウィリアムズ(身長170cmでウェールズ代表87キャップ)に注目していました。自分もWTBなので、彼が世界の舞台で戦っているのを『いいなあ』と思って見ていました。

――シェーン選手の何かを真似たり、技術を取り入れたりしたのですか?

 直接的にどう、というのはないですね。中高生くらいのころだったので(笑)。でも、走るコースとか、あの小さな身体でいかに相手に触らせないで抜いていくか、というところは参考にした部分があります。個人的に好きな選手でもありましたから。

――日本代表入りしてからは、北半球の代表チームとも対戦するようになりました。体感したことは何かありましたか?

 ひとつひとつのプレー、タテの強さだったり、ディフェンスの堅実さは、南半球に多いアイランダー系(フィジー、トンガ、サモア系)の選手たちよりも特化しているな、と思う部分がありました。

欧州強豪国と対戦して感じたもの

2013年のスコットランド戦では2トライを奪う活躍を見せた 【写真:アフロ】

――実際にプレーしたときの、試合会場の雰囲気などからは何か感じましたか?

 初めてシックス・ネーションズの参加国の本拠地で試合をしたのは2013年秋のスコットランド戦でしたが、会場の雰囲気がすごかったですね。4万人くらい入るスタンドがいっぱいになって、試合前の両国国歌吹奏が終わったらいきなり空砲みたいのがドーンと鳴って、すごく驚いたのを覚えています。向こうの戦勝記念日か何かだったようですが、全然聞かされていなかったし、心臓がバクバクになったことを覚えています(笑)。

 その試合で僕は2トライを取ることができたのですが、日本の選手が良いプレーをしたときは、たとえ敵であっても称える、純粋にラグビー選手としてのパフォーマンスを見てくれる人が多いんだなと感じました。

 2016年にはウェールズのカーディフ(プリンシパリティ・スタジアム)で試合をすることができました。観客は7万人。僕のラグビー人生で最大の観衆の中での試合でした。最後は惜しくも勝てなかったけれど、30対33の惜敗。あれだけの試合ができて良かったと思います。

――実際に対戦したシックス・ネーションズの各チームの特徴を聞かせてください。

 スコットランドについては、2013年に初めて対戦したときは自分らしい走りを出せたので、良いイメージを持っていたのですが、ワールドカップで再戦したときはさすがにチームを仕上げてきたなという印象でした。どこがというより、チーム全体的に、個々のポテンシャルが高いし、バランスが取れている。いいチームだなと感じました。

 ウェールズは、2013年に秩父宮で、2016年にアウェーで対戦しました。バックスリー(WTB、FBの選手)が大きいので、ハイボールに対する強さを感じました。戦術としては、割とダイレクトなプレーでシンプルに前に出てくるものが多かったなという印象がありましたね。

 アイルランドとは昨年6月に対戦しましたが、規律の高いチームだなというのが一番の印象です。一人一人が自分の仕事をさぼらないで、勤勉に遂行し続ける。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)ひとつとっても、相手をキルする(倒し切る)ところまでしっかりやる。細かいところまで徹底していると感じましたね。

 フランスは昨年11月に対戦して、23対23で引き分けましたが、僕自身は最初の15分しかプレーしていない(頭を打って退場)ので、自分自身の体感はないのですが、試合を見ていて感じたのは、日本の流れに飲まれて自分たちのラグビーができないでいたけれど、自分たちのリズムでやり始めたら素晴らしいポテンシャルを持っているなということです。

 イタリアと対戦したのは2014年(26対23で勝利)で、けっこう前のことなので、はっきりと覚えていませんが、スクラムの強さは印象的でした。北半球のチームはスクラムで圧倒してくるというイメージがありますが、あのときは日本がいいスクラムを組んで、逆に優位に立てたことが、勝てた大きな要因だったと思います。

イングランドとの対戦「体感してみたい」

アイルランドのディフェンスに「意識の高さを感じます」と語る福岡 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

――シックス・ネーションズのもう1カ国、イングランドとはまだ対戦がありませんが、今年11月には対戦する予定です。

 イングランドは以前から、世界のトップに勝るとも劣らないポテンシャルを持っていたと思います。そこにエディー・ジョーンズ(前日本代表HC)さんという名コーチが行って、僕らにしたときと同じように、もっと素晴らしいコーチングを施しているんだろうと思いますね。そこをぜひ見てみたい、体感してみたいです。

――アイルランド、スコットランドとは2019年のワールドカップで対戦します。日本のファンは、どのあたりに注目すればよいでしょうか?

 両国ともにシックス・ネーションズでも上位に食い込む力があると思います。今はイングランドの力が一歩抜けているという前評判ですが、そこに食い込んでくる可能性があるのはこの2チームじゃないかと注目しています。言い換えると、イングランドの連覇が続くか、ここで崩れるのかは、この2チームがカギを握っていると思います。

 スコットランドは、以前はキックとセットプレー重視のチームと言われていたけれど、最近はアンストラクチャー(崩れた局面)での戦い方も得意になって、バックスリーにもいい選手がそろっているので、そこを見てほしいです。
 アイルランドはとにかく堅実なディフェンスを見てほしい。北半球のチームはどこもディフェンスにプライドを持っているけれど、アイルランドには本当に意識の高さを感じますから。

東京五輪のあとは「医師を目指します」

ラグビー選手として一線を退いたあとのビジョンも描いている 【写真提供:WOWOW】

――福岡選手は、2019年の15人制ワールドカップと2020年の東京オリンピックが終わったら第一線のプレーにはピリオドを打つと聞きました。

 はい。そのあとは医師を目指します。そこは自分で決めていることですから。

――寂しい気もしてしまいますが、まずは2019年と2020年、プレーヤー生活の集大成として、どんな状態で臨みたいと考えていますか?

 たとえば数字がどうとかいうことを明確にしているわけではないのですが、そのときの自分の最高のパフォーマンスを出すことで、日本がまだ到達していない、ワールドカップのベスト8、オリンピックのメダル獲得というところまで行けるよう、全力でやるだけですね。
 そのためにも、まずは2018年を自分たちがどう過ごすか。それによって2019年、2020年の結果は変わってくると思うので。まずはサンウルブズの試合から、細かいことひとつひとつを大切に積み重ねて、一戦一戦を大切にして成長していきたいです。

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アイルランドvsウェールズ 2/24(土)夜11:00〜 [WOWOWライブ]
スコットランドvsイングランド 2/24(土)深夜1:30〜 [WOWOWライブ]

第4節:
アイルランドvsスコットランド 3/10(土)夜11:00〜 [WOWOWライブ]
フランスvsイングランド 3/10(土)深夜1:30〜 [WOWOWライブ]
ウェールズvsイタリア 3/11(日)夜11:50〜 [WOWOWプライム]

最終節:
イタリアvsスコットランド 3/17(土)夜9:15〜 [WOWOWライブ]
イングランドvsアイルランド 3/17(土)夜11:35〜 [WOWOWライブ]
ウェールズvsフランス 3/17(土)深夜1 :50〜 [WOWOWライブ]

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