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DMMが欧州クラブの経営に本格参入
約半数が外国資本、ベルギーリーグの事情

国内の24クラブのうち、10クラブが外国資本に

DMMグループは、ベルギー1部に所属するSTVVの経営権を取得したことを発表した
DMMグループは、ベルギー1部に所属するSTVVの経営権を取得したことを発表した【Getty Images】

 ベルギー1部リーグに所属するシント=トロイデンVV(以下、STVV)の最高経営責任者(CEO)に就任した立石敬之氏(前FC東京GM)は1月29日の記者会見で「昨年12月にDMMがSTVVの経営権を取得しました。その間、何カ月間かサポーターや皆さんには経営の方針などで、心配を掛けたかもしれません。まずは、そのことをこの場を借りておわびいたします」とあいさつした。


 株式会社DMM.comをはじめとする「DMMグループ」がSTVVを買収したことによって、ベルギーリーグの24クラブ(1部、2部リーグ含む)のうち、10クラブが外国資本のクラブとなった。


「中小クラブの経営はどこも大変だから、投資を必要としている。しかし、ベルギーは小さな国だから、国内で投資を賄えない。ベルギーのクラブが外国人オーナーの手に渡ることは不思議なことではない」


 そう解説してくれたジャーナリストがいる一方で、「クラブの伝統が消えてなくなってしまうのではないか」と憂う声もある。最近では、ルセラール(2部リーグ)の監督が「中国人オーナーが『中国人選手を使え』と選手起用に口を出してくる」と現状に嫌気が差して辞任するニュースもあった。

立石CEO「クラブはこの街のものだと思っている」

以前はFC東京のGMを務めていた立石CEO(右端)。会見では「クラブはこの街のものだと思っている」と強調した
以前はFC東京のGMを務めていた立石CEO(右端)。会見では「クラブはこの街のものだと思っている」と強調した【写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ】

 不安な気持ちはSTVV内部やファンにもある。だから、会見の冒頭で立石CEOはおわびを述べ、「最初に伝えたいことは、このクラブはわれわれのものではありません。このクラブは本当にファン・サポーター、この街のものだと思っています」と力説したのだ。

 

「私は全てを決定するために、日本からここに来たわけではない。私は(ローカルの)ダイレクターに権限と責任を渡していきたい」(立石CEO)


 DMM社との連携・実務が重要になる財務に関しては、矢島孝如氏がCFO(最高財務責任者)として出向するが、「クラブの顔」となる会長職はデビッド・メーケルス氏、ファイナンシャル・ダイレクターにはスタン・ニーセン氏が就く。スポーツ・ダイレクターに関しては現在、人選中だという。


「スポーツ・ダイレクターは、とても大事なポジションです。もちろん、今日発表が間に合えばよかったのですが、何人かの候補に絞った段階です。今、交渉中ですので、名前は伏せさせてもらいます。近いうちに、皆さんにお伝えしたいと思います」

組織改編を行い、“プレーオフ1”出場を目指す

STVVは25節を終えた現在、プレーオフ1出場を狙える位置に付けている
STVVは25節を終えた現在、プレーオフ1出場を狙える位置に付けている【Getty Images】

 それまでSTVVはローラン・ドゥシャテレ氏(71歳)と前GMのフィリップ・ボルマンス氏(30歳)の2人でチーム編成から予算作成まで、全てを行っていたのだという。それだけドゥシャテレ氏の経験とネットワーク、ボルマンス氏のフットワークと能力の高さが際立っていたということだが、それではやがて組織として行き詰まってしまう。今後も末永くSTVVが成長していくよう、DMMは組織改編を行った。


 続けて立石CEOは5つのプランを発表した。1つ目はトップチームの強化だ。


「皆さんご存知の通り、ベルギーには5つの大きなクラブ(アンデルレヒト、クラブ・ブルージュ、スタンダール、ヘンク、ゲント)があります。日本からの資金があったとしても、そこに追い付けるとは、まだ考えていません。大事なことは『血と汗と涙』。


 それはサポーターが大事にしていることです。これは、ここに来て習いました。フットボールのスタイルはハードワークです。そこは変えません。今、プレーオフ1を狙える位置にいます。3年をかけて常にSTVVがプレーオフ1に入れるような、安定したチームを作りたい」


“プレーオフ1”とはベルギーリーグの上位6チームによる、リーグ優勝及びチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ出場を懸けたプレーオフのこと。ベルギーの中小クラブにとって“プレーオフ1”に出ることは大きな目標だ。レギュラーシーズンの25節を終えた時点でSTVVは10位ながら、6位のヘンクとの差は勝ち点1と、十分逆転を狙える位置に付けている。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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