堂安律「充実した“アップ”ができた」 苦しかったオランダでの半年間を振り返る

中田徹

スパルタ戦で今季リーグ3点目を挙げる

年内最終戦でゴールを決めた堂安。オランダに移籍してからの半年を振り返った(写真は2日のデンハーグ戦) 【Getty Images】

 ここのところ、フローニンゲンの堂安律は不振と体調不良に陥っていたが、年内最後の試合となった12月24日(現地時間、以下同)のスパルタ・ロッテルダム戦の77分から出場すると、はつらつとしたプレーを披露。90分には今季リーグ戦3得点目となるゴールを記録した。チームは4−0で快勝した。

 右サイドからの強引なドリブルでスパルタの守備陣形を崩し、そこからいったん外にはたいてからゴール前にポジションをとり、味方のシュートのリバウンドをダイレクトで蹴り込んだ。

「点差も点差だったので(3−0)、勝てると思っていましたし、後は個人の結果が欲しかったのでゴリゴリ行きました。あそこで、自分で(ドリブルシュートまで)いくのではなく、パスを出したのが賢かった。味方に出してからもう一回、中に入っていくのが『自分が点を取るための一番簡単な方法かな』と思ってプレーしたのが、いい方向につながった」と堂安はゴールシーンを振り返った。

 今季、フローニンゲンは18節を終えて13位と低迷。主力選手たちにフラストレーションが溜まってしまって首脳陣に反抗的な態度を取り、一時、チームから追放される者が出た。そんな苦しい半年ではあったが、年末の快勝劇にロッカールームは「みんな、テンションマックスだった」(堂安)と笑いが弾けたよう。しかも、試合中もピッチの中で「笑いながら『これで勝ったらホリデーだ!』と鼓舞する選手もいました」というから驚きだ。

山あり谷ありだった半年

 堂安にとっても、山あり谷ありの半年だった。プレシーズンで高まった期待を背に、8月13日の開幕マッチ、対ヘーレンフェーン戦でスタメン出場したが不発に終わり、63分でベンチに退くと、4試合連続出場機会を得られなかった。この時期に、練習で負傷も負った。

 久しぶりの公式戦は9月21日のKNVBカップ、対ヘルクレス戦だった。アマチュア相手に前半を1−1で終えたフローニンゲンのアーネスト・ファーバー監督は、後半開始から堂安を投入。するとピッチに立ってわずか1分足らずで堂安が勝ち越しゴールを決め、チームを4−2の勝利に導いたのだ。

 3日後のオランダリーグ第6節、対トゥエンテ戦で先発復帰を果たした堂安は、この試合でアシストすると、続くズウォーレ戦でDFとGKの股をダブルで抜くゴラッソでリーグ戦初ゴール。さらに第8節のAZ戦でも同点となるPKを獲得し、公式戦4試合連続で“結果”を残したのだ。

 11月25日の第13節・フェイエノールト戦では、チームは0−2と完敗を喫したものの、堂安はビッグクラブ相手に手応えをつかむプレーを披露した。この試合後「次は俺が決めます」と宣言した通り、堂安は続くADOデンハーグ戦で先制ゴールを決めた。

 しかし、ADOデンハーグ戦は結果こそ残したものの、プレーそのものは低調だった。第15節のローダ戦では雪と人工芝のピッチに苦労し、第16節のPSV戦ではパフォーマンスがさえず、前半いっぱいでベンチに下げられた。そして40度の高熱を出し、12月17日の第17節・エクセルシオール戦は招集メンバーから漏れた。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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