ベフェレンで「サッカーを楽しむ」森岡 噂が飛び交うベルギー、移籍の可能性は?

中田徹

ベルギー移籍で感じたサッカーができる喜び

ホーム最終戦は完敗だったベフェレン。だが、チームも森岡自身も健闘が光った 【写真は共同】

 年内のホームゲーム最終戦となった、12月22日(現地時間)の対オーステンデ戦で、ワースラント・ベフェレンは1−3と完敗を喫した。今季のセンセーションとしてベルギーリーグを沸かせている森岡亮太だったが、思わぬミスがいくつかありファンが珍しくどよめいた。

「個人的には今シーズン、一番よくなかったかもしれません」と試合直後に森岡は話した。

「シーズン最初が良かっただけに、少し尻すぼみなイメージがありますが、数字だけ見れば、べフェレンとしても個人としても良かったのかなと思います」(森岡)

 森岡の7ゴール9アシスト(アシストはリーグ2位)という数字は立派の一言に尽きる。チームとしては9位(26日現在)という結果以上に、ベフェレンの攻撃志向のサッカーと“プレーオフ1(レギュラーシーズン終了後に行われる、上位6チームによるプレーオフ)”進出争いに食い込む健闘が光り、ベルギー国内でもシンパシーを集めている。

 今から1年前の森岡は「チーム(=ブロツワフ/ポーランド1部)は残留争いをしていて、俺も2ゴール2アシストぐらいしかしていなくて、最悪の状況でした。こっちのサッカーで、どうすれば自分のプレーを出せるのか、どうしたらコイツらと戦えるかというのを模索していました」と、ポーランドで飛躍するきっかけをつかめず苦しんでいた。しかし、今夏ベフェレンに移籍したことで「サッカー、できているな」と喜びを感じることができたという。

「ポーランドはフィジカルが主体のサッカー。冬になると雪が降ってピッチが悪くなり、どうしてもボールが上に上にという展開になりがちで、難しかったですね。ベルギーに来て、最初からサッカーを楽しめました。自分の理想というか、やりたいプレーをピッチの上でできるようになりました。来て良かったです」(森岡)

「スカウトの人には本当に感謝したい」

自分を見いだした「スカウトに感謝したい」と語った森岡 【写真は共同】

 最近になって、ベルギーのメディアが「森岡の移籍金は150万ユーロ(約2億円)で設定されている。ただし、この金額は来夏移籍する場合。冬の市場で森岡を獲得したい場合は、べフェレンとの交渉が必要となる」と報じた。べフェレンがブロツワフに払った移籍金はたった27万5000ユーロ(約3700万円)。それでも、ベフェレンにとって森岡はクラブ史上最高額の選手である。

 日本メディアの記者の1人は、ベルギー人記者から「森岡みたいな大スターは、150万ユーロ程度の移籍金額を契約書に載せておかないと、ベフェレンに来てくれないんだ」と聞いたという。その言葉を聞いた森岡は「“大スター”だなんて、俺がベルギーに来た時、誰も俺のことを知らなかったじゃないですか」と言っていた。

 今の森岡があるのも、べフェレンのスカウトが発掘したおかげだろう。もともとは守備的な選手をチェックしにブロツワフの試合を見にいったのだが、森岡のプレーを見て「このゲームメーカーはブロツラフのサッカーとは合っていないが、ベフェレンならマッチする」と見抜いて獲得を決めたのだ。最初のオファーはブロツワフが拒否したが、諦めずに1年待ち、2度目のオファーでべフェレンは森岡を獲得した。

「スカウトの人には本当に感謝したいですね。しかも1年待って再トライしてくれた。ベルギー国内でもけっこう評価が高いスカウトらしいんですよね。他のチームも『あの選手はどうだ』みたいなのを聞くような人らしい。だから、本当に見る目があると思います。本当に見つけてくれてありがとうという感じです」(森岡)

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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