プロデビューから2年半、際が感じた成長 トゥエンテとの再戦で得た自信と伸びしろ
必死だったルーキーイヤー
プロデビューを果たした当時、際は必死にプレーするので精いっぱいだった(写真は2015年) 【Getty Images】
「ヘスス・コロナ(メキシコ代表)はうざかった」。際は、後にデビューマッチをそう振り返っていた。
プロとしてルーキーイヤーの15−16シーズンの際はまだ、2部リーグの試合に出て、必死にプレーするので精いっぱい。左右のサイドバック、MF、ウインガーと、与えられたポジションをとにかく必死でこなした。
当時の際を見ていて感じたのが、彼は一歩下がったら二歩進み、二歩下がったら三歩進むタイプの選手であること。まだまだプロとして足りていないことが多かった際は、何度かレギュラーのポジションを失ったが、必ず課題を克服してパワーアップしてレギュラー復帰を果たすことを繰り返していた。
プロ2年目の16−17シーズン、際はプレーが安定し、ドルトレヒトの中心選手になった。チームは19位と危うく3部に降格するところだったが、際の個人的な評価は上がり、ある2部のクラブからは「うちの強化プロジェクトに参加してほしい」とオファーが来ていた。そして、今季から際はオランダ2部リーグの中では上位クラブのカンブールにステップアップした。
2年半ぶりに敵地でトゥエンテと対戦
2年半ぶりにトゥエンテと再戦。際(右)は右ウイングバックでプレー 【Getty Images】
カンブール、トゥエンテ共に、普段の4−3−3ではなく5−3−2を採用したこの試合、右ウイングバックを務めた際は、チェルシーが保有権を持つチリ人左ウイングバック、クリスチャン・クエバスとマッチアップしつつ、2トップの一角、ウサマ・アサイディもケアした。
クエバスにボールが入ったら、すぐに際がプレスをかけにいく。それがミーティングで確認した決まりごとだった。しかし、際がクエバスに食いつくと、その裏のスペースを突いてアサイディが走り込み、そこから仕掛けられてしまった。そこで、際は試合中にチームメートと話し合って「クエバスがうちの陣地に入ってから、奪いにいこう」とやり方を変えることができた。
際とクエバスとのマッチアップは、ほぼ互角。際が何度かクエバスをドリブルでかわすシーンもあったが、チームが受け身に回ったこともあって、際のパスコースが限定されてしまい、なかなか効果的なプレーにまでつながらなかった。
「今日は2、3回うまく15番(クエバス)をかわして前を向くことができたけれど、選択肢がまったくなかった。ジュピラーリーグ(2部)だったら、もう少し自分で前に運ぶことができますが、エールディビジ(1部)のクラブは抜かれた選手が戻ってプレスに来ますし、前からもプレスが来ました。だから抜いた後、すぐにプレーできるところがなくて厳しかった」