DMMが欧州クラブの経営に本格参入 約半数が外国資本、ベルギーリーグの事情

中田徹

ユース・アカデミーの充実と運営の整備

立石CEOは運営面についても言及。スタジアムを常に満員にしたいと目標を語った 【Getty Images】

 2つ目のプランはユース、アカデミーの充実だ。現在、トップチームには1人しか自クラブで育てた選手がいない。

「1人でも多く、トップチームのピッチに立たせられるようなアカデミーに変えていきたいです。本当の夢を言えば、スターティングメンバーの11人全員がアカデミー出身だったら最高ですね。ただし、このカテゴリーに関しては、すごく時間がかかります。1、2年では結果は出ない。だから、時間をかけないといけないと思います。でも、今から準備をしなければ花は咲きません。そこには投資をしていくつもりです」

 3つ目が運営。STVVの本拠地、シント=トロイデンは人口約4万人ほどの小さな町だ。収容人数約1万4600人規模のスタイエン・スタディオンを「常に満員にしたい」のだという。ちなみに以前、1試合平均8000人ほどの観客数だったのが、今は4000人にまで落ちている。

 4つ目がビジネスだ。現状は収支が悪く、選手を売ることによって経営を成り立たせている状況にある。

「選手を売らなくても、収支が同じくらいになるように努力します。そのためにも新しいビジネスを取り入れていきたい。その方法の1つとしてグローバル企業をスポンサーに迎え入れたい。それから、日本やアジアに向けてのテレビライツ(放映権)を取っていく。マーチャンダイズなど、もろもろの点でも発展できると思います」

2024年に創立100周年を迎えるSTVV

 5つ目に着手するのは、スタジアム・テクノロジーだ。

「日本の持っているスタジアム・テクノロジーを生かして、それがサポーターにとってサービスになり、居心地の良い空間を作れる。そんなスタジアムを日本の技術で作り出していきたい。ドゥシャテレさんと、しっかり連携を取りながらやっていきます」

 スタジアム・テクノロジーに関しては、STVVとDMMの一存では実現できない。なぜなら「スタイエン」というスタジアム、ホテル、商業施設、事務所、駐車場が入った建物、及び隣にあるマンションはドゥシャテレ氏が所有したままだからだ。ドゥシャテレサイドは、スタイエン・スタディオン近隣に新たなホテルを建てており、さらにスタジアムの観客席の改築に取り掛かろうと、シント=トロイデン市に申請を出している。スタジアム内外の環境整備は、さらに進みそうだ。
 
 STVVは2024年に創立100周年を迎える。クラブの歴史の重みと、地元との結びつきの強さを感じながら、立石CEOはサポーターに対して「力を貸してください。そして教えてください。一緒にチームを強くしていきましょう」とテレビカメラを通じて訴えていた。

2/2ページ

著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント