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東京2020 THE WAY to 2020

大好きな愛媛にゴルフで恩返しを
黄金世代生まれ河本結、五輪への覚悟

 2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートたちを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第9回は愛媛県出身、女子プロゴルフプレーヤーの河本結(日本体育大1年)を紹介する。

『いい、加減。まつやま』のあたたかさ

愛媛県の松山聖陵高を卒業後、東京の日本体育大で腕を磨く女子ゴルフの河本結。地元を離れても、あたたかな応援が彼女の心に届いている
愛媛県の松山聖陵高を卒業後、東京の日本体育大で腕を磨く女子ゴルフの河本結。地元を離れても、あたたかな応援が彼女の心に届いている【写真は共同】

「一番長く経験したのは松山市立窪田小時代でのサッカー4年間。窪田FCでFWをしていました。他に芦原会館で空手を4年間。バレーボールも福音小のクラブで1年間やりました。夏場には水泳もしていました。久米中では陸上部に入って、短距離や砲丸投げもしていました」


 あえてゴルフ漬けにならず、他競技も積極的にトライしていった女子ゴルファー・河本結の中学生まで。そこには明確な理由があった。


「海外のゴルフ選手はベースボールや、アメリカンフットボールなど、いろいろなスポーツをする中でゴルフに生かしています。子どもの時はゴルフだけでなく、さまざまな形で体を動かした方がいいという父や母のアドバイスもありましたが、私もいろいろなスポーツをするのが好きでしたので、取り組みました。

 実際、今でも言われたことをすぐに表現できるのは、中学校までにいろいろな動きをしていたからだと思います」


 そんな彼女の背中に惜しみなく協力を尽くしたのは母・みゆきさん、父・由一さん。そして地域。近所同士や地域コミュニティが助け合って生活し、冬になると食後のデザートにみかんが振る舞われる「おもてなし」も。都会では忘れられてしまった思いやりや心配りがいまだ日常生活にある「愛媛県の人々」である。


「愛媛県はいい感じにフレンドリーで優しい人たちばかり。『頑張ってね、応援しとるけんね』と知り合いのように応援してくれることは、私にとってありがたいことです。松山市のキャッチフレーズは『いい、加減。まつやま』なんですが、本当にそう思います。

 他の競技を私がしていたことについても、あくまでゴルフに結び付けるためだったのに、みんなが理解してくれて。その時の指導者にはすごく感謝していますし、その分、ゴルフで恩返ししたい気持ちは強いです」


 小学校6年時の2010年には全国小学生大会女子の部で2位に入ると、中学3年時の13年には日本女子アマチュア選手権競技でベスト32、日本ジュニア選手権女子12〜14歳の部で24位タイ。「いい、加減。」で声援を送ってくれる地元のために、河本はジュニア時代から実績を積んでいった。

松山聖陵高の仲間たちに学んだ「覚悟」

「みかんは大好きです」とあふれる愛媛愛を語る河本
「みかんは大好きです」とあふれる愛媛愛を語る河本【寺下友徳】

 高校は愛媛県を離れ、茨城県の通信制高校でゴルフに打ち込む道を一度は選んだ。しかし、「朝から晩まで練習はできたのですが、ずっと集中できるわけではない。メリハリが必要」と、2カ月で地元へ戻り、スポーツコースでたった1人の女子1期生として松山聖陵高に転校。そこには後に16年・広島東洋カープから5位指名を受ける野球部のエース・アドゥワ誠をはじめ、さらなる高みを目指す他競技のアスリートたちが集っていた。


「みんなにはゴルフと違った面からアドバイスをいっぱいもらいました。自分としても成長できた3年間でした。

 例えば当時、私は女の子として見た目を気にしていた時期もあったのですが、その時にみんなから『なんのためにここへ来たの? もっと鍛えなくちゃ』と言われて。アスリートとして根本的なことを気付かされました。そして甲子園や花園に行くみんなを見て『私も頑張らないといけないな』と思って、ゴルファーとしてすべてをささげようと思えたんです」


 またこの時期、彼女はアドバイスを受け入れるだけでなく、自ら獲得しにもいった。野球部の冬季トレーニングに志願参加。荷川取秀明監督は当時の様子をこう振り返る。


「結ちゃんは素直だけど自分を持っている子。『学校として少しでも力になれるなら』ということで受け入れました。もちろん、砂浜でのトレーニングでは遅れてしまうのですが、それでも一生懸命やるんです。そこで1年経ち、2年目になった時に本人は『ずいぶん体が安定してきました』とは言っていましたし、アドゥワとか野球部にもいい刺激になりました」


 事実、アドゥワもドラフト指名直後のインタビューでこう答えている。「結ちゃんとは『一緒に頑張ろう』と誓いあったので、プロの世界で僕も頑張りたい」。


「みんなが一緒だったから、冬のトレーニングも頑張れましたし、ランクアップというジムでのトレーニングでは下半身を中心に強くたくましくなれました」

 高校3年生となった16年には世界ジュニア選手権で7位タイ。さらにLPGAプロトーナメントでもステップアップツアーでベストアマ3回、2度のレギュラーツアー予選通過。同学年の畑岡奈紗、勝みなみ、新垣比菜ら1998〜99年生まれ「黄金世代」の一角として、高校女子ゴルフ界の顔となった。

寺下友徳
寺下友徳
1971年、福井県生まれの東京都東村山市育ち。國學院久我山高→亜細亜大と進学した学生時代は「応援道」に没頭し、就職後は種々雑多な職歴を経験。2004年からは本格的に執筆活動を開始し、07年2月からは関東から愛媛県松山市に居を移し四国のスポーツを追及する。高校野球関連では「野球太郎」、「ホームラン」を中心に寄稿。
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  • 写真:アフロ
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