競泳・今井月、地元岐阜で取り戻した原点 笑顔の裏にある真摯な努力

田坂友暁
 2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートたちを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第2回は岐阜県出身、競泳の今井月(るな/豊川高)を紹介する。

中学1年で日本選手権の表彰台に

17歳ながら、五輪、世界選手権の出場経験を持つ競泳の今井月 【写真:エンリコ/アフロスポーツ】

 誰にでも物怖じすることなく話しかけ、屈託のない純粋な笑顔を見せる、まさに“天真爛漫”という言葉がピッタリなアスリートがいる。豊川高校2年生になった今井月だ。

 彼女が最初に注目されたのは、2013年のこと。4月の日本選手権の女子200メートル平泳ぎで、当時岐阜西中学校の1年生だった今井月が、2分25秒14で3位に入ったのだ。153センチの小さな体を大きく使い、水の抵抗なく進んで行く泳ぎに加え、あどけない表情でインタビューに答える姿は、1992年のバルセロナ五輪で金メダルを獲得した岩崎恭子を思わせた。

 さらに同年9月、アルゼンチン・ブエノスアイレスで行われた第125次IOC(国際オリンピック委員会)総会で、今井がちょうど20歳を迎える20年の東京五輪開催が決定。水泳選手としては脂が乗り始める時期に東京五輪が行われるということもあり、今井は未来のホープとして世間の注目をさらに集めた。

小学校時代から全国で活躍

早くから頭角を現した今井(右から2人目)。中学3年で出場した世界ジュニア選手権、4×100メートルメドレーリレーでは銅メダルを獲得した 【写真:Haruhiko Otsuka/アフロ】

 2000年8月、今井は岐阜県で生まれた。2歳年上の兄・流星(ひかる)とともに地元のスイミングスクールに通い、岐阜市立七郷小学校に入学。小学校2年生ではじめて全国大会に出場し、小学6年生では平泳ぎと個人メドレーで日本学童記録を樹立(12年当時)。そして13年、岐阜市立岐阜西中学校に進学。中学時代は、全国中学校水泳競技大会で100メートル、200メートル平泳ぎにおいて3年連続2冠を達成。同年代にはまさに敵なしの強さを誇った。中学2年生時はジュニアパンパシフィック選手権、3年生のときに世界ジュニア水泳選手権に出場。ジュニアの代表ではあったが、国際大会の経験も積むことができた。

 そして16年、15年暮らした地元の岐阜県を離れ、兄の流星も在学していた愛知県の豊川高校に進学。世界で戦うことを見据えての決断であった。

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著者プロフィール

1980年、兵庫県生まれ。バタフライの選手として全国大会で数々の入賞、優勝を経験し、現役最高成績は日本ランキング4位、世界ランキング47位。この経験を生かして『月刊SWIM』編集部に所属し、多くの特集や連載記事、大会リポート、インタビュー記事、ハウツーDVDの作成などを手がける。2013年からフリーランスのエディター・ライターとして活動を開始。水泳の知識とアスリート経験を生かした幅広いテーマで水泳を中心に取材・執筆を行っている。

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