森岡亮太は「冬の移籍市場の目玉商品」 敵将も称賛、移籍金は約10倍に急騰

中田徹

ベフェレンは「ベルギーで最もセクシーなクラブ」

ベルギーで活躍を続ける森岡(左)。「冬の移籍市場の目玉商品」としてフォーカスされている 【写真は共同】

 現地時間11月14日に行われたベルギーvs.日本の国際親善試合では、ヤン・ブライデル・スタディオンの観客席から、日本人3選手に対して三者三様の反応があった。川島永嗣には、スタンダール時代同様、ボールを蹴る度に「スシ!」というコールが起こった。ブルージュからインターシティと呼ばれる電車で1駅しか離れてないヘントでプレーする久保裕也が登場した際にはブーイングと「アンチ・バッファローズ(ヘントのニックネーム)」のチャントがあった。そしてベフェレンでプレーする森岡亮太には温かな拍手が送られた。各個人がベルギーの地で刻んできた実績と、濃いキャラクターが、ベルギー人から異なる反応を生み出したのだから、3人は誇っていいだろう。

 ベルギーvs.日本の試合が行われてから5日後、再びブルージュのヤン・ブライデル・スタディオンのピッチに森岡亮太が姿を表した。今回はべフェレンの一員として、ベルギーリーグ第15節で首位のクラブ・ブルージュと対戦したのだ。

 先夏、シロンスク・ヴロツワフ(ポーランド)から森岡を獲得した際に、べフェレンが払った移籍金はたった27万5000ユーロ(約3600万円)だった。そんな少額でも「クラブ史上最多額の移籍」と騒がれたのだから、ベフェレンのクラブ規模がどれだけ小さいかが分かる。

 そんな小クラブが、第14節のムスクロン戦を終えた時点で、ベルギーリーグ最多ゴール(31。現在はクラブ・ブルージュが33ゴールでトップ)を記録していたのだから、ベルギー人のシンパシーを生んでいる。現地の『スポルト・フットボール・マガジン』誌最新号の表紙には「ベフェレン ベルギーで最もセクシーなクラブ」という見出しが踊っている。

森岡がブルージュ、アンデルレヒトの補強リスト入り?

 ベルギーでは森岡個人にも大きくスポットが当てられているのは、これまでも記してきた通り。ここ数日は、「冬の移籍市場の目玉商品」としても、森岡が大きくフォーカスされている。11月16日の『ヘット・ラーツテ・ニーウス』紙が、「クラブ・ブルージュが、ベフェレン所属の日本人センセーション(森岡)獲得に動いている。また、アンデルレヒトも興味を示す」というタイトルの記事を載せたのだ。同紙によれば、冬の移籍市場に向けてクラブ・ブルージュはオイペンのGKヘンドリック・ファン・クロムブルッヘとともに、森岡の名前をリストアップしているという。

 ここまで7ゴール8アシストという数字を残している森岡は、「27万5000ユーロだった移籍金は、間違いなく10倍の価値に上がった。つまり、少なくとも250万ユーロ(約3億3000万円)」と『ヘット・ラーツテ・ニーウス』紙は報じている。

 アンデルレヒトはまだ、森岡に対して興味の段階のようだ。テクニシャンのMFニコラエ・スタンチュがチームにフィットしていないこと、昨季、活躍したソフィアン・ハニが今季は不振なことから、今季のアンデルレヒトはチャンスの創出という面で物足りない。その穴を埋める人材として、森岡の名前がクラブ内で挙がったようなのだ。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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