代表に選出されなかった森岡亮太の思い 欧州での日本人ゴールラッシュに感化

中田徹

ダービーで決めた価値あるゴール

第9節を終え、5得点6アシストと活躍している森岡(写真は第2節のもの、以下同) 【Getty Images】

 先週ごろから始まったヨーロッパでプレーする日本人選手たちのゴールラッシュ。9月30日(現地時間)も吉田麻也、香川真司、武藤嘉紀、堂安律、そして森岡亮太とファンにとっては大漁が続いた。

 ワースラント・ベフェレンの森岡はロイヤル・アントワープとのダービーマッチ、1−0のリードで迎えた64分にゴールを決めた。左サイドからゴール中央やや左でラストパスをフリーで受け、ゴール右隅に狙いすまして放ったシュートだった。

 ベルギーリーグ1部昇格イヤーを暫定6位(30日時点)という好位置につけて戦うアントワープは、マンツーマンによる守備戦術を確立。森岡に対しても「マンツーマンでひたすら追い続けられたのは小学校の時以来ですね。それで(アントワープが)形になっていて、結果も出ているのがすごいですね」と言わしめた程の密着マークを敢行した。

 アレクサンダー・コラインのマークは厳しい上、時にはファリス・ハルーンも森岡のマークに加わった。ゲームメークに非凡なものを持つ森岡だが、アントワープ戦ではボールをさばくので精いっぱい。なかなか前を向いてボールを触れない。「我慢や、我慢や」。そう森岡は試合中、念じていたという。

「本当に、練習通りにサクッと落ち着いて決められました」

 やっと迎えた千載一遇のチャンスを逃さず決めた、価値ある今季5ゴール目だった。

仲間の信頼を得てアシストも量産

 81分には森岡が蹴った左コーナーキックから、トュールク・ディルクスのゴールをアシストした。前節までアシストランキングでルート・ファルマー(クラブ・ブルージュ)と5アシストで並んでいた森岡は、ライバルより1日早く試合を終え暫定トップに立った。得点王ランキングでは2位。雑誌の販売日が毎週水曜日のため、今節の採点は含まれないものの『スポルト・フットボール・マガジン』誌の採点ランキングでも、森岡は平均7.00で首位を走っている。

 ベフェレンからは左ウイングのナナ・オポク・アンポマーが平均6.50で採点ランキング8位につけている。このアンポマーはアントワープ戦の前半、得意のドリブルでチャンスを作ったものの、判断ミスからオフサイドポジションにいたセンターFWイサーク・キーセ・テリンにパスを出した。オンサイドでフリーだった森岡は、「俺に出せ」と言わんばかりの手振りを見せていた。森岡の得点シーンでは、そのアンポマーからラストパスが来た。

「ナナ(アンポマー)に『あそこで俺に出せば絶対にチャンスになるから』とずっと言い続けている。彼は自分でゴールまでいきたいんです。だけど、そこまでいけるのは世界にも数えるほどしかいないじゃないですか。ならば、一回パスを出せば、その後(自分が)GKと1対1の状況を作ってあげるから、出してくれとずっと言い続けている。けれど、ドリブルしようとしちゃう。でも、ここ最近は見てくれています。本当に言い続けてきた甲斐があったという感じです」

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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