森岡亮太は「冬の移籍市場の目玉商品」 敵将も称賛、移籍金は約10倍に急騰

中田徹

ブルージュ戦は見せ場を作れず

クラブ・ブルージュ戦はナカンバ(右)のマークに苦しみ、ほとんど見せ場を作れずに終わった 【写真は共同】

 移籍をめぐる記事に加え、今回のクラブ・ブルージュ戦は「ルート・フォルマー対森岡――どちらがベルギーリーグ最高の選手か!?」という楽しみもあった。しかし、この試合はベフェレンにとっても、森岡にとっても、苦いものになってしまった。結果は0−3で首位クラブ・ブルージュの貫禄勝ち。とりわけ後半は一方的な内容となり、もっと点差が開いていてもおかしくなかった。森岡もほとんど見せ場を作れずに終わった。21分にはペナルティーエリア内で仕掛けようとしたところ、マーカーのマーベラス・ナカンバに倒されたが、PKを奪えず。

「もうちょっと、ああいう形を作りたいんですけれど、作れない」(森岡)

 森岡が、相手陣内の狭いスペースでボールを持ってもナカンバ、センターバックのステファノ・デンスウィル、ブランドン・メヘレの厳しいマークに遭った。自陣に引いて、余裕を持ってボールを扱っても、パスを出す瞬間にはナカンバの足が伸びてきた。果たして、クラブ・ブルージュに対策されてしまったのだろうか。

「いや、対策されたというか、普通に(クラブ・ブルージュに)やられていたという感じですね。俺らがつぶされたとかじゃなくて、向こうに良いようにやられて、こっちは何もできなかったという感じです。対策うんぬんよりも、相手の方が良いプレーをしていた。そんな対策どうのというレベルじゃなかった」

「ベルギーリーグのベストプレーヤーの1人」

クラブ・ブルージュのレコ監督は森岡を好評価。冬の移籍はあるのか 【Getty Images】

 クラブ・ブルージュの中盤は、ボール刈りに秀でたナカンバ、アシスト王争いトップのフォルマー、視野が広く、この日はマン・オブ・ザ・マッチ級の活躍を見せたハンス・ファンアーケンによって構成された。この3人の中盤が、ベフェレンの中盤を完ぺきに凌駕してしまったのだ。森岡はこう振り返る。

「基本的にこれまでは、中盤のところでやられる感じはなかった。キャプテン(イブラヒマ・セク)とビクトリアン・アングバンと俺のところですよね。今日は結構、そこがやられてしまった。そうなると試合は難しい」

 ベルギーリーグはこれでちょうど16チームの対戦が一巡し、べフェレンは2つ順位を落として7位でレギュラーシーズンを折り返した。

 移籍の話がベルギー国内で記事になっていることも、森岡は知っている。しかし、この試合の後は「(クラブ・ブルージュの中盤が)こんなに良いのに、(自分を)獲る必要ないでしょう!?」という感想が返ってきた。

 クラブ・ブルージュのイバン・レコ監督は森岡を評してこう言う。

「森岡は素晴らしい選手。彼は本当のトッパーだ。才能があって、敵陣に割って入っていけて、ラストパスも素晴らしい。(移籍に関して)それは私の下す判断ではない。ベフェレンでプレーするということは、クラブ・ブルージュやアンデルレヒトでプレーすることとは違う。しかし、彼が持つクオリティー、そしてここまでの実績からすると、森岡はベルギーリーグのベストプレーヤーのうちの1人だ」

 クラブ・ブルージュもアンデルレヒトも「勝利を義務付けられたチーム」だ。一度、そういうクラブで攻撃のタクトを振るう森岡亮太の姿を見てみたい。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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