羽生、真央らも経験した有望新人合宿とは 日本がフィギュア大国となった秘密に迫る
強化部長が語る野辺山合宿の目的
期間中には氷上での演技やジャンプなどの技術面の練習に加え、陸上トレーニング、リズムと表現のチェック、身体能力を測るテストも実施する。ここで選考された優秀選手は、今年度の全日本ノービス選手権への推薦出場のみならず、全日本ジュニア強化合宿への参加(7月30日から8月2日、中京大学NTC)、国際競技会への出場、8月にスイスで行われるステファン・ランビエールが主催するサマーキャンプへの派遣も予定されており、子どもたちの競争心も煽られていた。
本田望結(右)らが野辺山合宿に参加。氷上練習に加え、陸上トレーニング、リズムと表現のチェック、身体能力測定などが行われた 【スポーツナビ】
「この時期に吸収するべきものを4年間通して吸収して、ジュニアに備えるということが意義として挙げられます。どのスポーツでもそうですが、体で覚えるという意味で一番スキルを吸収しやすいのは8歳から12歳です。それから体作りをして、スキルを高めていく。身体能力が高いこの時期に、いろいろなものを学んでもらうというのが目的です」
ランビエールが実感した選手たちの成長
氷上トレーニングを指導したのはランビエールだ。このトリノ五輪銀メダリストがまず行った練習は、スケートの基本となるカーブの動き。エッジをインとアウトに交互に倒すことで、きれいな曲線を描きながら進むよう指示をする。特に重要視したのが腰の使い方。足ではなく腰から力を伝えることで、よりスムーズな方向転換ができることを繰り返し説いていた。
ジャンプの練習では入り方や着地のイメージを最初に植えつけてから、回転数と種類の難易度を徐々に上げていった。ランビエールがお手本を示しながら、6つのジャンプを選手たちに跳ばせていく。失敗した選手たちには声をかけるなどケアも欠かさない。
ランビエールが選手たちにお手本を見せる 【スポーツナビ】
「選手たちは僕のアドバイスを聞き、僕が要求したことを完璧に理解してくれた。感覚を伝えるのは、とても難しいことだと思う。僕は彼らと感覚を共有したいと思っていた。時に言葉の問題はあったけれど、選手たちは僕の目や動きを見てすぐに理解してくれた」
ランビエールから指導を受ける渡辺倫果(中央)ら 【スポーツナビ】
「彼らを教えることができてとても満足だった。彼らのことを覚えていたし、どのくらい上達したのか見ることができた。美しいスケーターになっていたからうれしかったよ。彼らがこの2年間、どれだけハードな練習をしてきたのかが分かった。僕にとって感動的なのは、選手たちの名前や顔を知ることで、キャリアや競技会をフォローし、彼らが将来どのように成長していくかを見られることだ。ここから偉大なチャンピオンが生まれるだろう。僕はそう感じているよ」