自分への挑戦をやめない浅田真央 元女王の矜持、再び歩むいばらの道
「自然と試合が恋しくなった」
現役続行を決めた理由、きっかけ、そこに至る経緯について、丁寧に答えた浅田真央 【坂本清】
「1年間、休養をしてきたのですが、自然と試合が恋しくなり、試合で良い演技ができたときの達成感を味わいたいと思い始めました。今は試合に出場できる状態に持っていくために毎日練習しています」
本来この会見は、今夏に浅田が座長を務めるアイスショー「THE ICE(ザ・アイス)」の概要発表のためにセッティングされたもの。それが前週、浅田の「現役続行」報道が一斉に出たこともあり、一躍大きな注目を集めることになった。それもあってか、浅田も「今回はあくまで「THE ICE」の会見なので、そちらをメーンにお話したいんですけど、私自身の進退についても答えられる範囲で答えていきたいと思います」と、冒頭のあいさつに付け加えた。
案の定、報道陣からの質問は去就に関する質問が大半を占めた。現役続行を決めた理由、きっかけ、そこに至る経緯。会見前に自身のブログで簡単に説明していたが、1つ1つの質問に浅田は丁寧に答えた。
「3月に先生(佐藤信夫コーチ)に相談しにいき、5月から先生とともに練習を始めています。昨年のソチ五輪と世界選手権が終わってからは、私自身も『最後の1年にしよう』と思って頑張ってきたので、やり切った気持ちが大きくて、スケートをまたやりたいなと思うことがなかったんです。その後はスケートをやらない生活が長かったんですが、その中でスケートを滑ったときに、やっぱり自分にはスケートが欠かせないんだなと思い始めました。それから練習を重ねていくうちに、『あ、自分は試合に出たいのかな』と思い始めました」
「現役続行か引退か」で揺れる感情
競技生活から離れた14−15シーズン、浅田はアイスショーなどに出演してきた 【坂本清】
ソチ五輪は、ショートプログラム(SP)での出遅れが響き6位に終わった。それでも2大会連続でトリプルアクセルを成功させ、いまや“伝説”とまで言われる圧巻のFS後は、「自分の中で最高の演技ができた」と涙を流した。
揺れる心境を吐露したのはこのころだ。ソチから帰国した直後、日本外国特派員協会の会見で、現役続行の可能性をパーセンテージで問われると「ハーフハーフ」と発言。一転、競技生活を続けることに含みを持たせた。
五輪シーズンの最終戦となる世界選手権後にはこう語っている。
「今はもうやり切って、次の目標が何かと言われるとまだないのかなと。普通にやろうと思えばできると思うんですけど、自分の気持ちとしては少し休養が必要じゃないかと思います。最終的には自分がやるかやらないか、できるかできないか、どれだけ目標を持っていけるかだと思うので、しっかり(競技を)続けるならば、それだけの覚悟が必要です。その決意ができればやりますし、そういう気持ちが湧き出てこなければできないんじゃないかと思います。ただ、今すぐにその答えを出す必要はないんじゃないかと思っています」
焦らずに自分の気持ちと向き合うことを選択した浅田は、昨年5月に14−15シーズンを休養に充てることを発表した。