五輪代表権懸かる日本カーリング選手権近づく 男子は群雄割拠、女子はロコ・ソラーレ一強ではない!?

奥岡幹浩

ショットを放つロコ・ソラーレの藤沢五月、スイープに入る吉田夕梨花と鈴木夕湖 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 第 42 回日本カーリング選手権(25 年 2 月 2~9 日、横浜 BUNTAI)が近づきつつある。26 年ミラノ・コルティナダンペッツォ・オリンピック(以下ミラノ五輪)へ向けた日本代表候補のチーム選考を兼ねる重要な大会。
 
 前回大会は女子が SC 軽井沢クラブ、男子はコンサドーレが制した。両チームとも、連覇を果たせば日本代表に決まる可能性が膨らむ。一方、五輪3大会連続のメダル獲得を目指す女子のロコ・ソラーレをはじめ、1年前に敗れた各チームにとっては、五輪日本代表の座をつかむうえで正念場となる。大会史上初の首都圏開催。ミラノへの道を切り開くべく戦う、国内有力チームを紹介する。(各種成績やランキングなどは 24 年 12 月 18 日時点)

ミラノ五輪日本代表の決定条件とは…

 18年平昌五輪銅メダル、22年北京五輪銀メダル。女子日本代表として2大会連続で表彰台に立ってきたロコ・ソラーレは、26年ミラノ五輪でさらに輝くメダルを目指す。とはいえ世界有数の実績を持つチームにとっても、日本代表のユニホームに袖を通すことは決して容易ではない。現に、前回の日本選手権でロコ・ソラーレは決勝トーナメント進出を逃して4位に終わった。北京五輪前の大会で日本代表の座を争ったライバルチームはよりパワーアップ。さらには若手を中心としたチームも次々と台頭中だ。世界チームランキング25位以内の国内チームは、ロコ・ソラーレ(7位)を筆頭に北海道銀行(10位)、フォルティウス(14位)、中部電力(16位)、そして前回日本選手権女王SC軽井沢クラブ(23位)の5チームに及ぶ。

 ミラノ五輪日本代表をめぐる戦いを俯瞰するうえで、軽視できないのがこの世界チームランキングだ。男女とも日本代表候補チームになる条件として、
(1) 24年日本選手権優勝チーム
(2) 25年日本選手権優勝チーム
(3) 25年日本選手権決勝3日前(同年2月6日)時点の世界チームランキング国内最上位で、24年大会か25年大会のいずれかで3位以内のチーム――のいずれかが必要と定められている。複数チームが該当する場合は、25年9月末までに日本代表決定戦が行われる。ロコ・ソラーレは24年の日本選手権で3位以内に入れなかったため、このまま世界チームランキング国内首位の座を守ったとしても、今回再び4位以下ならミラノ五輪への道が断たれる。

 ロコ・ソラーレは今季、格の高いグランドスラム大会で4位に入るなど、世界の強豪相手に安定した成績を残している。フィフスとしてチームを支えてきた石崎琴美が昨季終了後にチームを去った。その穴は決して小さくないが、スキップの藤澤五月を中心とする結束力は健在だ。日本選手権では過去5大会で3度優勝。大一番で持ち前の勝負強さと底力を示せるか。

若手を中心としたチームが台頭中

24年日本選手権女子決勝のあと握手を交わすSC軽井沢クラブと北海道銀行の選手たち 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 ロコ・ソラーレを追いかけ、めきめき力をつけてきているのが北海道銀行だ。サードでスキップの 仁平美来やフォースの田畑百葉など、全員が20代前半と伸び盛り。ジュニア時代から国際舞台で活躍してきたメンバーで構成される。

 前年の日本選手権決勝は準優勝。決勝では最終エンドに逆転を許して日本一のタイトルを逃したが、その悔しさを糧に今季さらに成長中だ。今季のカナダ遠征ではツアー10大会に出場して優勝3度。そのうち決勝でロコ・ソラーレを2度破るなど、ますます自信をつけてきた。1年前の日本選手権開幕前での世界チームランキングは45位前後だったが、最新ランキングでは10位まで上昇。新時代の到来を、日本一決定戦で印象付けるか。

 前回の日本選手権決勝で北海道銀行に競り勝ったSC軽井沢クラブも、若い力がそろう。スキップで23歳の上野美優、2歳下の妹・結生(ゆい)など、メンバー4人中3人が20代。頂点に立った24年日本選手権では準決勝、決勝といずれも最終エンドで逆転勝ちを収めるなど、粘りと勝負強さにも定評がある。連覇達成となればミラノ五輪に向けた日本代表の座に大きく前進、場合によっては代表決定の可能性もある。仮に連覇を逃した場合も、25年9月末日までに行われる日本代表決定戦に出場する権利を持つ。

 22年北京五輪前の日本代表決定戦で、フォルティウスのメンバーの多くはロコ・ソラーレと激闘を繰り広げた。そのときスキップを務めた吉村紗也香は出産のため休養していたが、今季復帰。2季前に加入した小谷優奈はヴァイスを務め、経験豊富な小野寺佳歩や近江谷杏菜が支える。24年12月の軽井沢国際選手権では平昌五輪の金メダルチームを倒し見事優勝。勢いに乗って日本選手権に臨む。

 中部電力も実績十分だ。19年日本選手権では、現在スキップの北澤育恵や中嶋星奈らを軸に歴代最多タイとなる6度目の優勝。その後も毎年2位か3位に入ってきた。現行メンバーでは悲願の五輪出場を目指す。

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著者プロフィール

1975年三重県生まれ、日大芸術学部卒。大学在学中からフリーライターとして約15年間活動したのち、総合週刊誌「サンデー毎日」(毎日新聞社)契約記者に。その後、時事通信社でプロ野球などを取材。19年秋に日刊スポーツ新聞社へ移り、五輪競技などを担当する。プロフィール画像は21年6月、当時幼稚園年長の一人娘が手がける

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