来春センバツ、出場「当確」の高校は? 98年ぶりに大阪から選出ゼロの可能性も…

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智弁和歌山は近畿大会準優勝。2年ぶりの選抜出場はほぼ間違いない 【YOJI-GEN】

 来春選抜大会の出場校選考に直結する、高校野球の秋季地区大会が終了した。どの高校に「甲子園当確」のランプが灯ったのか、そしてそれ以外ではどこが有力なのか。北海道から九州まで、各地区大会を振り返りながら見ていきたい。

北海道(選抜出場枠1)

 東海大札幌は投手戦となった北海との決勝を2-0で制し、10年ぶりの優勝を果たした。準優勝した2015年以来の選抜出場は濃厚だろう(2015年当時の校名は東海大四)。

 注目はともに中軸に座る双子の太田兄弟(2年)。4番の弟・勝馬(しょうま)は右打ち。クラーク国際との準々決勝でチームの全3打点を挙げると、北海戦では4回に決勝の左越え2ランを放った。

 5番の兄・勝心(まさむね)は左打ち。札幌日大との準決勝の1回、弟が三振に倒れた直後の1死満塁の好機で中越えに走者一掃の先制三塁打を放った。

東北(選抜出場枠3)

 聖光学院(福島)と青森山田がともに安定した戦いで決勝まで勝ち進んだ。両校は夏の全国選手権大会にも出場し、秋までの時間がないなかでチームを作り上げた。決勝は聖光学院が3-2で勝利し、頂点に立った。

 この2校は選抜切符をほぼ手中にしたと言っていい。聖光学院は投打にミスが少ないのが最大の強み。決勝では7回に投手の大嶋哲平(2年)のバント安打から決勝点につなげるなど、泥臭く戦う。

 青森山田は夏の経験者が多く残り、個々の能力が高い。特に、夏の全国選手権で3試合14回を投げ無失点だったエース下山大昂(2年)は完成度が高い右腕だ。

 3枠目はいずれも4強の花巻東(岩手)と山形中央の争い。花巻東は岩手2位ながら、準々決勝で山形1位の鶴岡東を2-1で破ったのが強調材料。一方、県3位の山形中央も2回戦で岩手1位の一関学院に勝っている。一関学院は県大会決勝で花巻東を下しており、選考上、その点で山形中央が有利となる可能性がある。

関東&東京(選抜出場枠6=関東4、東京1、残り1枠は両地区の比較)

東京都大会決勝は二松学舎大付が延長12回サヨナラ勝ち。早実に競り勝ち、選抜出場を確実なものとした 【YOJI-GEN】

 関東の決勝は新チームとは思えないほどハイレベルな一戦だった。

 健大高崎(群馬)は石垣元気(2年)、横浜(神奈川)は織田翔希(1年)と両右腕が6回まで互いに1失点の投手戦。7回に2点ずつ取り合って両校とも継投に入っても譲らず、延長タイブレークとなった。横浜が4-3でサヨナラ勝ちしたが、実力が拮抗した2校の選抜出場は確実だ。

 夏からエースの健大高崎の石垣はさらにパワーアップ。最速で150キロ台後半に達する直球を誇り、来秋のドラフト1位候補にも名前が挙がる存在になった。

 注目選手の多い横浜にあっても、抜群の存在感を放つのが1番中堅手の阿部葉太(2年)。広角に打ち分け、かつ長打力もある左打者は、一つ上の代から主将を任されるほどのリーダーシップも兼ね備える。

 準決勝まで進んだ千葉黎明、浦和実(埼玉)は、いずれも春夏通じて初の甲子園が有力になった。千葉黎明は専大松戸や中央学院を破って県大会優勝、浦和実も浦和学院、聖望学園などを破って優勝した。

 東京は二松学舎大付が早稲田実との決勝を延長タイブレークの末に6-5で制して優勝。2年ぶりの選抜出場が確実となった。ずば抜けた選手はいないが、右腕の及川翔伍(2年)、遊撃手の入山唯斗(2年)を中心に守りが安定しており、失点が計算できるのは強みだ。

 残りの1校は関東と東京の比較。東京都大会決勝で二松学舎大付と互角の戦いを見せた早稲田実が有力と見る。今夏の甲子園を経験した左腕の中村心大(2年)は全国でも勝ち切る力がある。

東海(選抜出場枠3)

粘り強い戦いで接戦をモノにして東海大会優勝。大垣日大の通算6回目の選抜出場は決まりだろう 【YOJI-GEN】

 事実上の選抜出場をかけた準決勝はいずれも1点差の接戦、そして逆転試合となった。

 常葉大菊川(静岡)は至学館(愛知)に2回までに4点を奪われたが、4回に1点を返すと、6回は4長短打を集中して同点に。7回に3番・佐藤大加良(2年)の左越え二塁打でついに逆転し、5-4で勝利した。

 大垣日大(岐阜)も岐阜第一を相手に2回までに5点を先行される展開に。3回に3点、4回に1点を返すと、2番手でマウンドに上がった中野翔真(2年)が5回に中越え逆転二塁打を放った。その後は互いに1点ずつ取り合ったが、7-6で大垣日大が勝った。

 3枠目は至学館と岐阜第一の比較になる。県3位の岐阜第一に対し、至学館は県1位。岐阜勢で大垣日大が出場を確実にしている点も考慮して、至学館が有利か。

北信越(選抜出場枠2)

北信越大会優勝はならなかったが、日本航空石川の2年連続出場は濃厚。蜂谷(写真)、長井と、経験値が高く、計算できる投手を2枚擁するのは強みだ 【YOJI-GEN】

 敦賀気比(福井)は決勝の9回に5点を奪い、日本航空石川に6-5で逆転勝ちした。福井県大会も優勝しており、選抜出場は文句なし。センスあふれる1番遊撃手の岡部飛雄馬(2年)が攻撃のキーマンだ。

 日本航空石川は県大会3位での出場だったが、準々決勝で福井工大福井に逆転サヨナラ勝ち、決勝も9回に3点を奪って1点差に迫るなど、粘りを見せた。今春の選抜を経験した蜂谷逞生(2年)、長井孝誠(2年)の両右腕が健在で、甲子園でも安定した戦いが期待できる。

近畿(選抜出場枠6)

滋賀学園にもチャンスはある。近畿大会初戦では優勝候補と目された大阪桐蔭に勝利。県大会決勝で滋賀短大付を8-0で下しているのもプラス材料だ 【YOJI-GEN】

 投打に充実し、頭一つ抜けた強さを見せて優勝した東洋大姫路(兵庫)は選抜でも優勝候補に挙がるだろう。準決勝で天理(奈良)を11-3の7回コールド、決勝も智弁和歌山に5-1で完勝した。

 最速147キロのエース阪下漣(2年)は2試合連続完封するなど、近畿大会で27回あまりを投げて1失点。ドラフト候補に挙がる右腕だ。打線では3番右翼手の見村昊成(2年)の巧みなバットコントロールが光る。

 準優勝の智弁和歌山は準決勝で2本塁打を放った2番・福元聖矢(2年)、最速152キロの右腕宮口龍斗(2年)らを筆頭に個々の能力が高い。4強の天理、市和歌山は投打のバランスの良さが好印象だ。

 残り2校は8強に残った滋賀短大付、滋賀学園、大阪学院大高、立命館宇治(京都)が選考の中心となる。

 滋賀短大付は履正社、滋賀学園は大阪桐蔭と前評判の高かった大阪勢を破ったことが評価されそう。大阪学院大高は東洋大姫路に0-4と善戦した一方で、立命館宇治は準々決勝でコールド負けしたことがどう影響するか。滋賀勢2校と大阪学院大高の争いになりそうだ。

 もし大阪勢の選出がゼロなら、第4回大会(1927年)以来、98年ぶりとなる。

中国(選抜出場枠2)

広島商が秋の中国大会を制したのは31年ぶり。豪快なスイングが魅力の1年生・名越が4番に座る 【YOJI-GEN】

 広島商が決勝で米子松蔭(鳥取)を6-3で下し、31年ぶりの優勝を果たした。岡山1位の岡山学芸館と対戦した準決勝が最大の山場だったが、3-3の9回、1番・小田健登(2年)、2番・西村銀士(2年)の連続適時打などで一気に3点を勝ち越し、試合を決めた。

 注目は1年生の4番・名越貴徳。粗削りながら豪快なスイングが魅力で、決勝の1回に先制2ランを放った。

 準優勝の米子松蔭は接戦をモノにして県2位から勝ち上がり、1992年以来となる選抜出場が有力に。今夏の甲子園を経験した岡山学芸館も可能性を残す。

四国(選抜出場枠2)

 明徳義塾(高知)は池﨑安侍朗(2年)と里山楓馬(1年)のバッテリーが今夏の甲子園を経験しているのが強み。池崎は四国大会の全3試合を完投し、優勝に導いた。準決勝、決勝は連投となり、決勝の終盤はさすがに疲れも見えたが、そこで粘り切る心身のタフさがあった。選抜でも注目投手の1人として名前が挙がる。

 決勝で3-5で敗れた高松商(香川)も攻守に高いレベル。本格派右腕の末包旬希(2年)ら、計算できる投手を複数揃えているのも強みで、選抜出場は有力だろう。

九州(選抜出場枠4)

 「沖縄対決」となった決勝は、沖縄尚学が6-2でエナジックスポーツを破り、2年ぶりに九州王者になった。両校は県大会決勝でも対戦し、このときも8-5で沖縄尚学が勝利している。

 とはいえ、エナジックスポーツも1回戦で前評判の高かった神村学園(鹿児島)に2-1で勝つなど、着実に力をつけているところを見せつける戦いぶり。春夏通じて初の甲子園出場は確実な状況だ。

 沖縄尚学は末吉良丞(1年)、エナジックスポーツは久高颯(2年)と左腕のエースが安定しているのが何よりの強み。特に末吉は身長175センチ・85キロのがっしりとした体格で、強い雨の中で行われた鹿児島実との準々決勝でも完封するなど、逆境やピンチにも強い投手だ。

 この2校に加え、4強の西日本短大付(福岡)、柳ケ浦(大分)の2校が選抜出場を有力にした。西日本短大付は準決勝で沖縄尚学に1-11とコールド負けしたのがマイナス材料だが、8強の4チームの中から「逆転」で選出するほどの強調材料も見当たらない。

(企画・編集/YOJI-GEN)
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