こだわるのはモールでのトライ。フォワードとしての意地とプライドを見せる
前節の広島ダービーの前半残り5分で、中国電力レッドレグリオンズは7点差を追って得意のモールでトライエリアに迫ること3回。しかし、自分たちのミスなどでいずれも得点できずにいた。
それでも、直後に渾身のスクラムで相手のペナルティを誘い、再びチャンスを得ると、ショットかラインアウトかの選択に迫られた。このとき、西川太郎共同キャプテンの頭にあったのはショットだった。
「僕がモールで2回ミスをして、自分のマインドも落ちていた。だからショットにしようと思っていたら、みんなが寄ってきて『モールのサインはこれで行きましょう』と言ってくれて、フォワードでトライを取り切るこだわりを見せてくれた」
落ち込む西川が顔を上げたとき、仲間はすでに覚悟を決めた表情をしていた。「みんなが『行こうぜ』という顔をしていた。そのおかげで、いい結果になったし、僕としても助けられました」。
青木智成は、「僕は誰よりもモールの顔をしていました」と冗談混じりで振り返りつつ、「あそこでショットを選んだら負けるなと正直思いました」と真面目な表情で続けた。
「気持ちの問題でした。もちろん、宮嵜(隼人)のキックはうちの強みなのでショットも逃げではないです。でも、フォワード陣もモールにずっとこだわって練習してきたから、そこで逃げたくなかった」
最終的に前半最後のラインアウトで選んだのはピールオフ(ラインアウトでのサインプレー)。相手のモールへの意識を逆手に取り、素早く展開して岩永健太郎がトライを決めた。フォワードの意地で得点を奪い、青木は「みんなが同じ方向を向いてやり切った結果のスコアだった。あそこでトライを取れたことが勝敗の別れ道だったと思う」と胸を張った。
西川は、「モールでのトライにこだわろうと話をしていた中で自分がミスしたので、あらためて精度を高めないといけない。相手もモールが強いけど、うちもモールを武器にしているし、トライを取れたら勢いづくので、こだわってやっていきたい」と気を引き締める。
グラウンドで譲れぬ戦いが繰り広げられる。そこにラガーマンたちの覚悟を決めた顔がある。
(湊昂大)
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