一度はあきらめかけたラガーマンの夢。感謝の気持ちを忘れず、燃やし続けていた情熱

ルリーロ福岡 上田選手(中央上) 【©ジャパンラグビーリーグワン】

惜しくも初勝利には届かなかった前節のヤクルトレビンズ戸田戦。しかし、ルリーロ福岡(以下、LR福岡)は敗北の中から確かな手ごたえを得た。勝ち点1のボーナスポイントを獲得し、チームは前進。反撃の狼煙を上げたのは、新戦力の上田健太だった。

大学卒業後、今季加入したルーキーは、開幕から2試合連続で先発出場。豊富な運動量と献身的なプレーで、レギュラーの座を狙っている。第6節では、自身初となるトライを決め、確かな成長を証明した。

上田がLR福岡入りを決めたのは、クラブがまだリーグワン参入を果たす前。ちょうど見学に訪れた日に、チームの新規参入が決定。その瞬間をクラブキャプテンの西村光太たちとともに喜んだ。その光景が上田の心に深く刻まれている。

「地域クラブとしてリーグワンに挑戦する姿勢に共感しました。自分も挑戦したいという気持ちが強く、このチームでプレーしたいと思いました」

しかし、待ち受けていたのは過酷な日々だった。「大学時代は100kgあった体重が、一時期92kgまで落ちました」。慣れない環境での生活、仕事との両立。練習場近くの車部品製造会社で品質検査の仕事をしながら、昼は勤務、夜はラグビーに明け暮れた。「食事の時間が十分に取れず、仕事とラグビーの切り替えが難しかったですね」。

だが、チームから温かいサポートを受けた。ベテラン選手たちからのアドバイスに助けられ、少しずつ環境に順応。プレーでも頭角を現していく。その成長を見逃さなかったのが豊田将万ヘッドコーチだった。「新戦力の中で一番の驚きであり収穫」と評し、開幕スタメンに抜擢。「正直、自分でも驚きました。緊張もありましたが、仲間が『大丈夫、大丈夫』と声を掛けてくれて、心強かったです」(上田)。

しかし、順風満帆とはいかなかった。第2節で脳振盪を負い、一時離脱。「大きな外傷はなかったですが、運動量を戻す必要がありました。ただ、試合の流れやセットプレーの課題を見直す時間にもなりました」。冷静に自らを分析し、復帰に向け準備を進めた。そして迎えた第6節、先発復帰戦で待望の初トライを挙げた。

派手さはないが、泥臭く、愚直に。積み重ねた努力がいま、実を結ぼうとしている。「フォワードとして相手に押し負けないことが大切。スクラムの安定やブレイクダウンの粘り強さで、バックスのアタックにつなげたい」。

今節こそ、勝利を。その瞬間をつかむために、上田は前へ出る。

(柚野真也)
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