MLBポストシーズンレポート2024

試合の流れが暗転した大谷「まさかの走塁」に、ロバーツ監督の采配に生じた“迷い”【NLCS第5戦】

丹羽政善

10月18日(現地時間)に行われた、ドジャースとメッツによるナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第5戦。メッツは打線が14安打と爆発し、12-6でドジャースに大勝。ドジャースの大谷翔平は4打数2安打1四球だった 【Photo by Rob Tringali/MLB Photos via Getty Images】

 今日の試合も、早々に試合の決着がついた。

 三回を終えて、メッツが8対1とリード。明らかに調子の悪いジャック・フラーティ(ドジャース)をもっと早い段階で代える手もあったが、「その後の展開が予想できなかった」とデイブ・ロバーツ監督。

「7イニングも、勝ちパターンで使うリリーフを、次々とつぎ込むことはできなかった」

 ニューヨークでワールドシリーズ出場を決めるために、フレディ・フリーマンに無理をさせた。ならば、1対3だった三回から継投という手もあったが、第6戦、第7戦で勝ちパターンの投手が使えなくなることを恐れた。

「シリーズは長い」と話したが、結局のところ、どちらからに振り切る采配ができなかった。

なぜ大谷は本塁に突入しなかったのか

初回1死一、二塁のチャンスに、主砲ピート・アロンソから飛び出した待望の一発で、メッツは3点を先制。チームに勢いをもたらした 【Photo by Rob Tringali/MLB Photos via Getty Images】

 もっとも、逆の展開となる可能性もあった。初回、大谷翔平が右前安打を放ち、ムーキー・ベッツも右前二塁打で続いて無死二、三塁。テオスカー・ヘルナンデス、フリーマンと続く打順で、1本でもタイムリーが出ていたら、どうなっていたか。いや、ヒットがなくても、少なくとも1点は取れていた場面があった。ロバーツ監督は、ヘルナンデスのショートゴロで大谷がホームに突入しなかったことで、「流れが変わった」と振り返っている。

「内野は下がっていた。あのショートゴロで、翔平はスタートを切るべきだった。彼の足が、動かなかった。何があったとしても、言い訳できない」

 確かにあの内野の位置なら、メッツとしても“1点は仕方がない”という守備隊形。大谷は、打球が痛烈だったことで突入をちゅうちょしたのかもしれないが、ロバーツ監督はさらに苦言を呈した。

「彼らにしてみれば、あそこでアウトをとったことで、流れを引き寄せた。それが初回に1対0とリードできなかった要因となった」

 メッツはその裏、1死一、二塁の好機でピート・アロンソが中堅に先制3ランを放って勢いに乗ったのだから、流れは1対0にできなかった以上のダメージを、ドジャースにもたらしたということになる。

 そこはタラレバだが、いずれにしてもリーグチャンピオンシップシリーズはニューヨークでは決着がつかず、舞台は再びロサンゼルスへ。第6戦、メッツの先発はショーン・マナイア。ドジャースはブルペンゲームが有力。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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