MLBポストシーズンレポート2024

試合の流れが暗転した大谷「まさかの走塁」に、ロバーツ監督の采配に生じた“迷い”【NLCS第5戦】

丹羽政善

MVP争いは大谷が一歩リード!?

LCSでチームトップの打率.385、OPS1.482をマークしている、マックス・マンシー。12打席連続出塁というポストシーズン記録を作るなど、好調を維持している 【Robert Gauthier/Los Angeles Times via Getty Images】

 さて、3勝2敗となったが、依然としてドジャースが有利なことには変わりがない。リーグ優勝決定戦が今の形になった1985年以降、3勝1敗としたチームがそのままワールドシリーズに勝ち上がったのは82.2%(ア・リーグ、ナ・リーグ含む)。メッツはまだ、敵地で連勝しなければならず、ハードルが高い。よって、試合前にはドジャースが勝った場合、誰がMVP(最優秀選手)かという話題が、早くも交わされるようになった。ポストシーズンでは、リーグ優勝決定戦からMVPが選ばれる。

 得票は全部で9票。両チームの番記者から一人ずつ。MLBの公式データを扱うアライエス、オフィシャルスコアラー、テレビ、ラジオの放映権を持つFOX、ESPN、NHK、MLBネットワークで8票。

 あと1票が不明だが、投票するであろう人に聞いたところ、名前が挙がったのは、マックス・マンシー、大谷、フラーティの3人。トミー・エドマン、ベッツがその次のグループ。ただ、「現時点では文句なしという選手がいないので、今日の試合次第だと思う」と多くが声を揃えた。

 マンシーは第4戦まで打率5割。12打席連続出塁というポストシーズン記録も作った。大谷は、2本塁打のインパクトが抜群。また、得点圏での勝負強さが圧倒的。フラーティは前回同様、7回以上投げるなら、という条件付きだった。

 しかし、第5戦でフラーティは3回8失点でKOされたため、可能性は消えた。マンシーも3打数無安打で、打率を.385まで下げた。一方で大谷は2安打を放ち、打率を.333まであげた。OPSは1.205。ただ、OPS1位はマンシーの1.482。

 ポストシーズンのMVP投票はオールスターゲーム同様、そうした数字というより、インパクトがものをいう。であれば、大谷の2本塁打は強烈であり、現時点では有力か。しかし、今後優勝を決めるようなヒットを誰が打つかで、決まる可能性が高い。むろん、投票する人がシリーズ通しての活躍を重視するなら、ロバーツ監督同様、初回の走塁を問題視するかもしれない。

舞台は再びロサンゼルスへ

 試合後、シャワーを浴びた大谷は、取材対応することなく、足早にクラブハウスを後にした。

 ドジャースは、午後11時半(米東部時間)、ニューアーク空港を飛び立ち、ロサンゼルスへ向かった。ロサンゼルス到着は午前2時4分(米西部時間)の予定。明日は午後4時からドジャー・スタジアムで練習をすることになっている。

 勝てば未明までシャンパンファイト。明日は休み――という予定だったが、ホームで仕切り直しとなった。

2/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント