MLBポストシーズン戦力ランキング2024

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 MLBは9月30日(現地時間、以下同)、ポストシーズンに進出する12チームが決定。10月1日から行われるワイルドカード・シリーズを皮切りに、約1カ月にわたり熱戦を繰り広げる。

 このランキングでは、ポストシーズンに進出するア・リーグ6チーム、ナ・リーグ6チーム、計12チームの戦力を、「打力」(30点満点)、「機動力」(10点満点)、「投手力」(30点満点)、「守備力」「選手層」「経験値」(各10点満点)の6つに分けて、100点満点で評価。さらに、7つ目の項目として、短期決戦を左右するチームの「勢い」の項目を設け、加点/減点方式で評価した。

 ワールドシリーズを制して世界一に輝くのは、一体どのチームだろうか?
(企画監修・解説:村田洋輔)

※上位と解説はスポーツナビアプリでご覧いただけます。また、チーム名の後ろにある(ア)(ナ)はリーグ名を表しています。

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解説

今季は打率.310、197安打、54本塁打、130打点、59盗塁、OPS1.036という圧巻の成績を残した、ドジャースの大谷翔平。前人未踏の「50-50」に到達するなど、レギュラーシーズン終盤の無双状態は、ポストシーズンでも維持されるか【Photo by Matthew Stockman/Getty Images】

 2022年から出場枠が拡大され、合計12チームが出場できるようになったポストシーズン。22年はメジャー最多の111勝を挙げたドジャース、昨年もメジャー最多の104勝を挙げたブレーブスが早々に敗退するなど、地区シリーズからの参戦となる日程への対応の難しさを感じさせた。

 そのあたりの事情を考慮し、シーズン終盤に勢いがあったチームでも、地区シリーズからの参戦となる場合は、戦力ランキングの「勢い」の項目を0ポイントとしている。

強打のヤンキースがア・リーグ最有力

 では、まずはア・リーグ6チームの戦力を見ていこう。最も戦力が充実しているのはリーグ最多の94勝を挙げたヤンキースだ。驚異的な打撃成績を残したアーロン・ジャッジ、新加入で自己最多の41本塁打を放ったフアン・ソトという球界最強の強打者デュオを擁する打線は、リーグトップの得点力を誇る。

 当然、この2人にマークが集中することが予想されるため、ジャズ・チザムJr.やジアンカルロ・スタントンといった脇を固める打者の働きがポイントになるだろう。

 先発陣は大黒柱のゲリット・コール、16勝のカルロス・ロドン、15勝のルイス・ギルが三本柱を形成。抑えのクレイ・ホームズが安定感を欠くブルペンに多少の不安を残すものの、投打のバランスという点で見てもリーグ最高の戦力と言える。松井秀喜氏がMVPに輝いた09年以来となるワールドシリーズ制覇となるか、注目だ。

ア・リーグ最多の58本塁打、144打点、OPS1.159をマークした、ヤンキースのアーロン・ジャッジ【Photo by Luke Hales/Getty Images】

 ヤンキースに次ぐ2番手はアストロズだろう。レギュラーシーズンは88勝と低調だったが、直近8年間で7度目の地区優勝を達成し、8年連続のポストシーズン進出。シーズン終盤を欠場した主砲ヨルダン・アルバレスの状態は心配だが、大舞台の経験が豊富なホセ・アルテューベとアレックス・ブレグマンの存在は頼もしい。

 フラムバー・バルデス、ロネル・ブランコ、菊池雄星、ハンター・ブラウンと計算できる先発が4枚揃い、守護神ジョシュ・ヘイダーを中心とした勝ちパターンも強力。そして何より、7年連続で少なくともリーグ優勝決定シリーズ進出と「勝ち方」を知っているチームであり、今季も侮れない存在だ。

 リーグ2位の勝率を記録したガーディアンズは、守護神エマニュエル・クレースを中心とした強力ブルペンが最大の武器。救援防御率2.57はメジャー唯一の2点台であり、先発陣に不安を抱えていることを考えると、先制して早めにブルペンを投入し、逃げ切りを図りたいところだろう。打線は「40-40」達成に迫ったホセ・ラミレスが軸。二塁のアンドレス・ヒメネスを中心に、堅い守備でも投手陣をサポートする。

シーズン途中にアストロズに移籍した菊池雄星。移籍後は10試合に先発し5勝1敗、防御率2.70と、チームのポストシーズン進出に貢献した【Photo by Tim Warner/Getty Images】

 ワイルドカードの3チームは戦力的にやや落ちる印象だ。オリオールズは37本塁打のガーナー・ヘンダーソンと44本塁打のアンソニー・サンタンダ―を中心とした打線こそ強力だが、エースのコービン・バーンズ以外の投手陣に不安を残す。

 9年ぶりのポストシーズン進出を果たしたロイヤルズは、史上初の「200安打・40二塁打・10三塁打・100打点・30盗塁」を達成したボビー・ウィットJr.が軸。先発陣も16勝を挙げたセス・ルーゴを筆頭に、防御率3点台の投手を4人揃えるが、最終13試合で4勝9敗と失速した状態でポストシーズンを迎える点が心配だ。

 10年ぶりのポストシーズンとなるタイガースは、投手三冠に輝いたタリク・スカバルが絶対的エースとして君臨。後半戦は固定概念にとらわれない柔軟な投手起用で快進撃を見せた。戦力的には他球団に見劣りするが、シーズン終盤の勢いをそのまま持ち込むことができれば、台風の目になるかもしれない。

ナ・リーグ本命はフィリーズとパドレス

 次にナ・リーグ6チームを見ていく。戦力ランキングの採点では、フィリーズとパドレスが全12チーム中トップの89ポイントとなった。フィリーズの地区優勝は意外にも13年ぶりだが、ポストシーズン進出は3年連続。本拠地シチズンズバンク・パークに集う熱狂的なファンの後押しを受け、22年はリーグ優勝を果たし、昨年もリーグ優勝まであと一歩に迫った。

 打線にはブライス・ハーパー、カイル・シュワバー、トレー・ターナー、J・T・リアルミュートらスター選手がズラリと揃い、合計30勝を挙げたザック・ウィーラーとアーロン・ノラの先発二本柱も非常に強力。ブルペンはクローザーを固定していないものの、カルロス・エステベス、ジェフ・ホフマン、オリオン・カーケリング、マット・ストラーム、ホセ・アルバラドと多彩な駒が揃い、投打とも大きな穴は見当たらない。

 過去2年とは異なり、地区シリーズからの参戦となるが、チャンピオンの有力候補と言えるチームだ。

チーム最多の38本塁打を放った、フィリーズのカイル・シュワバー【Photo by Rob Tringali/MLB Photos via Getty Images】

 パドレスはレギュラーシーズンではドジャースから5ゲーム差の西地区2位に甘んじたが、戦力の充実度はトップクラス。打線は首位打者のルイス・アラエスから始まり、フェルナンド・タティスJr.やマニー・マチャド、ジュリクソン・プロファーや新人王有力候補のジャクソン・メリルなど、上位から下位まで好打者が並ぶ。

 また、投手力は間違いなくポストシーズン出場12チーム中トップだ。先発陣はディラン・シース、ジョー・マスグローブ、マイケル・キングが三本柱を形成し、実績十分のダルビッシュ有がワイルドカード・シリーズのローテーションから漏れるほどの充実度。ブルペンはトレード・デッドラインの補強でジェイソン・アダムとタナー・スコットを加え、一気に層が厚くなった。

 シーズン終盤に状態を落としていた守護神ロベルト・スアレスだけが心配だが、この必勝パターンの3人以外にもエイドリアン・モレホン、ジェレミア・エストラダ、ブライアン・ホーイングといった優秀なリリーバーを揃えており、大量失点は考えにくい。ワイルドカード・シリーズを突破した勢いで勝ち進むような展開になれば、フィリーズ以上の本命と言えるかもしれない。

大谷翔平とのし烈な争いを制し、3年連続で首位打者に輝いた、パドレスのルイス・アラエス【Photo by Matt Thomas/San Diego Padres/Getty Images】

ドジャースの懸念は先発投手陣

 大谷翔平がメジャー7年目にして初めてポストシーズンに出場することで注目されるドジャースは、地区シリーズでパドレス、地区シリーズを突破した場合はリーグ優勝決定シリーズでフィリーズと対戦する可能性が高そうだ。

 シーズン終盤に足首を痛めたフレディ・フリーマンの状態が心配されるものの、大谷が牽引する打線の破壊力はトップクラス。ムーキー・ベッツやウィル・スミス、テオスカー・ヘルナンデスといった主力打者はもちろん、クリス・テーラーやキケ・ヘルナンデスといったベテランたちも大舞台の経験が豊富で頼りになる。

 投手陣に目を向けると、ブルペンは確固たるクローザーこそいないものの、防御率1点台のアレックス・ベシアとブレーク・トライネン、ホワイトソックスからの移籍後は防御率1点台だったマイケル・コペックなど、各投手がしっかり役割を果たしており、大きな心配はいらいないだろう。

 問題は先発陣だ。フィリーズ、パドレスとの明確な差は先発陣のクオリティにあるといっても過言ではない。計算できるのはタイガースから加入したジャック・フラーティただ1人で、故障者リストから復帰して4登板で16イニングしか投げていない山本由伸が2番手。今季わずか1勝のウォーカー・ビューラーと、今季デビューしたばかりのランドン・ナックを先発の頭数として計算しないといけないという、苦しい状況である。

 タイラー・グラスノー、ギャビン・ストーン、クレイトン・カーショーらを故障で欠く中、4年ぶりのワールドシリーズ制覇を成し遂げるためには、先発投手がしっかり試合を作れるかどうかが大きなポイントとなる。

7勝2敗、防御率3.00でレギュラーシーズンを終えた山本由伸。ポストシーズンでは手薄な先発陣を支える快投に期待したい【Robert Gauthier/Los Angeles Times via Getty Images】

 ブリュワーズも投打のバランスが取れた好チームであり、決して侮れない存在だが、支配力を持った先発投手がいない点に不安を残す。守護神デビン・ウィリアムズを中心としたブルペンには安定感があり、先行逃げ切りの勝ちパターンを作りたいところだろう。

 打線はリーグ3位の50盗塁をマークしたブライス・トゥラングを筆頭に5人が20盗塁以上、9人が2ケタ盗塁を記録した機動力が大きな武器となっている。機動力を生かしてチャンスを作り、リーグ2位の112打点を叩き出したウィリー・アダメズが返すのが得点パターンだ。史上最年少で「20-20」を達成した新人ジャクソン・チョウリオの活躍にも注目したい。

 最後の最後までポストシーズン出場枠を争ったブレーブスとメッツは、ワイルドカード・シリーズ前日まで真剣勝負が続いていたため、日程的に不利な部分もある。

 特にブレーブスはシーズン最後の4日間でマックス・フリード、レイナルド・ロペス、チャーリー・モートン、スペンサー・シュウェレンバックが先発し、投手三冠のクリス・セールは背中の故障を抱えているため、ワイルドカード・シリーズの初戦に投げられる先発投手がいない状況。マルセル・オズナを軸とした打線と、守護神ライセル・イグレシアスを中心としたブルペンでなんとかカバーし、まずはパドレス撃破を目指す。

 後半戦の快進撃でワイルドカードを獲得したメッツは、リードオフマンのフランシスコ・リンドアが腰の不安を抱えながらも、ポストシーズン進出を決めた試合で逆転アーチを放つなどチームを牽引。今、最も勢いのあるチームの1つと言っても過言ではなく、勢いそのままにブリュワーズに挑む。

 戦力だけを見れば、ア・リーグはヤンキースとアストロズ、ナ・リーグはフィリーズ、パドレス、ドジャースの3チームが有力候補と言えるが、何が起こるかわからないのが短期決戦。実際、昨年のワールドシリーズはア・リーグ第5シードのレンジャーズと、ナ・リーグ第6シードのダイヤモンドバックスという組み合わせになった。

 短期決戦に付き物のラッキーボーイが出現し、勢いに乗って快進撃を見せるのはどのチームか。「ここからが本番」と言われるポストシーズンの戦いがいよいよ幕を開ける。

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