荒木絵里香が占うバレーSVリーグの船出「優勝予想は本当に読めない」

C-NAPS編集部

新設のSVリーグ女子は男子より4チーム多い14チームでスタート。白熱の試合が全国各地で繰り広げられる 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 バレーボールの2024-25 大同生命SV.LEAGUE WOMEN(SVリーグ女子)が10月12日(土)に開幕する。国内トップリーグがSVリーグという名称になり、女子は昨季の12チームにヴィクトリーナ姫路、群馬グリーンウイングスの2チームが加わった14チームが、「初代女王」の座を巡ってしのぎを削る。開幕戦では昨季優勝のNECレッドロケッツ川崎と3位の埼玉上尾メディックスが早くも相まみえるなど、激戦は必至だ。

 元日本代表の主将で、現在はクインシーズ刈谷でチームコーディネーターを務め、テレビ解説などでも活躍する荒木絵里香さんに新設されるSVリーグの展望について聞いた。各チームの戦力、注目選手、アジア戦略など多岐にわたり、新リーグの魅力について語ってもらった。

選手の入れ替わりが多く、読めない優勝争い

開幕戦では、山岸あかね(左)を擁するメディックスと山田二千華がいるレッドロケッツが対決する 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

【パリ五輪日本代表選手の所属チーム】
▼NECレッドロケッツ川崎
山田二千華、和田由紀子

▼大阪マーヴェラス
林琴奈

▼埼玉上尾メディックス
山岸あかね、岩崎こよみ

▼SAGA久光スプリングス
荒木彩花

▼ヴィクトリーナ姫路
宮部藍梨、井上愛里沙

【パリ五輪出場の外国人選手の所属チーム】
▼埼玉上尾メディックス
ロゾ・サラ(セルビア代表)

▼デンソーエアリービーズ
ロザマリア・モンチベレル(ブラジル代表)

▼東レアローズ滋賀
ロホイス・ジュリエット(オランダ代表)


 新設されるSVリーグについては優勝予想をよく聞かれますが、本当に読めないというのが本音です(笑)。昨季は大阪マーヴェラスがレギュラーラウンドではぶっちぎりの1位でしたが、ファイナルステージではNECレッドロケッツ川崎が勝ち抜いて連覇を達成しました。

 その2チームは今季も上位争いを演じると思いますが、レッドロケッツは日本代表でもエースで主将だった古賀紗理那さんが引退し、リベロの小島満菜美選手が米国のLOVBのソルトレークに参戦予定です。マーヴェラスも米国代表のオポジットのアンドレア・ドルーズ選手が退団し、コーチ陣が複数入れ替わっています。両チームとも核になる選手が抜けるなど、チーム事情が大きく変化したこともあり、リーグ全体が混戦模様になると予想しています。

 特に古賀さんは、ここ数年の日本の女子バレーをけん引してきた存在なので、レッドロケッツにとっては抜けた穴をいかに埋めるかが間違いなく焦点になります。新たにチームの顔となる山田二千華選手に中心選手としての自覚が芽生えていますし、マーヴェラスから日本代表の和田由紀子選手も加入しました。

 また、古賀さんのポジションに佐藤淑乃選手が新たに加わっています。佐藤選手は、9月にタイで行われた2024アジア女子バレーボールクラブ選手権大会でチームを優勝に導き、自身もMVPに輝きました。2022年世界選手権の日本代表登録メンバーにも選ばれていますし、今後はチームの中心選手になることが期待されますね。マーヴェラスには、日本代表の宮部藍梨選手の妹の宮部愛芽世選手が入りました。攻守ともに優れており、すごく勢いのある選手なので、活躍を期待しています。

クインシーズの最注目選手は高卒ルーキーの笠井季璃だ。熱い気持ちが伝わる情熱的なプレーが笠井の魅力と言える 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 私がチームコーディネーターを務めている昨季4位のクインシーズ刈谷は、高卒で新加入した笠井季璃選手がイチ押しです。昨年の春高バレーでは、ワンマンエースとして旭川実業高をベスト4に導きました。春高で大暴れした選手であることはもちろん、情熱的でエネルギー溢れるプレーぶりが魅力ですね。観ている人の気持ちを熱くするプレーに注目してください!

 後はデンソーエアリービーズから、ミドルブロッカーの横田真未選手と横田紗椰香選手の姉妹が加入しました。姉の真未選手は日本代表にも選ばれた実績がありますし、妹の紗椰香選手はユニバーシアードで活躍した経歴があります。横田姉妹が同時に加入したことで、ミドルブロッカーの層もかなり厚くなりましたね。姉妹で言えば、先ほどのレッドロケッツの佐藤淑乃選手の姉で、セッターの佐藤彩乃選手もKUROBEアクアフェアリーズから加入しました。クインシーズの新戦力には大いに期待しています。

 昇格組ではありますが、ヴィクトリーナ姫路は昨季V2にいるようなチームではなかったので、1年目から旋風を巻き起こす可能性は大いになると思います。メンバー的にも宮部藍梨選手、井上愛里沙選手という日本代表選手を2人も抱えていますし、新リーグの台風の目というか、楽しみなチームの1つです。アヴィタル・セリンジャー監督という、日本のバレーボールを熟知したオランダ代表監督の実績もある指揮官がいるので、上位チーム相手にどんな戦いをするのかを注目しています。優勝争いに絡んだとしてもまったく不思議ではないです。

 同じく昇格組の群馬グリーンウイングスは、齋藤真由美監督が指揮して3年目になります。熱くて魅力的チームを作っているので、上のカテゴリーであるSVリーグでどれだけやれるかが楽しみですね。

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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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