「もったいない」内容でドイツ戦を落としたバレー男子 高橋藍、石川はどう再起を誓うか?

大島和人

日本は大会初戦で、ドイツにフルセットで敗れた 【写真は共同】

 7月27日、パリオリンピックの男子バレーボールが開幕した。日本は本大会を世界ランキング2位で迎え、選手たちも52年ぶりとなる金メダルへの野心を口にしている。しかし大会初戦はフルセット(17-25、25-23、25-20、28-30、12-15)でドイツに敗れ、出足につまずく結果となった。

 ドイツは世界ランキング11位(※試合前時点)で、日本から見れば格下だ。とはいえ今大会の上位争いはほぼ横一線だし、日本が楽に勝ち切れる相手ではなかったことも間違いない。もっともフィリップ・ブラン監督の率いる金メダル候補たちは、大切な五輪初戦で「もったいない」戦いをしてしまった。

第2セット以後は盛り返したが……

 アウトサイドヒッターの高橋藍は第1セットをこう振り返る。

「まず1セット目は自分がサーブで少し崩されてしまって、そこからのスパイクがまた向こうのディフェンスのところに上げられて、チームがリズムを作れないところに影響をもたらしてしまった。独特な雰囲気というか、相手も死に物狂いで戦ってきて、気持ちをぶつけられました」

 第1セットの日本は高橋、石川祐希といった主力のレセプションのミスが出て、一時は「2-9」と大差がつく流れだった。17−25というスコアは、立ち上がりの混乱がそのまま反映されたものだ。

 しかし第2セットは23−23から高橋、石川が連続得点を挙げて突き放し、日本が25−23で取り返した。第3セットも日本ペースで、25−20で奪っている。

 第4セットも、途中までは日本の流れだった。キャプテンの石川はこう振り返る。

「4セット目の最初までは良かったと思います。だけど(4セット目の)中盤以降は、ブレークチャンスがある中でアタッカーがシャットを食らったり、デュースに入って相手のミスのときにネットタッチをしてしまったり、もったいないミスが非常に多かった。それだけ(のことを)やっていれば、負けるのは当然だなと思います」

「勝てる雰囲気が出過ぎていた」

石川はチームを引っ張る活躍を見せたが…… 【写真は共同】

 第4セットは、日本にとって精神的にタフな場面もあった。日本は24-24のデュースから山内晶大がブロックを決めたかに見えたが、ドイツのチャレンジで山内の「ネットフォルト」が認められて相手のポイントとなってしまう。さらに25−25からも相手のチャレンジで高橋が同じ反則を取られている。1ポイントが重い勝負どころで、2ポイントを取り逃した。

 高橋はこう振り返る。

「一番キーになったのは4セット目かなと思います。4セット目の終盤で、あそこを取るか取らないかが、勝敗を決めました。相手がミスをしたときに、こっちもミスをしてしまいました。自分もアンテナにタッチしてしまったのですが、ああいうところで少し力が入って、点数を取り急いでいる場面があった。気持ちを上げるのは大事ですけど、あそこでまた冷静になることも、オリンピックを戦っていく中で、重要なのかなと感じました」

 石川は「少し勝てる雰囲気が出過ぎていた。色んな選手の表情を見ていたら、余裕を持ちすぎているのかなと思った」と述べた上で、言葉を探すように少し言い淀みながら、こう続けた。

「ブロックされた後も、すぐ『切り替えれば良いや』みたいな……。『これを絶対取り切らないと』という、気持ちが少し欠けていた。隙を見せてしまった」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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